見出し画像

【2020シーズン】マリノス妄想絵日記 13ページ目

1.はじめに

 さあ、2回目の神奈川ダービーです。相手は首位を独走する川崎フロンターレ。その強さの目指す先はどうなっているのか。また、互いにぶつかるとどのようになるか。それぞれ妄想していきましょう。

2.川崎の目指す先はどこなのだろう?

 今季からベースシステムを4-3-3に変え、攻撃的なサッカーへと舵を切った川崎フロンターレ。どのようなサッカーをしているかは、せこさん@seko_gunners)の記事や、polestarさん@lovefootball216)の動画をご覧ください。これで概要が掴めると思います。

 色々見るべきところがあるかと思いますが、自分は守備の仕方が気になりました。なぜこんな方法を取っているのだろう?その疑問と、自分なりの解釈をお話していきます。

■中央誘導からのショートカウンターが狙い

画像1

・ウイングはサイドバックを背中で消しながらセンターバックへ寄せる
・サイドバックが前に出て相手サイドバックをカバーすることも
・中盤の3人で中央に防波堤を作る
・外を切って中央誘導。相手ボランチあたりで奪うことを目指す

 フロンターレの守備は、4-3-3のまま行われます。特徴的なのがウイングの動き。サイドバックにつくのではなく、そこへのコースを切りながらセンターバックへ寄せていきます。かわされたときのカバーとして、サイドバックが高い位置に構える。1トップも反対側への展開を阻害します。

 こうすることで相手のパスコースを中央へ誘導。そこへパスが入ると、ここぞとばかりに待ち構えた中盤の選手たちが刈り取りに向かいます。中央を突破されないよう、基本的に3人は近い位置をキープ。

 奪いに行く際、可能ならウイングも寄せて包囲網を形成。外を切って中に誘導。パスが入ったところで一気に囲んで奪い去る。このような守備方法を採用しています。イメージとしてはリバプールの守り方に近いでしょう。詳細は、とんとんさん@sabaku1132)の記事をご覧ください。

画像2

【POINT】
中央高い位置で奪えると、ショートカウンターの威力が上がる

 中央高い位置で奪えると何が嬉しいか。それは、ショートカウンターが仕掛けやすいことです。両ウイングも高い位置でプレスをかけるため、攻守がひっくり返ると多人数で攻めることができる。また、外側でなく、中央からの方がゴールに近いのは言うまでもないですよね。

 このように、攻守の切れ目を少なくし、素早く相手ゴールへ迫るための守備をする。鬼木監督が描いてる絵は、このようなものなのかもしれません。

■突かれる穴と現実的な守り方

画像3

【POINT】
ウイングの背後にいるサイドバックは時間と空間の余裕がある

 先程の守りかただと、ウイングがサイドバックにつくわけではない。この状況でサイドバックが前に出れない状況を作られると、相手サイドバックに時間と空間の余裕が生まれます。

 センターバックやキーパーのロブパスでウイングの頭を越す。ウイングが高い位置で幅を取ったり、サイドハーフが内側に寄ることでサイドバックのマーク基準を変える。特にセレッソ戦の前半、飲水タイム前はこの弱点を突かれていました。

 そのほかの試合でも、サイドバックから殴られることが散見されました。中央への誘導や、中で刈り取ることが、必ずしもうまくいくわけではないようです。しかし、そうなった場合の策を持ってない鬼木監督ではありません。

画像4

・インサイドハーフを1枚前に出して、4-4-2を組む
・ウイングがサイドバックを見る
・守備の安定性は増すが、カウンターの脅威は減ることに

 ハイプレスがハマらないと見るや、片方のインサイドハーフを上げた4-4-2守備に移行します。タイミングとしては、早ければ前半の飲水タイム直後。遅くとも後半開始に変わっていることが多いです。自分の見た範囲での例外は名古屋戦。このときは、ほぼ試合開始時からこのような守り方をしていました。

 相手のサイドバックがフリーにならず、マーク対象もハッキリするため、守備の安定性は向上します。しかし、ハイプレスを仕掛けていたときよりも後ろ寄りにブロックを組むことに。すると、攻守が切り替わったとき前線の人数が少ないため、ショートカウンターの脅威は落ちてしまいます。

 しかし、今のところそれは大きな問題になっていません。なぜかと言うと、昨季まで大きな武器としていた遅攻も使い分けられるからです。これは今までの積み上げがあってこそでしょう。こういった現実的な戦い方ができるのも、鬼木監督の強みですよね。

■鬼木監督が目指すものとは?

