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アマチュアミュージシャンみたいな生活

バスステーションからブラックプールのシンボル、ブラックプールタワーが見える。
僕はバックパックを担いで地図に目を凝らす。

時間が少し巻き戻ったようなそんな小さな街だった。
アイリッシュ海が目の前にあってさ、僕はこれから手伝うことになるロッジのドアを開ける。
そしてソファにゆっくり腰を下ろす。
コーヒーをくれたのはヒューゴ、ブラジルから旅をしてるいい奴、そんでギターを弾いて歌う。

僕等、時間があったから一緒に街をてくてくと歩いた。
海沿いのプロムネードの陽が暮れていく。
ロッジと海の間をトラムが走る。
ブラックプール、なんてのどかな街なんだ。

僕達は中心地から少し離れた楽器屋に来ていた。
僕はヒューゴがギターを弾いて「バスキング」をしてるって話を聞いたから、俺もしたくなって「ベビーカホン」を買った。
バスキングをしたら資金はすぐに回収出来た。
後は、少ないけど儲けだけ。
そして今日も日が暮れていく。

僕等は海辺の前の石の横で音楽をする。

イングランドで一番長い時間を過ごした街、ブラックプール。
コーヒーの味。
「LIFE WITHOUT LIMITS」途方に暮れてた。
旅の中で息をして、季節をいくつかやり過ごした。

これからの新しい日々に、一歩歩き出せますように。

出会ったみんなとの思い出を大事にしたい。

何度もテラスでコーヒーを飲んで、何度もそこから夕陽を見た。

ヒューゴとバスキング。
まだ街は明るい。
路上で演奏してる32歳の俺と、33歳のヒューゴ。

ロッジで借りた自転車に乗って今日は隣町までサイクリングをしよう。
だんだん観光地から遠ざかって行く。
たまに最新のトラムとすれ違う。
真っ青な空の下、景色を遮るものがないアイリッシュ海沿いを自転車はゆく。

今でもヒューゴは元気だろうか。

ブラックプールで秋のフェスティバルが開かれて、週末ごとに花火が上がった。

ロッジの洗濯機とか乾燥機が懐かしい。
そこでよくみんなで夜な夜なカードゲームをして遊んだ。
窓から明かりが入ってくる狭いシェアルーム、ドアの裏の洋服掛けとフックの事とか思い出せる。
何でもない思い出が何の気なしに脳裏をかすめる事がある。

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