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『トルコ、イスタンブールの衛星放送局に大型TV中継車3台を納入した。 引き取りにロシアの軍用輸送機アントノフが関空に引き取りに来た。』  2000年春

フィリピンの中継車納入の噂を聞き、メーカーのトルコ代理店から衛星放送TV局向けに大型中継車3台の引き合いを受け、受注した。これはプロサッカーの試合を生中継する為のもので大型カメラ16台、ゴール用小型固定カメラ2台やスローモーション装置など本格的な内容であった。

車体の条件としてヨーロッパでの走行も必要になるので、EU規格に適合すること。従って今回も左ハンドルの車台を調達しなければならない。納期の面でこれは難しいので、トレーラー方式を採用することにした。これだとハンドルが無いので国内向けの車台と同じひと月で納車可能であった。ただし、トレーラーヘッドとの接合部分はEU規格にする必要があったので、別注した。

取り付けるべき機器が多く、スペースの面からも40Ftコンテナ用の車台に油圧式拡幅装置を採用する事になった。AV機器について最新の高級機器を要望されたので、ユーザー渡し価格は1台6百万ドル。3台で18百万ドルの大型注文であった。この金額をファイナンスするにはリスクがあまりにも高いので、トルコの代理店が大きな部分を支える事になった。高額アイテムは同社から支給され、当社の役割は設計、施工と車台の調達、加工となった。

それでも資金が足りず、一台毎に順番に組み立てることになった。これにより必要な資金はかなり軽減できた。組立て状況は毎日インターネットで写真付きで報告したので先方にも満足頂けたようだ。組み立て期間中、トルコ側との情報交換はかなり緊密であった。

1台目の完成後これを空輸することになった。成田空港で着陸許可が出なかったので、関西空港に60t積みのロシア製軍用輸送機プロペラ式アントノフがやってきた。船のような機体であった。航続距離は短いらしく、イスタンブールまで7回も途中着陸するらしい。更に車体を千葉から関空まで陸送しなければならず、サイズ的に全行程に問題ないか600Kmを別の車で試走した。

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更に2台目と3台目は120t積みジェット機のアントノフで共積みされた。関空での積み込み風景は以前勤務していた会社の西暦2000年の全社朝礼で、ビデオ提示されて話題になった。信頼の輪を広げる事と、工夫を重ねる事により不可能はないと感じた

納入後2年が経過、このプロジェクトが縁でその時トルコの代理店に勤務していた技術者のD氏が当社に転籍して、その後技術の核になり大阪の取締役にもなってくれた。

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