 名古屋戦後の監督コメントにて、このような発言をしていました。

── 守備は4-4-2で構えているように見えたが、名古屋の攻撃力を警戒したものなのか?
構えるということは基本的にはなかったです。ああいう形でしたが、前から行くということで、元気なうちはコンパクトにして良い圧力をかけていた。ルヴァンカップでの相手の狙いや、取った後の前線の選手に何が有効なのか、そこを考えながらやりました。

 また、神戸戦後の監督コメントにて、このような発言もしています。

── 試合前に攻守を分けずに揃えたいと話していたが、そこの手応えは?
そこはまだまだというところです。やり方云々ではなく、まずはしっかりとボールに行く。行くことで他の人が動けるようになる。その行くという作業ができませんでした。それでどんどん下がってしまったと感じています。

 『前から行く』ということを強調しているように感じました。やはり、高い位置で奪い、敵陣でボールを保持する。これを目標に掲げているのでしょう。

 セレッソや名古屋、それ以外の試合でも、相手サイドバックにパスを繋がれてそこから展開される。自分が見てるときはそれが目立っていたので、「なぜ最初から4-4-2で守らないんだろう?」という疑問がありました。勝ちに行くなら穴は少ない方がいいですよね。しかし、ほとんどの試合でそうしなかった。それはなぜなのか。

 鬼木監督の理想としては、中央誘導で奪ってのショートカウンター。それを成熟させるため、試合の入りは必ずチャレンジさせる。これ以上続けると負けてしまう。そういうリミットに差し掛かった時点で、現実的な方法に変更する。こう考えると、辻褄が合う気がするんですよね。

 今季は過密日程なので、練習で新しいことを浸透させる時間があまり取れない。また、どんな順位でも降格がありません。そのため、(どの監督さんもそうだと思いますが)実戦でのチャレンジに踏み切ってるのだと思います。

 しかし、新しいことをする上で自信と信頼は大事。負けてばかりだと選手やサポーターも前向きになれないため、勝利という結果を持って、自信と信頼を勝ち得ている。このあたりのコントロールが非常にうまいと思います。

 つらつらと書いてきました。何が言いたいかというと、川崎フロンターレは未だ発展途上。目指すはもっと先にある。だからこそ、毎試合チャレンジをしている。そのように自分は感じました。いやぁ、末恐ろしい…

3.最近の試合文脈と予想スタメン

■直近の試合文脈

セレッソ戦:前半最初はうまくいかず、相手にやられてしまった

名古屋戦:今回は最初から安全志向でいくも、負けてしまう

神戸戦:あまり前へ出ず、自陣深くに人数を割いて守るもうまくいかず

清水戦:原点回帰し、前から激しくプレスを行い勝利

 前半最初うまくいかずに失点したセレッソ戦。対策として4-4-2がハマって逆転したので、それを用いた名古屋戦。系統として似たものがあるのでいけると思いきや、敗戦してしまう。ハイプレスが怖くなったのか、自陣深くに人数を割くように。しかし、相手ペースとなり、逆転されてしまう。後半から切り替えて前からいき、追いつくことができた。そして清水戦では原点回帰。最初から激しいハイプレスを敢行して勝利をおさめる。

 この流れを汲むと、この試合でも前からいきたいという思いはあるでしょう。ルヴァン杯の出場メンバーを見ても、その傾向はあるように思います。このあたりを考慮し、予想したスタメンが以下になります。

スタメン

■横浜F・マリノス

・ルヴァンでフル稼働したサントスは控えに回るのではないか
・調子のいい仲川は連勤
・腕を負傷した喜田は大事をとってお休みかも
・センターバックは最速コンビで臨みたい

■川崎フロンターレ

・ルヴァン杯でお休みだったダミアンが先発なのではないか
・途中出場の田中、脇坂も先発濃厚
・右ウイングは旗手になるかも
・センターバックは谷口を休ませ、車屋がズレて左に登里が入るかも

4.試合の着目ポイント

■早い時間帯にどちらが制すか

マリノスビルドアップ

・ウイングの背後自然とにサイドバックが入る
・アンカー脇はトップ下やボランチが入るエリア

 恐らくこの試合もハイプレスに挑戦するでしょう。フォーメーションの噛み合わせがいいので、最初はマーク相手に迷うことは少ないはず。こちらがローテーションしたときに、どこまでついてくるかが見どころですかね。

