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演技は簡単なんです

はじめに

去年、映画プロデューサーの小柳さんからお声かけいただき
俳優のための「演技力を高める勉強会」に
3回ゲスト講師として呼んでいただきました。

1月にオンライン
3月にリアル開催
12月にリアル開催

おかげさまで全部で150名ほどにお会いすることができました。
小柳さん、ありがとうございます。
参加してくださった俳優の皆さま、出逢ってくれてありがとうございます。

さて、12月に開催した勉強会のまとめです。

いつも最初に話すのですが
「これを受講すると、俳優を辞めることになるかもしれません」

俳優として演技力を高めて活躍していきたいから、ここに来ているのに、いきなりそんなところから始まります。(苦笑)
辞めろとは言いません。
すべて決めるのは自分ですから。

ただ、受講してみてすぐ、または数ヶ月後や1年後に辞めることを決断したとしても、これだけは言えますと続きます。

「よりよく生きること(考え方、向き合い方)が身につくと思います」

私の勉強会は、コーチング的な要素が強いので、生き方、考え方に向き合うことになります。

そして
そもそも俳優とは、生き様が全て現れる職業です。
生き方や考え方、意識に向き合うことから逃げて、表面的に何かをやろうとしても、うわべの浅い表現で、感動を呼ぶものになりませんし、すぐに頭打ちになります。
何より、自分が苦しくなります。

仕事がほしいのであれば、続けたいのであれば
人間として愛されることが大事なんです。
それが本当のファンづくりであって、SNSのフォロワー数を増やすことが
ファンづくりじゃないんです。

で、勘の良い人であれば気づくと思うのですが
これは別に俳優に限らず、どんな職業であっても
特に個人事業主と言われる方だったり
ひいてはお仕事をしていない誰にだってあてはまることなんですよね。

好きだな、応援したいなと思われることが、ファンを増やすことです。

あなたはどんな人を応援したいですか?
イメージした、そういう人になればいいのです。


生き様を晒すことができるのか

さて、その上で俳優にとって大事なことをお伝えします。
私自身の根底に
「人は皆アーティストである。生きているだけで表現している。」
という考えがあります。

だからこそ、わざわざ表現することを仕事として選んだ俳優には
やはりそれに見合うだけのスキルが必要です。
スキルを手にするための努力も必要です。

あれ、演技は簡単じゃなかったの?
タイトルに惹かれて読み始めた人は、汗をかき始めたかもしれませんね。

簡単にするためには、やらなくてはならない必要なことがあるってことです。
大人は歯磨きを簡単にできると思いますが、小さな子どもは歯磨きをうまくできません。毎日続けているうちに、大人になって無意識でも歯磨きできるようになったらから、簡単だと思うだけです。

俳優として必要なことも、同じです。
必要なことをコツコツ続けて身につくから、簡単になることが結構あります。
それを知らなければ、続けることもできないですよね。

どんなことを意識して、どう生きているのかが
全部出るんです。身体にも、声にも、表現にも。

演じることは、俳優個人の身体を使って、誰かを生きること。
ですから、生き様を人前で晒すのが俳優という仕事です。

俳優に必要なこととして、12月の勉強会でやったこと

  1. 自分を知ること

  2. 身体を知ること

  3. 身体と感情のつながり

  4. 身体と声

  5. 想像力(五感)の開き方

  6. 身体を演技に活かすこと

  7. コミュニケーション能力を高める

  8. テキストを自分に落とし込み、自分だけの表現をつくる

  9. ゴング振動体験

1から3について、ちょっとだけ説明しようと思います。

1.自分を知ること

俳優は自分のことを知っていなくてはなりません。
長所、短所、容姿、性質、声のことなど。
知っているから、使うことができる。
道具の使い方と一緒です。何をするものかわからない、操作の仕方がわからないものは使えません。

また、サービスや商品を販売することを考えてみてください。
その商品のことを説明できないと買ってもらえませんよね。

俳優は、自分自身が商品です。
ですから、こういう人間です、こんなことができます、こんな特徴がありますなど説明できないと買ってもらえません。(仕事がきません)
それが自己紹介や、プロフィールだったり、オーディションでのPRだったりします。


しかしながら、自分を知ることは正直ちょっと難しいです。

人のことはよくわかるのに、自分のことはよくわからない。
逆に人のことがよくわかるのは、なぜでしょう?

