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なぜ「トレンド感」が必要なのか、の答え

先週は静岡へ出張していました。浜松に行ったのにうなぎと浜松餃子を食べなかったのが痛恨でしたが、「さわやか」のハンバーグで僕は十分満足です。レアハンバーグはさわやかしか勝たん。ガチでおすすめです。

 
さて、トレンド感については僕もよく口にします。こういうコーデの方がトレンド感出ますよね、みたいな流れで。商品説明とかにもよく使われていますし。

スエットアイテムをニット生地に置き換えたプルオーバーパーカ。
二重組織ならではのしっかりとした生地感と、スムース編み・カシミヤブレンドならではのソフトな肌触りが特徴。
あえてXLサイズをセレクトしオーバーサイズでの着用もトレンド感があり◎

https://www.mistore.jp/shopping/product/900000000000000001559827.html

二重組織という表現が二重スパイみたいでかっこいいというのはさておき、トレンド感があると良い、というのは共通認識になっていますよね。

じゃあトレンド感があると”何がいい”のでしょうか?

一番簡単な答えとしては「今を生きてる感」が出るということです。

そして、それは人にとってもモノにとっても避けて通れない大事なポイントだと思うんですよね。

「動いているものは生きている。それ以外は死んでいる」

これはファッションデザイナー、ドリスヴァンノッテンの言葉。だからデザインも進化していかなければならないという話に繋がっていきます。

ドリスは世界観は崩さず、でもしっかり変化を取り入れているデザイナーだから説得力があるなと。個人的にもドリスはテイストが好きならおすすめのブランドですが。

非常に端的な表現なんだけど、まさにこれが真理だなと僕は思ってしまった。そう、動いていないものは死んでいるんです。更新されないホームページとか。最新情報が3年前のお店とか怖くて行けませんよね。

これ、人も同じなんですよ。

いつまでも変わらない格好、何年も前のスタイルのままだったら、いろんな意味で時間が止まっているんだなぁ。最近のことに興味がないのかなぁと感じてしまう。

そのスタイルが好きであえてやってるのであれば強くは勧めませんし、何らかの事情で止まらざるを得なかったなら仕方ないと思う。でも動けるのであれば正直今のスタイルを知って、取り入れた方がいいかなと。

なぜかと言えば、やっぱり素敵に見えないんですよ。他と比較したときに。

「おじさん化」「おばさん化」の元凶

僕もそういう年代になってきたのであまり人のことは言えませんが笑、悪い意味で変わらないことは、まさにその元凶だと思っています。

悲しいかな、スタイリスト的な仕事をしている人の中でもそれはあって。感覚がアップデートされてないなぁという人はどうしても「一昔前感」が出てしまう。垢抜けない。まずその人をどうスタイリングしたらいいか勝手に悩んでみたりして。

つまり意図してないのに一昔前感が出てしまうと、いわゆる「おじさん」ぽさ、「おばさん」ぽさになってしまうんですよ。

ただ、おじさんとかおばさんというのは”今っぽくないという印象”をあらわす表現であって、加齢したら必ずそうなるかというとそうではない。年齢的には該当しても、そう呼ばせない、呼べない雰囲気の人もいます。どうせ目指すならそっちを目指したいですよね。

芸能人で言うと夏木マリさんなんかまさに年齢なんて関係ないという感じですよね。その姿に共感や憧れが集まり、現在でもファッションブランドやジュエリーブランドの広告に引っ張りだこです。それも同年代へのアプローチではなく、全年代に向けたPRで。

おそらく、常に自分のスタイルやビジュアルを時代に照らし合わせて変化させてこられた。だからいつも鮮度が高いし、挑戦を続けること自体への支持も集まるのですよね。鮮度は自分でキープしていくものだと思っています。

そう、そして洋服にも鮮度=賞味期限があるんです。

「洋服の賞味期限」を確認する

洋服は食品のようにある程度経ったら腐るということはないのですが、やっぱり賞味期限のようなものはあるんですよ。

それは何かというと、トレンド的な鮮度の問題。

たとえばジャケットやプリーツスカートにしても、2022年のものと2002年のものでは細かいシルエットや丈感とかが違うんです。サイズ的に問題なければ着ることは出来るけど、やっぱり同じアイテムで比べたら鮮度が落ちる。

中には名品と呼ばれるような、オーソドックスを極めた価値や鮮度の変わらないアイテムもあります。でもそんなものはひと握り。昔と体型変わらないんで着れちゃうんですよー♪と軽く自慢してる場合じゃないケースは結構あります。

基本的に、洋服はその時代の空気を織り込んで作られます。その時代の”あたりまえ”だったり、そのときは新鮮だったアイデアとか先端の技術とか。それを着ることで「その時代の空気をまとっている人」になれた。

仮に5年前のものだったとしても安心は出来ません。すべて今から見たら過去なわけで、今は今の空気や新しいアイデアがある。どうしても過去にこだわるのでなければ、やはり服にも賞味期限はあると考えるべきでしょう。

