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これからは楽な気持ちで

 5年前、パーキンソン病と診断されて途方に暮れた。検査はかななり厳しいものだった。とにかく、ピクリとも動いてはならないのは、たしか5分間や10分間ではなかったはずだ。

 結果を聞きにいったとき、その大学病院の中年の医師は、愉快そうにパーキンソン病だといった。こいつは初対面から医者にあるまじき不実な態度だった。それでも、二度の厳しい検査に間違いがあるとは思えない。即座に覚悟を決めた。

 3か月目からは、家の近くにある病院のお世話になることにした。まだ、通勤しており、会社から捨て扶持をもらっていたころである。白内障の手術もした。そのあと、日々、どんどん悪化していく右目の原因がわからないで片目を失う覚悟もしている。おかげで鬱になってしまった。

 女房はアルツハイマーで入院していた。世間は新型コロナウイルスが猛威をふるっている。那須の別荘地に住む妹に預かってもらった性格が温順な犬も、週末に帰ってくる姪に嫌われたらしくて20日ほどで戻されてきた。

 あの時期をよくぞ乗り切ったものだと思う。あきらめかけていた右目は、別の病院で網膜剥離とわかり、緊急手術で回復した。残るはパーキンソン病だけである。さいわい、手足の震えなどは出ていない。検査のきっかけになった「字が書けない」という障害だけが残った。

 キーボードはまだ打てる。ずっと放置していたFacebookに復活した。このnoteをはじめ、ほかのSNSの世話にもなってきた。ところが、ここへきてパーキンソン病があやしくなった。地元の病院の医師から、4月の定期検診で、「もうこなくていい」といわれたのである。

 医師は、パーキンソンの判定が誤りだったとはいわないが、どうやらそうらしい。日課となったSNSへの投稿は惰性となっている。だが、そろそろ緊張を解き、楽に生きていく潮時だろう。

 SNS、お世話になりました。ありがとう!

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