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『プライマ・フェイシィ』

ロンドンで観た劇『プライマ・フェイシィ』。
映画館で公開するというので、もう一度観たくて、久しぶりに上京(っていう距離じゃないんだけど、最近、東京に滅多に行かないのでそういう気分)してきました。

日本橋、都会だった!

冒頭からノンストップの一人芝居。
ジョディ・カマーがもうほんとにずーっとしゃべりっぱなし、動きっぱなしで、(体力的にも演技も)すごいのです。
生で観た時にも圧倒されたけれど、画面で観てもやっぱり圧倒されました。

"I can't help thinking (Mum) knows what it is to be violated somehow.
I will never ask."
(犯されるということがどういうことか、なぜか母は知っているという気がしてならない。でも、私は絶対に訊かない。)

字幕でははっきりとここまで意味を出していなかったのですが、劇場で観た時も、映画館でも、涙が出た台詞。

私たちはいかに多くの痛みを、悲しみを、暴力を、世代を超えて抱えてきたのだろうと思います。

それを目の前に突きつけられるような作品で、決して観ていて楽ではないけれど、観る必要のある作品だと思います。

(ヘビーなテーマだけれど、前半は軽快で、笑える部分も多いです!だからこそ、後半の苦しさがより際立つのだけれど)

後半はほんとうに真っ暗な場所に突き落とされるようで、観ていてとても苦しくてしんどいのだけれど、終わったあとには何かが癒やされたような気持ちになりました。

それは、この物語のなかに、絶望だけでなく、微かな、でも確かな光が、力があるからだと思うのです。

「女性性の癒し」みたいなことが、スピリチュアルな話でもよくいわれるようになっているけれど、世界は確かに変わりはじめている、そうでなくてはいけない、その大きな流れのなかにある作品だという気がします。

この作品が高く評価されて、こうして映画館でも配信されたり、ブロードウェイ公演も決まったりして、多くの人に観られている、その事実自体が変化が起こり始めている証なのだと思います。

まだ都内や、もしかしたら他の街でも公開しているはず。
日本語字幕付きで観られる機会は滅多にないと思うので、タイミングの合う方はぜひ!



劇の音楽を担当したSelf Esteem(レベッカ・ルーシー・テイラー)のパフォーマンスが上映の最初に観られるのですが、それもすごく良くて、ゾクゾクしました。

"No, not me. I won't rein in my need to be completely free."
(私は完全な自由への要求を明け渡したりしない)

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