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4月ですね。

4月ですね。3月の制作はF4号(33.3×24.2cm)が5点でした。制作する順番を、大きなサイズから、だんだん小さくして行くと、密度が高まるので、なかなか良い感じです。

 さて、僕はよく「なぜ浮世絵を描いているのですか?」と聞かれます。至極シンプルな疑問です。その答えを一言で言うと〈好きだから、以上〉だったのですが、最近、なぜ浮世絵でなければならないか、という理由にたどり着きました。

 僕の制作のコンセプトは「グローバル化とは西洋化のことである。それに過度に適応すると、世界の多様性は失われる。だから非西洋の日本に生まれ育った人間として、西洋化する前の前近代の日本の美的価値を、現代美術作品に転換して、それを西洋に持ち込むことで、世界の多様性に寄与する」というものです。

 ただ、この説明では、前近代なら何でも良さそうに見えます。しかし実際、日本の前近代は、中国の影響が強く、中国化された文化と言えます。そこで浮世絵です。日本オリジナルの表現である浮世絵は、そこに選ばれる必然があります。厳密に言えば、浮世絵の中にも、西洋の影響は入り込んでいますが(浮世絵に応用された遠近法は浮絵と呼ばれる等)。もう一つ、日本オリジナルと言えば縄文土器がありますが、あれは岡本太郎がやっているのでやりません。

 この例からして、僕の作品は道具的な性格を帯びています。そこには作品を通して、世界を少しでも変えたいという意図があります。そしてそれは、モダニズムの特徴である〈芸術表現のための芸術〉からの逸脱をも目指したものです。個人的に、今の時代に活動しているのであれば、当然、脱近代を意図すべきという、僕の時代感覚です。

#アートの思考過程

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