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流行った「アレ(A.R.E)」よりも「普通」が社会人として参考になる

今年の流行語大賞は、38年ぶりのプロ野球日本一に輝いた阪神タイガースのチームのメンバー、ファンの皆さんが合言葉にしていた「アレ(A.R.E)」になりました。

自分の周りの阪神ファンのみなさんも、マジックが点灯しても「優勝」とは口に出さず「アレ」を頑なに使っていましたねw

しかしながらプロ野球ファン(とりわけ阪神ファン)以外の人には「アレ」が流行ったと言われても何のこっちゃ、という感じかもしれません。

ただ、「アレ」と共に今年の阪神関連のキーワードになっていた「普通」というのが、プロ野球ファン以外の人にとっても大事なことだと思ったので、そのあたりを書いてみます。


阪神タイガースにとっての「普通」とは

阪神の岡田監督は、先日放送されていたNHKBSの番組の中で「チームの何を変えたのか?」という問いに、次のようにコメントしていました。

「選手は成長してないよ
だって選手個人個人の数字はよくないやんか
だからそういうことよ」
「普通どおりやったら勝てますよって雰囲気をずっと漂わせるっていうのかな
おーん」

NHK「スポーツ×ヒューマン "普通"の名将〜阪神タイガース監督・岡田彰布〜

NHKも思わず使いたくなってしまうような「どん語」で説明する岡田監督。

ちょっとよく分からないですが、どうやら選手の能力が爆上がりしたから阪神が優勝できた訳ではなさそうです。

適材適所で役割を着実にこなすこと

その後、渡辺謙さん(熱烈な阪神ファン)のナレーションにより、「普通」が何なのかが語られています。

"適材適所"で長所を最大限に生かす
そして実力以上のことは求めず、与えられた役割を着実に果たしてもらう
それが「岡田の普通」だ

NHK「スポーツ×ヒューマン "普通"の名将〜阪神タイガース監督・岡田彰布〜」

ここで語られている「適材適所」「与えられた役割を着実に果たす」について、例えば守備面では、前年ショートだった中野選手をセカンドへコンバート。

解説者として外から阪神を見ていた岡田監督が、肩の強さ的に、中野選手はセカンドが向いていると判断してのこと。
そのうえでショートは木浪選手や、小幡選手を競わせると共に、セカンドとの連携による「着実にアウトを取る」プレーを強化していきます。

攻撃面では1番近本選手、2番中野選手、4番大山選手、8番木浪選手など打順を固定化。
「出塁する」「つなぐ」「かえす」といった役割を意識させ、各自がその役割を実行することで「少ないチャンスで着実に点を取る」ようになっていきます。

求める行動が出るような仕組みづくり

少ないチャンスで着実に点を取るために重要なのがフォアボール。

難しい球を打ちにいって凡打になるよりも、フォアボールで出塁することに大きな価値があると岡田監督も考えていたようです。

しかしながらチームにとって価値のあることでも、自分の評価につながらないなら、選手は取り組まない可能性もあります。

球団が選手を評価する際「安打>フォアボール」という優先順位であれば、選手は無理してでも安打を狙いに行くことがあるかもしれない、ということです。

岡田監督はそういったことも踏まえ、球団にフォアボール数を査定で重要視してもらうよう変えてもらったそうです。

その結果、昨年358個だったフォアボール数は、今年452個に。100回近くフォアボールでの出塁が増えたということですね。

こういった、望ましい行動をするための仕組みづくりも、「岡田監督の普通」を支えていました。


イチ社会人にも「普通」が大事

ここからは野球選手以外にとっても、「普通」が大事、という話です。

例えば、大事なプレゼンで「これまでできなかったような、素晴らしいプレゼンが急にできるようになる」ことは、基本的には無いでしょう。

例えば、ゴルフコンペで「ここで今日イチのショットが出れば・・・」と思ったりしても、普段飛ばせている以上に飛んでいく可能性は、あまり高くないでしょう(むしろ、余計な力が入ってミスるw)