人のことは簡単に見ることができる。
客観的に捉えられるから、ですよね。

では、それを自分にやればいいことになります。
まずは客観的に捉えられるかどうか、です。

どんな方法がありますか?

鏡を見ることは、すぐにできますよね。
また、今はスマフォなどですぐに動画を撮ることができます。
自分を観察することができます。


次に必要なのは
中から感じることを分析できるかどうか、です。

「感じる」ことは、自分にしかできないこと。

感覚は人それぞれです。同じ温度のお茶を飲んだとしても
熱いのか、温かいのか、ぬるいのかの感じ方が違う。
同じ色を見ても、他人が同じように見えてるのかは分かりません。
つまり、誰一人として同じ世界を見てるわけではないのです。

その自分にしかない「感覚」があなたの個性でもある。
だから自分のことを知るには”感じる”ことに敏感になることが大切なポイントになります。
そして”感じる”のは肉体があるからできることです。

自分を知ることは、身体を知ること。

2.身体を知ること

生まれてから、死ぬまで一度も手放すことのないもの。
それが身体(肉体)です。
身体は誰かと交換することができません。
そして、いつでも自分と一緒です。

これだけ身近にあるのに、自分の身体のことを知らない人が多いです。

身体を整える際に、私がまとめた
みえるからだほぐし®︎という
セルフメンテナンス整体をお伝えしています。

最初に、立ってもらい「自分はちゃんと立てていると思う人?」
という質問をします。
ちゃんとの基準は各々で構いませんが、自信を持って手を挙げられる人は少ないです。

その状態だと、人前に立った時に「ちゃんと立てているだろうか、きれいな姿勢だろうか」ということに意識がいく。
人の目に触れるとき、無意識にやっていることを、意識しなくちゃいけない状態になる。
それって、エネルギー漏れしちゃうんですよね。

余計なことに意識がいくってことは、本来使うべきところのエネルギーを削がれていることになるからです。
そして、今に集中できてない状態とも言えます。

想像してみてください。
生きていることって「今ここ」にしかいないんですよ。
過去も未来も ”今” 味わうことができない。
常に、今、今、今の瞬間の連続です。
演じる時、俳優はその役の人生を生きています。
生きてるってことは「今ここ」にい続けることです。
なのに、俳優の自分の姿勢が気になってしまうって、全然役を生きてないですよね。

自分の身体を知ること、俳優としてのトレーニングに必要なことは
普段無意識で行なっていることをどれだけ意識できるか
ということでもあります。

電車を待っている時、コンビニの列に並んでいる時
自分はちゃんと立ててるだろうか、と意識してる人はどのくらいいるでしょう?
これは他人が近くにいるので、意識してます、という方はいるかもしれません。

では、もっと当たり前に無意識の状態
家の中で、起きて顔を洗いに行くときに、立ち姿や歩く姿を意識している人はいますか?
歯磨きの時の、歯ブラシの持ち方、腕の角度、動かす速度、口の開け方、目の開き方、表情筋、呼吸など、意識してます、という人は?

これらを全て記憶しているのです、身体は。
人間は、日々のさまざまな選択もほぼ無意識に行なっています。

なぜ か?                       
いちいち意識していたら、とっても疲れるからです。
脳の処理が情報量が多くて追いつかないからです。

しかし、演技をする時には

・同じことを繰り返さなくてはならい とか
・この役であれば、どのように日常の行動をするだろう とか
・手の先だけを抜かれる、目線だけ抜かれる とか

そういう様々な条件によって、無意識にやっていることを意識しなくてはならなくなりますよね。

その時に、いちいち動き(身体の状態)が気になっていたら
考えている(思考が働いている)ので
感じることができなくなります。

考えているときは、感じることができず
感じているときは、考えることができない
というのが、人間の持つ思考と感覚のルールです。

考えてしまっていると、例えば目の前の役の人や、周りにあることを感じられなくなっている。

身体を知っていれば
普段から無意識でやっていることを、その身体の状態を意識しておけば
演技に集中できます。

では、最初の質問、ちゃんと立ててますか?に戻ります。

足の指は、どれだと認識していますか?
大体の人は、分かれている5本が足の指だと思っています。
骨の構造で考えると、もっと長いんですよね、指は。

指を、本来の指と思い出させること
踵の役割を思い出させること
3本のアーチを取り戻すこと
ができると、一気にちゃんと立つことができる上に
上半身の状態も楽になります。

