SASAnote vol.3 群馬銀行グリーンウイングス、V2優勝へ!キーワードは「チーム力」

1レグを終えてリーグ3位。この後に控えるファイナル6進出にも十分な手ごたえを感じ、戦い方次第ではV2優勝も望めるバレーボールを展開する群馬銀行グリーンウイングスだが、選手たち言葉から慢心は聞こえない。むしろ、上位2チームとの差をどう埋めるかという葛藤を強く感じる。リーグ中の限られた時間の中で、上位との差を埋めるのは簡単ではない。それでも、個々が明確な目標と役割を持ち、出場機会の多い、少ないに関係なく、「チームのために。」という思いで一致している彼女たちなら、上位チームからの「勝利」という結果で応えてくれと願わずにはいられない。

今シーズンの群馬銀行グリーンウイングスは、選手の獲得やケガなどで時間を費やし、チーム体制の整備が遅れた。ゆえに、サマーリーグ、国体予選、皇后杯予選など、リーグ前の公式戦ではなかなか結果を出せず、V2での戦いに不安もよぎったが、蓋を開けてみれば1レグを終えてリーグ3位(10チーム中)と好位置につけている。

さぞかし、チーム、選手ともに大きな自信、手応えを掴んでいるだろうと思いきや、チーム内から聞こえてくるのは、上位チームとの差を危惧する声だ。

キャプテンの三好紗弥香は、「順位で見るといい位置だが、(1レグで)負けた2試合、姫路、JA岐阜との差は自分たちでも感じている。」と話し、攻守の要である田中瑠奈も「去年のカテゴリーで(上位チームからの選手が集まる姫路含め)上のチームには勝てていない。」と同じような感想を述べた。

その2チームの差について三好は、「姫路、JA岐阜は経験ある選手がたくさんいる。今まで決まっていたものが決まらない、相手の対応も早い、考えてプレーしないと勝てない、簡単なミス、引き離されると、届かなくなるという感じはある。今年は厳しい戦いが続いている。」と話す。3位という結果以上に、コート上では心身ともにタフな時間が流れているようだ。

そんな「厳しい戦い」が続きながらも、結果を出し続けているグリーンウイングスの強さの理由は「チームのために」というまとまりのように感じる。

年明け再開のホームゲームとなった伊勢崎大会では、コンディション不良などから、レギュラーメンバーの多くがベンチ外となった。それでも、今季、出場時間のあまり多くない選手たちがスタートメンバーとしてコートに立ち、いつもと変わらぬ強さを見せてくれた。

セッターとしてスタートから出場した古市彩音は、「緊張したが、自分の事より、チームの事を考えてプレーした。」と振り返り、こちらも初めてスタートから出場した濱邊優愛は、「緊張はしなかった。でも、自分の中では、試合に出られなかった選手の事を考えていた。だから勝たないといけなかった。」とともに、自分の事以上にチーム、仲間を思ってプレーしてくれたのだ。

もちろん、ふたりともレギュラーへの意欲はある。だが、何よりもチームのために何ができるかを考え、重要視している。古市は、「私が入る時はチームが苦しい時。入った時にいい流れに変えられたらうれしい。」と話し、濱邉は、「コートの中でも、外でもやることは変わらない。私の役割は雰囲気作り。」と話す。さらに濱邊はこう続けた、「チームに控えは重要。そういう役割の選手がいてもいいと思う。」と。

キャプテンの三好も、決してプレー時間が多いわけではない。それでも、チームのためにキャプテンの役割を全うする。今季、プレーでは、リリーフサーバーとしての役割が多く、打数こそ少ないが高いサーブ効果率を残しチームに貢献する。プレー以外でも、チームの流れを見極めチームメイトに積極的に声掛けをする姿が目に留まる。三好自身は、「選手としてもそうだが、キャプテンとして、コート内の落ち着き、盛り上げをしたい。プレー、表情でチーム全体を引っ張りたい。」とチームと仲間のために明確な役割を持ってリーグ戦を戦っている。

才能豊かで、将来性を秘め、攻撃面では、高さがあり、強さがあるという魅力。一方で、20歳前後の若手が多く、リーグでの経験が少ない選手も多い。その為、脆さ、ひ弱さという弱点があるのも、今の群馬銀行グリーンウイングスだ。

簡単には埋める事ができない上位チームとの「経験」という差、グリーンウイングスはその差をチームの「一体感」で埋めようとしている。

後半戦に戦いに向け、田中は「負けた悔しさを次に生かすため、いま全員で頑張っている。チームとしては連続失点をしないことが大事なので、そこを練習から厳しくやりたい。」と話し、古市も「上位チームにどう勝つか。壁は高い。その差をチーム力で詰めたい。」と話す。

そして、キャプテンの三好は、「チームはまだまだ課題がある、伸ばしていかなければいけない事もある。レギュラーシーズンは折り返し地点だが、ファイナル6含め、まだまだ長いと感じている。長いからこそクリアできるチャンスがあると思うので、上位のチームを倒して優勝したい。」と決意を述べてくれた。

リーグ優勝のためには、姫路、JAぎふからの勝利が不可欠だ。そして、その他のライバルチームも打倒・グリーンウイングスの思いを強くするだろう。選手たちが話すように、「3位」という順位以上に、ここからの戦いはより厳しいだろうが、成長著しい彼女たちが、チームとして団結して歩み続けるなら、さらに大きなものを掴めると信じたい。

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