ひやまらぬき@詩と小説

詩、あるいは詩のようなもの

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詩、あるいは詩のようなもの

最近の記事

【詩】今日は金曜日

気持ちが走っていく 月火水木金気持ち土日 お疲れ様 今日も仕事をしたよ 社会に種を蒔いたんだ ご苦労様 収穫はいつになるのかな 時期はわからないな 幾分花の種すらも おてんと様の気まぐれだから なるべく上手くやるけど 期待しないでいてね でも毎日与えることは辞めないでね 面倒臭いかもしれないけどよろしくね 他人(ひと)のためにも 自分のためにも

    • 【小説】いかなご

       JRから見える塩屋の海は、一面キラキラと輝いている、光の絨毯だ。空が青ければ青いほど、船は眩しく映る。  乗組員には家族がいる。遠くの海へ行くと、三ヶ月は帰れない。待ち人はその間、海に臨む社宅に住みながら、家事に育児に井戸端会議に、強がる昼から寂しい夜を過ごして待つ。  だからといって心が離れることはない。なぜ結婚してしまったのかとしばしば思いながらも、妻としての道を守る、海の男も逞しい漢だが、その女もそれ以上にまた漢なのだ。 「今時、男だなんて古いわよ。時代は女。男

      • 【エッセイ】開き直って、共有して

         開き直りが大事だー!    僕は障害者になった。統合失調症だ。  幸い、6年前に発症してから症状は出ていない。軽度な感じだ。  だけど、障害者雇用で働いている、障害者年金も貰っている。  週30時間勤務も板に付いてきた。社会は思ったよりも優しくて、なんとかして価値ある自分になろうと努力している人間には、手を差し伸べてくれるらしい。おかげで、勤務も1年目を終えようとしている。  もともと、自分はおかしな人間だった。  自分語りを最小限に留めるが、中学の時に人間を

        • 【詩】死にたがりの死にたがりの生きたがり

          死にたがりの死にたがりの生きたがり メシ食いながらメンヘラ投稿 「明日から仕事、行きたくない」 生きているのに懲役刑 身体が動かなくなるまで実質死刑 社会に死ね死ね光線ビーーーム ごはん食べたらなんか治った行こう 何も狂うことなく順風満帆に生きてる そんな奴は運が良かったのさ 努力でどうにかなるわけじゃないけど 社会に出たら自己責任 だと授業料ペイする代わりに口出してくるティーチャーズ 卒業して地獄なら 天国であれよ学校は 書店で売れ行き絶好調の 本のジャンルが自己啓発書

          【詩】三十路の青春

          おもしろいことに 自分が心を開けば 自分がどう見られるかなんてどうでもよくなる 人間よくできている 死にたいことがあってもだいたいは 酒でも飲めば元気が出る 寝ても元気が回復しないのは そういう時期があるさと思うしかない 思えないときは有給をうまく使ってごまかすか メンクリにでも頼って薬もらって寝るだけさ 年齢重ねて 十代が子供にしか見えなくて そのくせ十代の頃好きだった娯楽を見返して 音楽聴いて アニメ観て あの頃の空気感を思い出して そしたら心が回復していたなんてこと

          【詩】ラバーカップ

           世の中の詩をすべて投げつけて  僕が一番優れていると宣うあなた  あれもこれもどれもつまらない戯言と  耳のシャッターを閉じているあなたへ  贈る言葉『虚』  虚な目のまま虚の言葉で偽るあなた  虚空のまま虚無に打ちひしがれるあなた  謙虚さより虚勢を好むあなた  すでに内なる小宇宙は自意識で糞詰まり  ラバーカップでカッポンカッポン  年齢を重ねてとどのつまり向かうは自死  ラバーカップでカッポンカッポンせねば  間に合わず、自死  残された自分

          【詩】翼

          羽を広げて空を飛び歓声を浴びる君を見上げて 観衆の一人でしかない僕は競演することを未だ夢見ている かつて天才同士だった君と僕はメディアを隔てて 一方的に眺めているだけの存在になってしまった かつての刺激ある日々を取り戻したくて 君に否定されたくないから君に会うことを止め 君に匹敵する僕になりたいから自慢するのを止め 君に嫉妬していたいから満足することなく追いかけていた 褒められたくない 見限られたくない 対等で競い合い高め合いたい そして勝ちたい 歪んだ価値観も不幸な人生

          【詩】しにたいとき

          病名をつけられて 思っていること考えていること感じていること 吐き出す相手もいなくて でも死ねなくて死にたくて いつ回復するのかわからない そんな人生の数年間を過ごして 気づけば30歳を越えていて 職にありつこうにも職歴制限にかかって 障碍者雇用で働いているけど ずっと続けるほどのやりがいはなくて かといって仕事を辞めるほど力がないから 親だとか趣味だとかそのために 気持ちを奮い立たせて働いていた 数カ月数年前の自分へ 今ももがいてる その時々そのステージでの 救いの光に近