私のようなイチ社会人も「普通」のパフォーマンスを出していくことが大事です。
それをするうえで、前出の岡田監督の取り組みが参考になります。

自分の得意なことが何なのかを知る

岡田監督が「適材適所」を大事にしていたように、私たちも適材適所と言える役割を担えているならば、あまり苦にならずパフォーマンスを発揮できそうです。

リクルートで使われていたというキャリアのフレームワークに、
「Will(やりたいこと)」
「Can(できること)」
「Must(やらないといけないこと)」
というものがあります。

自分のCanが何なのかを棚卸しし、それが所属している組織のMustに貢献することであれば、そこでCanを着実に発揮していけばよい、ということになります。

Canを棚卸しするのに、他の人からアドバイスをもらったり、ストレングスファインダーといったツールなども参考になります(ストレングスファインダーについてはまた別途書ければと思います)。

「普通」にできるようになるための仕組みを取り入れる

岡田監督がフォアボールが普通に出るように仕組みを取り入れたように、
私たちも望ましい行動ができるようになるための仕組みを取り入れると良さそうです。

メーカーとしては驚異的な売上高営業利益率(22年3月期で55.4%)を誇るキーエンスでは、営業パーソンが商談のロールプレイング(ロープレ)を毎日実施するようにしているそうです。

日々商談のシミュレーションを行っているので、キーエンスの営業パーソンは「普通に」お客さんに刺さる商談ができるようになります。

(ほかにもキーエンスでは、社員が高利益率を生むための行動をとるような仕組みを沢山持っています。この辺の話は『キーエンス解剖 最強企業のメカニズム』という本に詳しく記載されています)

私個人はというと、ほぼ毎日(noteとは別に)日記を書いており、日々そこで思考しておくことで、会社でのコミュニケーションなど必要な時に、思考したものをサッと取り出せ、それも「普通」のパフォーマンスにつながっていたりします。

「普通」はアップデートし続けることが重要

ところで、「普通」にやって結果を出せるようになったとしてもそれで終わりではありません。

自分の「普通」を維持していたとしても、環境変化で、出てくるパフォーマンスが変わり得るためです。

環境変化は、マクロなものでは「AIなどのテクノロジー」、「法制度などのルール改正」、「人口動態などの社会環境」、「日本と外国との関係性」といったこと等があります。

ミクロなものでは、「家族構成の変化」、「ケアすべき家族が出てきたかどうか(子育て・介護など)」、「住む場所の変化」、「各コミュニティとの人間関係」といったこと等があります。

こういった具合に、自分が意図しないことで環境が変わっていく。

そのため、変化も踏まえながら「普通にできること」をアップデートすることがパフォーマンスを出し続けるために必要そうです。


「普通」をアップデートできた球団が来年も強いはず

プロ野球の世界も年々変化しています。
かつては150km/h以上出る投手は少なかったですが、今は150km/h以上の球を投げる投手が「普通」になっている感じがします。

試合を行う環境も、試合日程の変化、新しいルールの導入(例えばリクエスト制など)、温暖化により暑い時期の試合が増えているといったことなど、変化が生じています。

こういった変化があることを前提に「普通」をアップデートし、継続させられたとすると、阪神はまだまだ強そうですね。
2024年のスローガンは「A.R.E. GOES ON」なのだそうです。

・・・と、ここまで書いてきてナンですが、私は阪神タイガースファンではなく、広島カープファンなのですww

今年はマツダスタジアムなど、4回現地でカープ戦を観戦してますw

とはいえ、他球団のファンからしても「岡田監督の普通」は圧倒的に強かったですし、学びがあると感じたので今回このようにまとめてみました。

来年はわれらが広島も「普通」のレベルを高めて、いい試合を見せてもらえればと思っております。

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