でもこれは仕方のない側面もあって。
その時代時代で体型のサンプルも変わっていきますよね。最近の小学生なんて腰の位置が明らかに高いし。そういう生物学的な理由もあって今の服が合わないというケースもあると思うのだけど、だから昔の服を…ではなく、今のもので合う服を探してほしいというのがスタイリストとしての願いではあります。合う服は必ずあるので。

トレンド感=今を生きるライブ感

別に絶対的にトレンドを追えとは言いません。僕も局地的・バズりのようなトレンドにはあまり興味はないので。

ただ「今っぽさ」の要素は絶対に必要だと思っていて。やっぱり今勢いがある、今を感じるものに人は惹かれるんですよね。

丈の数ミリ、デザインの数センチでその人のイメージは変わってしまう。一昔前感が出てしまうこともある。狙ってでなければ、それは避けた方がいいと思うんですよ。

トレンド感とは「今を生きているというライブ感」と言い換えることも出来ます。よく着るアイテムは、最近・最新のものも加えてみてください。一見大きな違いはなかったとしても、見る人の印象には違いが感じられるはずです。そして何より、自分も新鮮な気分で、まさに今を生きているぞと自信を持って臨むことが出来る。

そして、着ていた服には今までありがとうと新旧交代させてあげる。誰かに譲ったり交換会に出すのもいいでしょう。これで昔の服も報われます。

たとえば今なら、ヒールやパンプス、ビジネスシューズだったところをローファーやスニーカーにする。スニーカーでもレザーのものにする。シャツの襟をバンドカラー(襟なし)にしてみる。アクセサリーをクリアな石のものにする。

ひとつ取り入れてみるだけでも「今っぽさ」が出てきます。トレンド全部やるぞとかだと頑張ってる人になってしまうので、自分が出来そうなこと、似合いそうなアイテム、違和感がないことからチャレンジしてみるといいでしょう。

 
そしてこれは個人だけでなく、企業やショップ、ブランドの見せ方にも通ずること。

一時期ファッションの老舗ブランドが、ネームの他にROMAとかPARISとか地名を加えるラッシュがあった時期がありました。

これはグローバル化が進むにつれて「このブランドどこ発祥だっけ?」というのが曖昧になる人が増えたことに対し、しっかりアイデンティティを示しブランドの価値を守ろうということの表れでしょう。

まさに時代に対応した見せ方であり、今を生き抜くに必要だったこと。いかに安泰そうに見える老舗であっても新鮮さやライブ感を欠いては残っていけないわけです。

最近ではヨーロッパのスーツブランド代表格と言えるヒューゴボスが大胆なリブランディングを行いました。

僕のイメージでもヨーロッパの空港に行くと必ずある大人向けスーツブランドという感じでしたが、思い切った若返りを図り、雰囲気を一新しています。これも「今を生きる=これからを生き抜く」ための戦略であり賭けですよね。

日本でも、ランバンのライセンスブランドである「ランバン コレクション」が大幅なリモデルを行なっています。

新たにデザインを担当する祐真朋樹さんはスタイリストとして著名なだけでなく、香取慎吾さんと共同で立ち上げたセレクトショップ「ヤンチェ オンテンバール」などクリエイティブ面でも注目されている方。

これまでのランバンコレクションは、正直に言って”年配の人向けのパッとしないブランド”というポジションに甘んじていたのですが、今回で一気に生まれ変わりました。僕も早速シャツを買いましたが、控えめに言っても素晴らしい出来です。個人的におすすめ。

まとめ

仕事柄さまざまな人やモノ、ブランドを見てきましたが、やっぱり選ばれる条件は「今を生きている」トレンド感・ライブ感があること。

それがちょっとした服の選び方や髪型、メイクを含めた見せ方で変えられるとしたら、手を付けないのは勿体なくないですか?

なんでもとにかく新しくすればいいとは思いません。
京都や鎌倉でも、外観はそのままにリノベーションしたショップが人気ですよね。良さを保ったまま新しさを加える、そのバランスを個人やケースごとに考えていけばいいと思うのです。

周りに合わさないと、合わしとけば安心だから、という視点ではなく。自分の鮮度を保ち新しい視点を身に付ける、自分の成長のために、トレンド感を意識してみてください。

ちなみに、変わってないよ的なブランディングをしている「キューリのキューちゃん」でも、選ばれたたったひとりの担当者が時代に合わせた微妙な味の調整を行なっているのだとか。歴代の食べ比べてみたいなぁ。違いが分かる自信まったくないけど。

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個人の方や企業様より、ファッションスタイリングを含めた見せ方やブランディングのご相談を日々承っています。何かお手伝い出来ることがあるかも知れません。「タイタンの学校(校長・太田光代)」でのファッション講師などスピーカーとしての活動や専門家としてのコメントや執筆なども。まずはフォームからご相談、お問い合わせ頂ければ幸いです。

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オーダーメイドスタイリスト 神崎裕介


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