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売り手と買い手の値段の攻防

バナナのたたき売りではありませんが、初めての海外の取引先とプロジェクトの商談を進めている時には値引き交渉が常時あります。少しでも高く売りたい自分としては、そのような時の商談の進め方として小手先の戦術ではありますが自分が勉強してきた事を2-3紹介します。

買い手が具体的な数字を提示してきた時には要求額を完全には満たさない事。そうしないと買手は『もっと低い数字を提示すればよかった』という心理になってしまい、買って頂いた場合でも不満足な気持ちになります。逆に自分が買い手の場合は売り手が数字を出してくるまでは希望購入価格を軽々しく言わない事です。

実際には売り手も買い手も多くの場合直感を使うなどの簡便な方法を取ります。日本語では『目の子算』とも訳されます。これは一つ一つ順を追って理論立てて考えるアルゴリズムに対しています。その為には事前に商談の概要を頭に入れておいたほうがいいでしょう。

再販目的の取引先から複数商品の購入希望があってその中に希望購入価格が採算を割るような商品が混じっている時は合計金額で計算して、今回だけ特別という事で単価は変更せずに出精値引きの形で、合計金額を希望のものに合わせる。これで買い手は得したような気持ちになる。

これも再販目的の取引先から、市場価格が下がってしまい在庫保障を迫られた時『分かりました、次回の注文分から2%ずつお返しします』と言う。すると損害金額を取り返す為に買い手はより多くの購入をしなくてはならなくなります。つまり販売促進につながります。

特定の売れ筋商品をメーカーから大量に買い込みたい時、実際の計画より多めの購入計画を提出し、魅力的な単価を勝ち取る。希望価格が出てきたら、次は分割納入を申し入れる。第一ロットが売れにくい時は第二ロット以降の納入時期を先延ばしする。

価格は納期と支払い時期が主な条件です。価格が満たされない場合はそれらの条件の改善を交渉する。

値決めについて

インターネットにより情報がいきわたっている今の世界では経営の生死を制するのは値決めです。利幅を少なくして大量に売るのか、それとも少量であっても利幅を多く取るのか、また商品に別の付加価値を付けるのか、その価格設定は無段階でいくらでもあります。

どれほどの利幅を取った時にどれだけの量が売れるのか、またどれだけの利益が出るのかという予測をするのは難しい事ですが、自分の製品の価値を正確に認識した上で、量と利幅の積が極大値になる1点を求める事です。

その点はお客様にとっても、自店にとっても共にハッピーである値でなくてはなりません。

利幅について

日本の小売店業界では値決めは自由ですが一般に粗利は30%なければ駄目だと言われています。つまり宣伝費、販売費、家賃、人件費、金利負担等、全ての経費を考えれば20%くらいの経費は掛かってしまいます。ならば10%弱の税引き前利益を確保するには30%の利益が要るという事になります。

インターネットが発達してきた今の流通業界では日本中、いや世界中の同業者が競争相手になります。鮮度、納期、商品説明を除いて値段はどのユーザーもどこが安いか知っています。郊外の大型ショッピングセンターが出来て多くのシャッター街ができましたが、ネット販売がこれに追い打ちをかけています。

この状況が続くと商品の値崩れが起きやすく、人気商品はメーカーや輸入元ではやむなく価格指導をしています。ネット上では最安値を付けないと販売チャンスがなく競争できません。ある意味、売値については共産主義再来のような状況です。ただ違う点は納期、鮮度、商品説明と仕入れ価格が自由である事です。

現在起きている事は第二次流通革命とも言えます。小売店は価格以外の部分で競合他店に比べて付加価値を付けなければ消費者には選ばれません。ネット販売の先進国である米国ではユーザーが商品を目で見て手で触れるショールーム業が誕生して繁盛しているとの事です。

マカオでは価格ネゴは必要です



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