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ワクワクの正体(応用神経科学者 青砥瑞人さん)

★要約=====
「僕、社会人でいっぱい見るんですけど、ゴール設定しました目的立てました。全然ワクワクしてないみたいな(苦笑)表面上言葉上はゴールや目的を立てるけれど本当にワクワクしてますか?というようなゴールや目的がいっぱい。公園で楽しそうに遊んでいる子供にゴールは?目的は?と聞きますかと。楽しいから遊んでいるだけ。」

我々がワクワクしたり好奇心が湧いたりするとき、脳の真ん中より少し下の中脳というところにVTAと呼ばれる脳の部位があり、そこがドーパミンと呼ばれる神経伝達科学物質を合成してくれている。ワクワクしたりするときにつくられる化学物質。これが第一の根源。VTAが脳の部位として大事ということだが、VTAのドーパミン以前の反応がだいぶ分かってきている。
我々はモチベーションが高まるから「動機」と言われる。ドーパミンをつくる部位VTAに働きかけるMSと呼ばれるところとSuMと呼ばれる脳の構造体がある。ワクワクの正体はとりわけこのSuMの働きを考えることが重要。特にモチベーションが湧かなくても行動することはある。例えば子供だったら「あ、葉っぱが落ちている。拾ってみよう」などワクワクしているから行動するのではなくそれ以前に身体を動かす仕組みというものがある。『無目的に近い無作為的な探索を促す脳のシステムがあることが研究でわかってきている。』ドーパミン性とSuMの行動性は分けて考えなければならない。なぜSuMが重要視されるかというと、何か目的があるとかではなくただ単にランダムに行動を促している状態。これは、エントロピーを高めている=混沌度合いを高めること。混沌度合いを高めることは本質的には生物にとってはリスクである。不利益をもたらす可能性が高まっていくのでそうさせないような仕組みが脳には備わっている。ただ、いわゆる心理的安全、危機感が少ない状態においてはSuMが働き無作為な探索が行われることにより偶発的にあっと興味が湧くような瞬間が芽生えやすくなる。そんな瞬間に出るのがドーパミン。

こどもたちにはいろんな環境のオプションを与えることはとても大事。親や教育者がディレクトしていくとその子の無作為探索にならない。こどもたちの興味がそのなかであらわれることを大切にしていく。世の中はいま目的志向であったりゴール設定の大切さが言われていて、それ自体は確かに効果効率や生産性を高めるうえで重要。ただそればかりが表面に出ることによってゴールや目的がないことをネガティブとするフィードバックがかかりやすくなることがとても問題だと思う。VTAからのドーパミン性をはぐくんでいるかいないかによってゴール設定や目的を持つことの効果が大きく変わる。高次脳機能、前頭葉が目的を持つときに重要な役割をはたしている。その際には脳の中で何個か経由してからドーパミンが出る。どんなに強い目的を持とうがVTAが育まれていなければ反応はカスっカスっといった感じ。本質的なモチベーションになっていくためにはVTAが普段から育まれていないとどんなに頭で崇高なゴール設定を持とうが、表面的な言葉だけで本当にワクワクしてるのか?という状態になる。
頭でっかちなトップダウン型ばかりが育まれてしまっていると、自分で自分の内側をワクワクさせることが子が多くなる可能性もある。これからの時代はそれだけでは立ち行かなくなっている。その瞬間瞬間に理由がなくともやりたいことを優先させていく。最終的に仕事や何かにつながることはなくとも、そのVTAを使っていることは紛れもない。何かドライブがかかったときに成長していく可能性がある。


人材育成、教育に“脳”からアプローチ ― DAncing Einstein・青砥瑞人さん | WORK MILL

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