 マリノスはウイングが大外に張ることと、サイドバックが内側を取ることで、前述したサイドバック浮く問題が自然と生まれるでしょう。ここに対してのパスコースを制限できるか。マークはどのように対応するか。ここもポイントです。

 また、アンカー脇のスペースもマリノスの大好物。トップ下やボランチが入り込みます。サイドバックへし、アンカー脇に入った選手にボールが入る。このような連鎖が起きると、川崎としては苦しくなってしまうでしょう。しかし、機動力のある田中と脇坂を起用しているので、運動量で補えるはず。ここをどちらが制するかも大事になりそうです。

 仮にマリノスがうまく攻めることができた場合、飲水タイムでブロックを組んだ守備に切り替えてくるはず。なので、前半の前半にスコアが動くかどうか、ここが最初に訪れる分水嶺になるでしょう

■サイドの攻防と中央からの飛び道具

フロンターレの攻撃

・右サイドは家長からファーへのクロスを狙いたい
・ぺったんこになったディフェンスラインに対してミドルシュートが刺さる
・左サイドはウイングと相手サイドバックの1対1が鍵

 受け身にならず、前からプレスをかけるだろうということ。そしてこの予想メンバー。マリノスディフェンスライン背後を狙ったロングカウンターはあまり狙ってこないでしょう。(メンバーが、宮代、小林悠、旗手あたりで組むならそれもありそうですが)基本的には自陣から繋ぎ、相手を崩すやり方のはず。要はいつも通りです。

 マリノスはサイドに極端に寄った守備をするため、ファーへのクロスに弱点を抱えています。家長からのクロスは最早フロンターレの十八番。これは狙ってくるでしょう。

 そのためには家長に時間と空間を作りたい。山根が内外問わず上がっていくことで、それを捻出します。この動きにマリノスのウイングがどこまでついていくか。ついていかない場合、1対2でどちらに軍配があがるか。脇坂もこの隙間に潜ってくるので、そこも含めた攻防に注目です。

 また、マリノスのディフェンスラインはサイドを攻められると最終ラインがぺったんこになりがち。今季何本かミドルシュートを決めている大島。彼の飛び道具は有利に働くでしょう。恐らく何発か被弾するはず。これが決まるかどうかも試合に影響しそうです。

 反対サイドはデュエルが見どころ。三苫のドリブル、旗手の抜け出し。これらに対して、マリノスのサイドバックがどこまで対応できるか。バチバチ繰り広げられるであろうバトルを楽しみましょう。

■切り替え合戦を制するものが、ボールを保持できる

 先日のルヴァン杯準々決勝。札幌戦にて、マリノスは大苦戦を強いられました。それは、札幌の攻守の切り替えが早かったからでしょう。マリノスは丁寧に相手を動かすより、切り替え時にできるスペースを相手より早く突く。このような方法でビルドアップをする傾向にあります。特に最近は、大然とサントス加入もあり、これが加速している。要は、切り替え勝負で相手を殴っているのです。

 個人的には、川崎フロンターレの最たる強みは切り替えの早さだと思っています。攻守の切り替えは恐らくリーグ1でしょう。そんな相手に今までと同じやり方をすると、まともに繋ぐことができなくなる可能性が高い。当然、ボール保持率は下がるでしょう。

 そのため、この試合ではティーラトンを中心とした、丁寧なビルドアップが求められます。自分たちが動き、川崎の選手たちを動かす。空いたところから繋ぎ、みんなで攻める。これができれば、自ずとハイプレスもハマるはず。

 当然カップ戦とは属性が違うのでチャレンジはすると思います。それがどうなるか、首位相手にどこまでできるのか。見ていこうではありませんか。

5.おわりに

 今まで取り組んでたこと。その成果がどれだけ出せるかが問われる、試験のような試合になるでしょう。こちらが適切に取り組めれば、首位相手にも張り合えるはず。反対に、少しでも間違えたり逃げたりすれば、ボロッボロにやられるでしょう。

 ルヴァン杯は現実的な選択をして、勝つことができました。一発勝負のカップ戦なので、それ自体は構わないと思います。ただ、現実的な選択肢があのサッカーだということに悔しさを感じました。今の俺らはあの程度しかできないのか。そんなわけはない。そうだろ?これからも挑戦する姿を多く見れたらいいなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?