見出し画像

「蒼穹の昴」浅田次郎さん(読書感想文)

西太后慈禧~シータイホウ・ツーシー。

なんてきれいな名前なんだろう。

なんで日本語にはツーシー的な
発音がないんだろう。

ところで、「珍妃の井戸」に
驚いていた自分の無知さ。
浅田さん、この時代の専門家やん。

春児(チュンル)の子供時代も
描かれていた。彼は自分で宦官に
なったけど、すごい残酷な方法。
こんな具体的に描写されているのは
初めて読んだ。

タイムラグ的、
乾隆帝とカスチリョーネとの
やりとり、大歴史ロマン。

中学生とき、「三国志」を
読んで感動して、30代で
もう一度読んだとき、あまりの
心理描写のなさに、アホらしく
なった。小学生程度の男子の
国取合戦だな、と思った。

が、「蒼穹の昴」は
心理描写もすごい。

日本の文学が、子供から大人に
なったんだな、と思った。

外国人たちが中国に押し寄せて
「ツーシー・バー」なる
ものをオープンさせるの、いいね。

そして、1997年6月の香港返還を
生で見ていた私には
99年前(久々)に取り交わされた
条約に鳥肌が立った。
先人の知恵があっての返還。

日本には科挙と宦官の制度だけは
伝わらなかったそうな。

そして最後に、自分の急所を
切り落として、白いロウを詰めていた
春児が、妹の玲玲(リンリン)に
ロウを抜いてもらって
尿が飛び出すシーン。

過去に戻ってここから歴史が
始まったことを思い出させてくれた。

今まで読んだ本の中で、
かなりの圧巻(これは科挙語らしい)だった。


#創作大賞2023   #オールカテゴリ部門

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?