「負の値をとる質量」は存在するか?

電子が点であると、或るプロセスの中で電子の質量やエネルギーが無限大になってしまうという問題があります。これを回避するために、「くりこみ」と呼ばれる方便、アイデアを使って20世紀の素粒子物理学は発展しました。ところが、

「電磁場のエネルギーが無限大に近づくと、あるところで電子固有の質量は「負の値」をとらなければならなくなります」。(大栗博司:「超弦理論入門」より)

このような形で、素粒子物理学に「負の値をとる質量」(以下「負の質量」)が現れる。それは、電子の固有の質量という形で顔を出す。先日、私たちが考えた逆物質には、負の質量が必須であった。

ただ、この「負の値」をとる質量は、計算上現れるものに過ぎないのかも知れず、これを以て「逆物質」の可能性をアピールするのは早計と思う。物理的な意味があるかどうか、わからないのだ。

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