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エリックサウスのモダンインディアン 2023年初夏のコースへ

2ヶ月に一度の楽しみ、エリックサウス・マサラダイナーのモダンインディアン。2023年初夏のコース。今回も楽しませてもらった。

今回のコースで強く印象に残ったのは2点。

ひよこ豆と香り野菜のチョップドマサラ ミルフィーユ仕立て

ひよこ豆と香り野菜のチョップドマサラ ミルフィーユ仕立て

まずこの見た目! 出てきた瞬間から美味しそう。上に乗っているデコレーションが、少しだけ更に散らばっている様もすごく良い。

このお皿も、インド料理には格別に合っている。青地に金の装飾というのは、どことなく中東の高級なものというイメージを掻き立ててくれるような。

ナイフを立てた瞬間に伝わってくる、パリパリサクサクな音と感触が楽しい。マサラの味は、ベジとは思えないほどに弱々しくなくしっかりとした味わい。かといって塩気で誤魔化しているわけでもなく。

添えられたソースはトマトがベースだけれども、なんだろう、スパイス感とともに酸味もあって不思議。ゴルベラコアチャールみたいな風味もある。美味しい。

いつもの「蛇足」に書かれている通り、肉の「もどき料理」を目指すベジではなく、そのものの素直な美味しさで勝負するベジ。インドのベジ料理の傑作のひとつ、というのに大いに納得。別に肉に似せる必要は無いと、自分もかねがね思っていたのでとても共感できる内容だった。

華やかな見た目、美味しさたっぷりの香りと味、パリパリな音と感触。そして説明書きを通じての印象と想像と思索の世界、五感すべて+情報というある意味第六感も使って楽しむ料理。こういうの、グッと来るね。

これに続いた次の料理、ブロッコリーのムリガタニースープ。ブロッコリーとムング豆とチキンの濃厚なチャウダー、ということでこちらは動物性の旨味が加わっている。

ブロッコリーのムリガタニースープ

ブロッコリーは形がなくなっていて、豆とともに煮崩されているみたい。チキンはいくつかの形が中に見える。濃厚でぽってりとしたポタージュが、ブラックペッパー主体の辛さが効いたスパイスでまとめられている。

チキンと豆とブロッコリーという、旨味の強い素材どうしをかけあわせているので、少量でも満足できるような濃厚さがある。それぞれが相乗効果を産んで、ここまで強い味になっているみたい。

もちろんこちらも美味しくて、やはり動物性の味の強さは豆とは違うな、というのが印象的だった。前の皿との対比が面白い。野菜の旨味は、それはそれでしっかりとした美味しさがある一方で、チキンの旨味は少量でもしっかりと力強く舌と脳を揺さぶってくる。やっぱり動物性の方が強いんだなあ、という当たり前のことに改めて気付かされた。

他の料理ももちろん美味しかった。その中でも印象に残ったのがこの2品とその流れ。これはきっと意図的にこの組み合わせで来たに違いない。

驚きと幸せの2時間だった。ごちそうさまでした。

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