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フェルミオンとボゾン

物質を構成するフェルミオンは、同じ空間に一個だけしか入れません。物質は空間を占有するので、同じ空間に重ねることはできないのです。
一方で、力を伝えるボゾンは、同じ状態にいくらでも粒子を詰め込むことができます。たとえば、重い星の重力は強く、軽い星の重力は弱い。この重力の強弱は、それを伝えている重力子の数で決まります。同様に磁石の強弱は、電磁気力を伝える光子の数で決まります。同じ状態に重力子や光子をいくつでも詰め込めるので、重力や電磁気力に強弱がつけられます。ほかのボゾンでも同じで、力の強さは、それぞれの力を伝えるボゾンの数で決まります。これは何度でもかけ算ができるという普通の数の性質に由来しています。
これに対してグラスマン数は、θ×θ=0のように、一回かけると、もうそれでおしまいです。一つの状態(空間)に一つの粒子しか入れないというフェルミオンの性質は、実は、一回かけるとそれで終わりになるというグラスマン数の性質に由来しています。
グラスマン数の座標を考えると、弦理論にフェルミオンも含めることができるようになる。ボゾンだけでなくフェルミオンも弦の振動状態として理解できる。そこが、弦理論と超弦理論の違いなのです。
大栗博司「超弦理論入門」参照

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