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[旅行記] 台湾で食べたもの4 サバヒー

サバヒーという魚は、台湾ではごくごくポピュラーな魚らしい。

以前の訪問のときにも何度か目にしていた「虱目魚」という文字が、サバヒーという魚を表しているのを知ったのは、初訪問から帰ってきてからだった。

ネズミギス目サバヒー亜目サバヒー科サバヒー属、らしい。
名前が煮ている鯖はスズキ目サバ科なので、目から違うということは全然別の系統ということ。

詳しくは自分が説明するよりも Daily Portal Zの記事を読んでもらった方が詳しいと思うので、リンクを張っておく。

東京に住んでいる自分は魚屋で見たことはなく、それこそ台湾に行かない限りは出会わないくらいのエンカウント率。一方で、台湾に行けばかなりの高確率で虱目魚の漢字を目にする。

今回、台南の方にまで足を伸ばしたのだけれど、養殖の本場は台南らしく、台南市内にはサバヒー料理の有名な店が幾つかある、というくらいにはサバヒーがポピュラーらしい。大間の鮪とか、金華サバとか、そんな感じの位置づけなんだろうか。

台南の朝食ではお粥として出す店が多いらしく、一度は食べてみようと思って行ってみたのは 阿堂鹹粥 という朝食店。

朝6時からやっているという、まさに自分向けとも言えるありがたい営業時間。6時ちょうどに伺って、名物というサバヒー粥を注文。

サバヒーがどーんと乗っかってくるスタイルを想像していたので、全然違う見た目にちょっと驚く。

なにはともあれひと口食べてみると、あしらわれたネギとにんにくチップが効いていて香ばしさが食欲を刺激する。スープはきれいめの滋味深い味わい。サバヒーの身は締まった感じで食べ応えがある。火を通したかつおみたいな食感だけど、味は白身魚のもの。小ぶりの牡蠣も入っているので、このおかげでややしっかりめの味になっているのかもしれない。

サバヒーは茹でているのではなく鉄鍋で一度揚げ焼きみたいにしているようで、厨房からは魚の脂が焦げるいい匂いが漂っていた。それを細かく切ってから粥とあわせるらしい。なるほど。

実は前日に粽屋でサバヒーのスープを飲んでいたのだが、サバヒー自体の美味しさはこちらの方が断然美味しかった。茹でるような調理よりも焼く方が美味しくなるのかもしれない。

テーブルには調味料があって、ほんのり辛いネギ味噌的なものだった。少しでも強い味なのでほんのちょっと混ぜて味変するのに丁度いい。

粽屋で頼んだサバヒーのスープ  スープは美味しかったが身に少しクセがあった

前日のスープのときにも、なんとなく日本でも似た魚を食べた気がするのだけれど、いまいち思い出せなかった。この日も思い出せそうでなかなか思い出せなかったのだけれど、最後の方になって気づいた。これ、沖縄のスギに似てるんだ。

脂の乗り具合とか、火を通したときの食感とか、味そのものも結構近いと思う。最近何度か食べていたので、記憶は確かだと思う。

まあそんなことは関係なくサバヒーはサバヒーなのだけれども。


ところで、サバヒーは養殖魚ということでどこで養殖しているのかと思っていたのだけれど、新幹線で台北から台南へ向かうときに不思議な湖沼を目にしていて、どうやらそれらが養殖場らしい。沼の上で水をかき混ぜてる機械が何台もあって、水を跳ね上げる光景が続いているのが印象深かったのでよく憶えている。

他にも、台南市の西側には安平区という古い歴史的区画があるのだけれど、その近くには大きな干潟があって、そこも養殖場になっているらしい。ここはかなり広い範囲で養殖をしているようだった。

地形的に気になったのでレンタサイクルで行ってみると、低い土地に盛土して堤防部分だけを高くしたような場所だった。

養殖と思しき設備があったり

例の水をかき混ぜる機械も並んでいたり、ときどき魚が水面からジャンプしていたりで、このあたりがサバヒーの養殖場なんだろうな、と予想。サバヒーは一応は海水魚だが汽水域でも生活できるようで、まさに汽水域っぽいこの場所はサバヒー養殖にはうってつけの場所っぽい。

台南の名物がサバヒーなのは、地理的にとても合理的な理由からだった。

ちなみにサバヒーは捌くときに腹身、背身、頭、内蔵と別々にまとめおくようで。市場でひたすらサバヒーを捌いている人がいたので、思わず見入ってしまった。

腹身と背身で別々に分けられていた この他に頭だけの桶も…

お店のメニューには、主にスープで「虱目魚肚」「虱目魚頭」といった文字をよく見かけた。そして若干値段が違っていたりと、部位ごとにメニュー化されているなんてなかなか面白い。日本だと「アラ汁」でひとまとめにされてしまいそうなのに。

魚ひとつに注目してみても、日本との違いなどがいろいろあって面白い。昔からの名物って、生活に密接に関わっているものが多いので、調べてみたくなってしまう。もっと詳しい人に話を訊いてみたくなった。


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