物流業界の近未来 ~ロジREATへの投資~

 先日、サークルで、お話しした内容です。
中々、ライブというのは緊張するもので、筋道立ててお話しすることが出来ませんでした。
 質問に対し、経営者時代はもう少しまともな返答が出来たように思いますが…これもリタイヤにより衰えた部分なのかも知れません。ともあれ、言葉にする力…今後も磨かねばいけませんね。

 昭和の頃の物流は、主に企業独自の物流(子会社・関連会社を含む)部門が担っていました。それが、平成に入り、企業物流から物流専門の3PL(この言葉が出来たのもこの頃です)業者へのアウトソーシングが始まり、令和の現在もこのシフトは続いております。
 最近、勢いのあるロジリートはこうした流れの中で登場した倉庫賃貸を主とする不動産ファンドです。倉庫を提供するロジリートと、構内作業や配送を担う3PL業者は非常に相性がよく、相互補完により共に高成長を続けています。

 今後も企業物流のアウトソーシングは続くことが予想されるので、見通し良好と申し上げたいところなのですが…マクロな視点で見ると、些か様子が変わってきます。
 現状の物流はアンバランスさはあるとしても、全体量としてオーバーフローしているわけではありません。そして、日本は年々、少子高齢化が進み消費が落ちます。入れ物はあるのに、動かすモノの絶対数は下落していくのです。
 にもかかわらず、物流事業者は規模を拡大しています。そのピークは3年以内に訪れるでしょう。ソフト(人員)の部分は業務シフトにより、何とかなるのかも知れませんが、ハード(倉庫)は完全に供給過剰を迎えることになります。
 
 元々、物流業界は企業内物流であふれた部分を日本通運や財閥系に代表されるバリュー系倉庫会社が担っていました。そこへ、企業物流を取り込んだ3PL・ロジリート連合軍…グロース勢が、あふれた部分を取りに来ている。
バリュー系の倉庫会社も対抗すべき…で進化し、遜色ない3PL機能を持ち始めていて、グロース勢の本丸である企業物流の取り込み戦線に逆参入。大乱戦になっての壮絶なパイの取り合いがすでに始まっています。

 バリュー系の倉庫会社は償却が進んでいる分、コスト競争には比較的耐性があり、3PL・ロジリート連合軍は対応力や立地といったシステムや利便性に優れている印象です。
 3年後の物流ニーズがどうなるのか?により明暗が分かれるとは思いますが、業務構造がシンプルなのでニーズの変化も起こりにくい。現況のまま進めば、コスト勝負の痛み分けになる公算が強く、元々低成長のバリュー倉庫は更に耐える展開を強いられ、今、イケイケ状態の3PL・ロジリートは成長鈍化が見込まれることとなります。
 中でもロジリートについては、空きが出て相場が下がると、物件投資の回収が難しくなり、改善手段も少ないので…徐々に業績が振るわなくなり、減配や株価長期低迷の可能性が出て来るので、来年、再来年以降には注意が必要です。
 
 ただ、ここまでは、マクロ視点かつ国内限定の話です。
 中にはパイを上手に奪える会社(クライアントが成長企業ならば、自動的に物流扱い高は増加する)もあるし、アジアを中心とした海外展開・国際物流といった構想を持つ企業もあるでしょう。
 
 なので、物流関連銘柄への投資は「飽和状態を迎える国内物流に対し、どのように対策し、成長していくのか?」がキーポイントになります。
 会社が発信している決算関連資料から、この部分を読み解き投資をしていく。そして、その上昇シナリオが崩れたら(物流の業績は徐々に悪化していく場合が多いので)なるべく早めに逃げる。
 私はこのような投資方針で物流関連銘柄を見ています。

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