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素敵な靴は、素敵な場所へ連れていってくれる。 7

 食事をすますと、拓海は何も言わずに隣室のベッドに横になると、なにか考え事でもあるのか、腕を、頭にやり天井を見上げたままだ。
 有美は、手早く食事をすますと、テーブルの上を片付ける。
 以前は、拓海が片付けの際は、よく手伝ってくれていたのだが、最近はそれももうない、有美はいちいち言うのも億劫になって、さっさと自分で片付けしまう。
「シャワーあびるね・・・・」
 片付けが済んで、有美がそう言うと、拓海は、スマホをみながら気のない、返事を返す。有美は、用意をすると、ユニットのバスルームへ入る。
 夏はいつも、帰ったらすぐに、バスルームへ直行して、水のシャワーを浴びる、今日もそうしようと思ったのだが、今日は食事が先になってしまった。
 冷たいシャワーを全身に浴びながら、有美は二人にとって、この二年間は一体、なんだったのだろうと考える、二人で一緒に住み始めたころ、演劇に夢中になっている拓海は、輝いてみえたし、自分にない何かを、彼は持っているような気がした、彼がいるだけで、何か自分に勇気がえるような気がしていた。けれども、惰性は、有美にとっては、少し厄介なものだった。
 

輝くような、存在が、まるで皮がむけるように、その本性をあらわしたのだろうか。徐々にではあるけれどこれから、失うであろうものへの不安が少しずつ大きくなっていくのがわかった。
「最近、彼、すごく小さく見えるんだよね・・・・・・」
前に紗季に拓海の事を聞かれたとき、彼女にそんな事を言った事を思い出した。出会ったころは大きな存在だった拓海だけれど、最近は彼のすべてがそう思えるようになってきた。
 有美は、シャワーの水の中で、眼を瞑り小さく溜息をつくと、水を止めて、タオルで体を拭いて、バスルームをでた。


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今宵も、最後までお読みいただきありがとうございました。

1枚の絵を巡る、女性たちの物語・・・・・

お話はまだまだ続きます。

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