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idcdというパワートレイン

今回は、番外記事としてidcdというパワートレインについて書いてみようと思う。
家車として普段からeHEVに乗り慣れている自分だが、idcdには思うことが色々あった。

サムネはホンダ公式より。

idcdとは

ここで、超超複雑なidcdに関して。
idcdとは、1.5Lの直列4気筒エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムである。ここまではeHEVと一緒。

ただ、組み合わされるトランスミッションは7速のDCTと非常に特殊で、これは自分の憶測だがMTベースであることによるCVTと比べた時の伝達効率のよさ、ダイレクト感のある走りが主な理由だろう。

ホンダ公式より。

詳しい説明はホンダ公式に頼りながら書いていこうと思う。
idcdには3つのドライブモードが存在する。

🟢EVドライブモード
主に低速走行時はEV走行する。ただ、モーターがとても小さいので、10km/hまでの微低速と60km/hくらいまでの巡航くらいで、基本的にはエンジンがかかってるシステムだろう。

🟡ハイブリッドドライブモード
おそらく運転時にはこのモードが一番多い。モーターとエンジン両方が頑張って走らせる。

🔵エンジンドライブモード
高速クルーズなどではエンジンのみの力で走る。場合によっては充電も同時にする。

スポーツハイブリッドたる所以

結論から申し上げると、このパワトレ、載せる車をかなり選ぶ。
DCTを使っているという特性上当たり前と言われれば当たり前ではあるが、どうしてもギクシャクしてしまう。特に酷かったのは低速走行時。
今回試乗したのはフリードのハイブリッドの後期型だが、マシになったとは聞いてはいたものの、加速時に15km/hほどで必ずエンジンがかかるということもあってか、そのあたりまで加速して減速して…というようなことを繰り返すと常にガコガコギクシャクしていた。
多少であればいいのだが、ほぼ常に首が動かされるほどギクシャクしてるとなると相当ストレスだろう。

また、エンジンも1.5Lなので、相応にエンジン音も侵入してくる。ホンダのハイブリッドではあるあるなのだが、一般車においてここまでスポーティーなエンジン音をお届けする必要があるのかと言われれば、自分なら「ない」と答えるだろう。やはり日常的な場面で言えばどうしても日産のepowerやホンダのもう一つのシステムであるeHEV、トヨタのTHS2の方が圧倒的に強い。
インバーターの音もそこそこ入ってくるし、ギアがカチャカチャいってる音もたまーに入ってくるので、音関連は総じて言って快適とは言い難い。
インバーター音好きからしたらたまらないのだろうが、この世で車のインバーターの音が好きなんて人、おそらく5%もいない。

ただ、音量が大きいというだけで入ってくるエンジンの音は大変気持ちよく、そこそこ小排気量であることも手伝ってなかなか軽快に、元気に回る音が聞こえてくる。加速の段つき感もよく、ハイブリッドながら街中を走るだけでも楽しいシステムといえよう。epowerもベクトルは違うが楽しいシステムである。しかし、よくidcdが言われている「車好きのためのハイブリッドシステム」というにはidcdの方が適していると言える。

バッテリーの出力は思ったよりも大きい

バッテリー、モーターに関して。モーターの出力は29.5ps、トルクは160Nmと、モーターとしての特徴がかなり出ている。
絶対的なモーターの出力は小さく、こんなに小さなモーターなんて加速補助程度にしか使えないと思っていたが、思った以上にEV走行できるようで、燃費走行も思った以上にしやすい。

スタートはほぼほぼモーターのみでの走行となる。ガッとくる感覚はないが必要十分で、逆に自然な発進ができるとも言える。スタートからガッとくる感じはeHEVでもないので、ホンダとしては自然な感覚を大事にしたいのかもしれない。

10km/hほどでエンジンがかかり、その後はエンジンとモーターが協力して加速していくが、ほとんどエンジンで加速しているかのような加速感で、モーターの存在感は消えてしまう。
ただ、60km/hほどまでの巡航であれば頻繁にEV走行し、一回に続くEV走行時間も予想していたよりかなり長い。たかだか30馬力しかないモーターではあるが、伝達効率が高いことも手伝ってか、もっと大きなモーターを積んだHVと遜色ない実力を持っているように感じた。マイルドハイブリッドのデカい版のように考えていたが、思った以上にちゃんとハイブリッドしている。

ただ、モーターのみで加速しようと思うと正直辛い。加速時は必ずエンジンがかかる。モーターのみで発進したとしても15km/hで必ずエンジンはかかるし、ちょっとでもラフにアクセル操作するとすぐEV走行をやめ、エンジンが元気よくふけてしまう。
7速のDCTを搭載しているのでギア比的にそうなってしまうのはしょうがないのだが、それを何も知らない一般人が買って乗ると考えたら、そんな元気な吹け方をされても困る。

ただ裏を返すとガソリン車に大変特性が似ており、ガッと加速してすぐ一定速巡航に持っていくと燃費を伸ばしやすい。モーターもそこまで力が強いわけではないので、加速時にバッテリーを無駄にダラダラと使うこともなく、しっかりと協調して活用することができる。

面白いLレンジ制御

Dレンジとは別にエンジンブレーキを強くかけるLレンジがある。こちらの制御がなかなか面白いというか、ハイブリッドらしからぬ制御をしている。
おそらくそのスピードで入る最小のギアに入れてエンブレをかけているのだろうが、まるでパドルシフトを操作しているかのような感覚になる。
フリードでもスポーツというか最上位グレードだけでもパドルシフトがつけばと思うところではあるが、これだけあればミニバンとしては十分とも言える。山道などではSモード(DとLの中間)が欲しくなるし、自分の意思でブレーキをかけることができたほうが楽なので、次期型では(おそらくeHEVになるだろうが)、回生パドルシフトがつくと嬉しい。

まとめ

idcdに関しては昔から興味があり、いつかは乗ってみたいと思っていたパワートレインなので記事にしてみたが、かつてから思っていた通り載せる車を非常に選ぶ。

フリードという車に載せるには少しスポーティーすぎると感じる。例えば渋滞に巻き込まれた時。普通のコンパクトカークラスの車であれば多少燃費は落ちるが、常に首が動いてしまうほどのギクシャクに見舞われるなんて、相当出来の悪いトランスミッションやAクラスなどのDCTを積んでいる車種(こちらは乗車経験がないのでなんとも)でもない限りまずないだろう。
ただフル加速時のフィーリングの良さやMT感半端ない加速感、意外とできるEV走行など、代え難い長所もある。

例えばフリードHV購入時、燃費のためにハイブリッドにするなら、もうすぐでる次期型を待ってもいいと感じるが、中古でこれからフィットやシャトルを買うという方はぜひ検討してみるのもいいのかもしれない。

つまりはこのidcdというシステムは玄人向けというか車好きのためのハイブリッドシステムで、一般の車の興味のない方々からすると「せっかく燃費を考えてハイブリッドにしたのにカクつくだけの不快なシステム」になってしまう可能性がある。もちろん燃費はいいが、大半のハイブリッドが持ち合わせている滑らかさはほぼなく、ガソリン車ライクな一方で、ハイブリッドに乗っている特別感はない。

そういう意味では次の世代にあたるeHEVは燃費、加速フィール、なめらかさなど、ハイブリッドに求められるものと、もちろんある程度の割り切りは感じるがホンダがやりたかったことを両立させたシステムと言えるだろう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。スキやフォローよろしくお願いします。

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