でも、意識してないことは存在してないことと同じ。
あなたが思っているところが、足の指として使えてるだけ。
本来は使えるはずのものを、使えなくしているのはあなたの意識
もしくは知識不足、なだけです。

知ればいいですよね。知って意識できればいいですよね。

足から始まり、ほぐして整えて、骨・筋肉・靭帯を
身体のニュートラルを思い出させるようにしていきます。

足の指と同じように、自分の身体に触れながら
身体の構造として、本来は使うところを使えてない箇所を起こしたり
反対に動かしてはいけない箇所を動かさないことを自分に教えていきます。
触れること、観ること、感じることによって、意識できることになります。

しかも、身体はいつだって触れるところにあるんですよ。いつだって。

誰とも取り替えることができない、自分の身体のことを
どれだけ知っていますか?

3.身体と感情のつながり

ここまでを少し理解できたら、ようやく演技が簡単になるパートです。
お待たせしました(笑)

以前、感情は心がつくってるのではない
という記事を書きました。

これがわかると、演技することが劇的に簡単になります。
しかし、クオリティを上げたければ

1.自分を知ること
2.身体を知ること


を理解し、コツコツとトレーニングする必要はあります。

でも、でもなんです!
ここが掴めたら、一気に表現が豊かになりますし
自分にしかできないものになります。

実際の勉強会でやったワーク

◉簡単な身体の状態をつくり、そこから湧き上がる感情を感じる
超簡単な例)
・大きく手を開き、上を見上げる。
・頭を垂れて肩を内側に入れ、下を見る。

◉心地よい体勢になって、それを味わう
自分が感じる”本当に心地よい状態や姿勢”って、いわゆるちゃんとじゃないかもしれません。
まずはその自分を知る。
そして、その感覚のまま他のことができるくらいの、オープンな状態で人前にいることができるのかを試す。

◉これまでにあった感情が動く場面を思い出し、その身体になる
それを人前でやってみた時に、観た人がどう感じるのかを知る。
悲しい身体でも、その悲しみには種類がある。
観た人は、ミラーニューロンの働きで、かなりの確率でそれを感じることができることを知る。

言葉だけじゃ掴めない可能性もありますが
心や感情を先につくろうとすると、必ず「思考」が働きます。
考えてしまうということです。

先ほど書いたように、考えていると感じられないんです。

いいですか?
心や感情は、感じることですよね。
なのに、それを”やろうとする”と、考えちゃうんですよ。

身体をつくることができれば、感情は自然と湧いてきます。
簡単にいうと身体の状態がホルモンを出すからです。

詳しく知りたい方は、どうにかして私と直接話す機会をつくったり
ワークショップなどに参加してみてください。

もし、これを読んだだけで理解できたり
演じることって簡単だ、と思えた方は
かなりいい俳優になれる可能性がありますね。

それはなぜか。

自分を知ること
無意識を意識すること
身体を知ることを
これまでコツコツやってきて
どうやったら上手くなるのだろうを
自分自身でやり続けてきたと思うからです。

そういう方は、きっとこの文章から読み解けたのではないかな
と思います。
これから演技するのが楽しみですね。

4以降については、1から3の理解、体感があってこそなので
ここでは省略します!

気になった方は、プロデューサー小柳さんのまとめてくださったマインドマップを観ると
すこーし、知ることができるかもしれません。
以下からどうぞ。


2023年に大きな目標がある人は学びをインストールしろ

以前の勉強会の様子はこちらから
<金崎敬江の記事>

・1月の勉強会
この感情は どこから?
20220117_感情と身体_前半
20220117_感情と身体_後半

・3月の勉強会
きっかけはゴールと共にあるって知ってた?

<プロデューサー小柳さんの記事>
・1月の勉強会
勉強会ははじまりにすぎない

・3月の勉強会
【閲覧注意】理解不能なことができるようになる日。演技力を高める勉強会@3月9日

・12月の勉強会
2023年に大きな目標がある人は学びをインストールしろ

【お知らせ】

2023年1月中に
俳優のための身体ワークショップを開催予定です。
参加を希望の方は、TwitterからDM
または
みえるからだほぐし®︎公式ラインからメッセージを。


オンラインでのコーチングセッションを行なっています。
ご希望の方は、TwitterからDM
または
覚醒コーチング公式ラインからメッセージを。


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