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フィッシュマンズ初期シングルについて

フィッシュマンズの初期シングルがストリーミング配信された。シングル表題曲は全て配信されておりc/w曲も「空中」などに収録されていたがストリーミングで聴けるようになったのは今回が初である。これまでc/w曲についてあまり言及されたことがなかったと思うので少し書いてみようと思う。

「Little Flapper」
デビューSG「ひこうき」のc/w曲。フィッシュマンズ全書によるとハカセ加入前の1989年6月のラママでも演奏されていることが確認できるが初期フィッシュマンズのコンサートではラストに演奏されることが多かったノリの良いナンバー。「Chappie,Don't Cry」のメルボルンレコーディングセッションでは力強いハカセのピアノリフが印象的なロックステディになっていて間奏の小嶋くんのアコギでのソロラインのとてもキャッチーだ。

「Chappie」リリース後はオープニングナンバーとして演奏されることもしばしばあり個人的にすごく好きなナンバーだったのでよく憶えている。というのも「Little Flapper」とは”可愛いおきゃんな女の子”の意味だと思うけどかわいい人懐っこいメロディに反して歌われている歌詞がとても辛辣だなあと感じていたからだ。

「3年過ぎたらきっときっとやってやるさと言っていたのはあなたのほうじゃないですか?」

「Chappie」の持っていたピュアな世界観にはそぐわなかったのかなとも感じる。「Happy Man」や「くつ下」「ワンダラーズ」といったリリースされなかったフィッシュマンズの曲たちにも似たような佐藤伸治の毒の部分が現れていた気がするのでその部分をデビューアルバムに入れたりしてうまくバランスを取ることがまだ難しかったのかなとも感じる。この辺の事情はいつか初代ディレクターのY本君に聞いてみたいものだ。


「It's Be Alright」
「Chappie」からのリカットSG「いなごが飛んでる」のc/w曲。この曲は最初に聴いた時から他の曲とは少し鳴りが違う、ちょっとデモっぽいなと思っていたら今回の映画フィッシュマンズにまつわるプロモーションで出演したJ-WAVE「TOKYO M.A.A.D SPIN」で明らかになった「夏の思い出」と同じように日本のRinnky Dink Studioでの収録テイクなのではないだろうか。ハカセのキーボードがアコピは使わずレスリースピーカーを使っていないオルガンのみの「Chappie」でのハモンドより少し軽めの音にように聴こえるしリバーブたっぷりの佐藤くんのヴォーカルもこころなしかラフに録ったようにも聴こえるが果たして?

「It's Be Alright」そのものはかなり古い楽曲のようでフィッシュマンズ以前に佐藤くんがやっていたというバンド「時間」時代にまでさかのぼるようだ。なんとそのころの音源もネット上で聴けるようになっていて(いい時代だ!)佐藤くんのRCばりの荒々しいヴォーカルに新鮮さを覚えるがメロディの持って行き方にすでに非凡なものを感じさせて驚く。またよく言われる文法的には「It's Alright」でいいんじゃないかという佐藤くん独自の語感リズムもすでにスタートしていた興味深い楽曲だ。

しかしこのジャケット写真に使われている謎のオブジェの人形、スペースシャワーで流れていた1992年のライブの映像に欣ちゃんの横に置いてあって映っていたな。誰が書いたものだったろうか。

見出しの写真に「100ミリちょっとの」も上げていますがc/w曲の「あの娘が眠っている(P.W.Mバージョン)についてはまた後日に書きますね!

最後まで読んでいただいたありがとうございました。個人的な昔話ばかりで恐縮ですが楽しんでいただけたら幸いです。記事を気に入っていただけたら「スキ」を押していただけるととても励みになります!