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「エルメスのスーツを着ればモテるわよ」

元CAを名乗るそのビジュアルコンサルタントは、そう言って婚活パーティに臨むヨシオ(仮名)にエルメスのスーツを勧めた。

 
半信半疑だったヨシオだが、説得力があるように思えた彼女の言葉を信じ、思い切ってエルメスのスーツを買った。そしておそるおそる婚活パーティに向かった。

 
すると、なんということだろう。これまでモテた経験のないヨシオの周りにハイスペックな女子が次々とびきりの笑顔で寄ってくる。中にはさりげなく手まで握って次の約束を取り付けてくるコまでいるではないか。オレは今日人生で初めてモテている。「先生!ありがとうございます!!」この世の春を迎えたヨシオは心からコンサルタントに感謝した。

 
そして舞台は変わってプライベートでデートの日。
上機嫌でいつものようなカジュアルな格好で待ち合わせの場所に現れたヨシオはデート相手と無事合流したのだが、、「どんなお仕事内容なんですか?」「どんな暮らしをされてるんですか?」と話を深めていくたびに彼女の顔が曇っていく。しまいには「あなた私を騙したんじゃない!!」と女性は激怒して帰ってしまった。

 
そう、ヨシオはとてもエルメスのスーツを楽々と買えるような経済状況ではなかったのだ。高級スーツなど買ったこともなければ、エルメスに入店したことすらない。それでも婚活のためにアドバイスを信じて買った結果、女性を怒らせることになってしまった。果たして、ヨシオはどうすればよかったのだろうか?

 
これ、僕が実際に聞いた話です。
ヨシオさん、本当に可哀想だと思います。彼にはどうしようもなかった。一つだけ言うなら、付いた先生が良くなかったですね。

 
残念なことですが、この話のように「その場が良ければいいじゃない」というアドバイスをする人、多いです。その後のことを考えてない。だってこの話の場合、どう考えても普段がユニクロの人に婚活パーティの時だけエルメスなんて着せたら詐欺でしょ。それ結婚詐欺師の手口やん。逆バージョンで考えたら婚活の時は吉高由里子みたいな感じで来てたのに部屋が鳥居みゆきのホラーな家だったみたいな。そりゃ騙されたって言うわ。誰が聞いてもおかしいことを教えてる。

  
そしてこれまた残念なことに、特にファッション専門外から入って来た方にそういう話が多い。

 
なぜかと言うと、どうもそういう方はファッションを「単なる道具」と思っているフシがある。メイクとかも合わせて綺麗にカッコ良くなればもう無敵!と考えていがち。ビジュアルさえ良ければ金も異性も寄ってくるみたいな。

 
もちろんそういう面も否定はしません。僕も仕事もプライベートもビジュアルは大事と言ってます。飛び抜けてビジュアルが良ければ人生イージーモードな部分はある。でも、見た目がセレブ風で中身が一般庶民だったら「騙された」ということになるんですよ、必ず。それだけ外見から抱くイメージは強いし、そこからの勝手な連想はこちらで制御できない。

 
だから「会ってみたら普通の人でがっかりした」とか「セレブ要素が皆無だった」なんて感想が飛び交うんです。良いイメージを打ち出すなら中身もそれに伴っていないとギャップでマイナスイメージを持たれるだけ。こういう格好をしたらどんな連想をされるか?その後はどうコーディネートすればいいか?まで考えて選ぶ必要があります。

 
「見た目を引き上げればいい」というものではなくて「その人のステップに合わせた見た目に引き上げる」というのが正しい。ステップが合ってないと見た目を維持するのに疲弊したり嘘をつくのが苦しくなって全く楽しめない。ブレイク時の元ゲンキングさんがまさにそうだったと告白してましたね。

インスタでのおしゃれで華やかな生活を維持するため、キャッシングしてまでハイブランド品を次々と購入。
 
「SNS(のフォロワー)が増えちゃってるから、止められなかった。応えるしかなかった。期待は裏切られなかった。借金して理想を演じてましたね」と偽りの生活を演じていたことを明かした。

海外旅行の際は、片道は無理してビジネスクラスに乗り、その写真をSNSにアップ。帰りはエコノミー、というパターンで、「常に無理してた。毎日火の車」と振り返る。
ー2016年11月15日『デイリー』配信よりー

 
あとSNSとかでハッタリプロモーションが流行ってしまったのも誤解の原因だと思います。まさに↑のがそうなんですけど。ハイブランド着てる=お金稼いでますみたいな単純な仕掛けでヘタに成功する人が出てきちゃった。でもその服を買うお金はどこから巻き上げてるのかみんなもう知ってますわよ。おほほ。真面目に働け。

 
ファッションは単なる道具ではなく、その人の個性を表現する「自分の分身」です。
 


分身なんだから、自分とかけ離れ過ぎてはいけない。でも内にある「いろいろな自分」を多面的に見せることもできます。そのためには自分を知ることが最初の一歩。自分て何が好きだっけ?どういう風に進んでいきたいんだっけ?と問い掛けてみてください。男性はこういうの不得意だと思いますが、必要なステップですよ。

 
今度婚活パーティーの参加者をスタイリングしてカップルを増やそう!企画をスタートさせるのですが、冒頭のヨシオくんのような悲劇が起こらないように、個人の魅力がしっかりそのまま出て、その先を意識できるような見た目を提案していきたいと思っています。こちらもまた投稿していこうかな。

 
最後に、仮名として名前をお借りした友達ヨシオくん、たまたま名前が浮かんだという理由だけで使ってすいません。実物は長身でイケメン…かどうかは好みによるけど人並み以上にモテた悪友だったことを記しておきます。

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