          【詩】11月22日

          11月22日は僕の誕生日 祝ってくれる人? ケーキ? プレゼント? そんなものはby myself 自分で調達 街のカップルは機が熟したのち あとひと押しが足りないのか 良縁かどうか不安だから わざわざ人の誕生日に 婚姻届を提出する ちなみにウチの両親は この日に結婚して離婚した 養育費も支払わず消えてったアレ あえて言うぞ 願掛けなんてクソだ お互いが飽きないように努力するしかねえんだ 離婚する奴は離婚するんだ だからせいぜい幸せにな 32歳になって独身男性の僕より

          【詩】他人なんてどうでもいいと思ってたんだ

          いくら辛い目に遭ったって頑張らなくちゃいけない 一人で頑張らなくちゃいけない それなら辛い目に遭わせたり孤独を感じるくらいなら初めから 他人なんてどうでもいいと思ってたんだ そんなとき 「頑張れ」 より 「そんなことよりおにぎり食べようぜ」 の方が寄り添われているなって感じる 駅の売店を見ると思い出す リプトンのミルクティーと安っぽいおにぎり 電車内で飲食した あの時よく他の乗客に怒られなかったなって いくら他の人を知ったところで自分勝手な私は その時々の気分次第でどう

          【詩】他人なんてどうでもいいと思ってたんだ

          【詩】青春コンプレックス

          制服姿の高校生を見てムカついてくるのは きっとあの頃何もしなかった自分への怒り クラスメートと喋ることも モテるために努力することもせず 性知識も遅咲きで 知恵も知性も常に周りの人の二十歩遅れ テンポの悪い会話術も 脱ぐとダサい肉体も そのままに放置してきた時代の名残りが未だに残っている やり直そうにもやり直せないあの頃 でもあの頃と違うものがあるとすれば 自分の好きなものに気づけたということ 外見は若々しくはないけれど いつか輝ける自分になれたらと願える私の心は若々しい

          【詩】青春コンプレックス

          【詩】私と周り

          世界は全ての人に開かれている 欲深い権力者や組織の利益ばかり追求する官僚によって担保されている 自由 文化的な最低限度の生活が保障される国 人生を辞めたくなっても 金が無ければ隠遁すらできない 永遠に資本主義のシステムに組み込まれている国 そんな国にほっとした 通院をしている私 家で半日寝ている私 最低賃金で働いている私 そこにあぐらをかいて 自分らしく生きようとしている私 とその周り

          【詩】嫌い

          草花の嫌いと人間の嫌い 生命を脅かされるイコール嫌いだなんてさ 人間だって嫌いなことはあるけど 元気にやれているじゃん 人間は生命を脅かされても逃げる選択ができるし 草花とは違うわけ でしょ でも凄いのはこいつらは 生命が消えるとわかっていても最期まで 精一杯花を咲かそうと粘るところ 人間にとってはこれが案外難しいことだから 草花のほうが人間より生命としては上手だよねと思ったりする

          【詩】「普通」を目指して歩こう

          心の態度が人生の行き着く先を決める 前向きでいれば 積極的であれば 活かせるチャンスもモノにできた あの人には来て 自分には来ない なぜだろう おかしいよ 肝心なことを押さえずして 時間の浪費ばかりを繰り返した青い春 与えられた自由を不自由に感じて 積極的に生きることに どこか捻くれた態度で 叶えたい夢もやりたいことも長続きせず 廃人と呼ばれ ニートを自称したことだけが 学校を放り出されてから 現実のものとなった 当然の報いだ そう考え 自分を責めた なぜなら心は人生を立

          【詩】「普通」を目指して歩こう

          【詩】すごい春を見た

          すごい春を見た 初めての四季を越えて すべてが爆発した すごい春を見た 食べものも植物も 新入部員も 夏を越えてひと回りたくましくなった すごい秋を見た ぼよよんと実ったこの腹も 冬を越えると引き締まる 秋に負けた悔しさが 一冬越えて実力になる 春には幸せが実るだろう 一冬越えると すごい春が待っている ひと回り大きくなった すごい自分が待っている

          【詩】すごい春を見た

          【詩】ある男の五年間

          思えば遠くへ来たものだ 愛もわからず知性もなく 気力も湧かず根気もなく 真の心の在り処も見えず 目の前にあるのは 薬の影響ででっぷり太った身体と 目にエネルギーのない若い男 しかしこの男にはやる気があった 少しずつ 少しずつではあるが やりたいことに身体を乗せていって 社会にも参画できるようになり 足掛け五年 ついに定職を得た 相変わらず彼女も友達もできないが それは普通の人でも難しい 奇跡は簡単に起きるものではない 日々の積み重ねが二年経ち五年経ち やがて大きな変化にな

          【詩】ある男の五年間