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チャーチルのメモ

情報交換

今から40数年前、私が商社に入社した頃の海外との情報交換手段として即時性がよく料金が手ごろな事から一般的であったのはテレックスでした。ただし内容を損なわずに料金を抑えるには文章の作り方を工夫する必要がありました。

例えばASAPというのはas soon as possibleの略で、デジタル化されて、通信料金の心配が無くなった今でも便利である事から時々使われています。この他にも様々な便利な略し方があったように思います。

あの時代はこれがうまく表現できないと、素人丸出しの文面になってしまい、商社マンとしてはある意味恥ずべき事でした。今の様にニュアンスを表現しやすい漢字を含んだ日本語を使う事や、写真や設計図を含むような内容も料金の心配なく送る事が出来るようになったのは確かに特筆すべき事です。

しかし情報を受信して読む側の立場になって評価してみると、回りくどい表現や不必要な繰り返しなどにより、テレックス時代の表現を懐かしく思う事があります。つまり、要点を掴みにくく読むのに時間がかかるということです。

これはポジションが上がり広い範囲での決断をしなければならないような立場になって、情報が増えるほど顕著になっていきます。アナログ時代の英国首相であった、チャーチルさんのメモを紹介します。

情報交換しましょう

チャーチルのメモ

我々の職務を遂行するには大量の書類を読まねばならん。その書類のほとんど全てが長すぎる。時間が無駄だし、要点を見つけるのに手間がかかる。同僚諸兄とその部下の方々に報告書をもっと短くするようにご配慮願いたい。

1. 報告書は要点をそれぞれ短い歯切れのいいパラグラフにまとめて書け。
2. 複雑な要因の分析に基づく報告や統計に基づく報告では要点の分析統計は付録とせよ。
3. 正式の報告書だけではなく見出しのみを並べたメモを用意し、必要に応じて口頭で補った方が良い場合が多い。
4. 次のような言い方はやめよう。『次の諸点に心を留めておく事も重要である』『・・・を実行する可能性も考慮すべきである』この種の持って回った言い廻しは道草に過ぎない。省くか一語で言い切れ。思い切って短いパッと意味の通じる言い方でもいい。砕け過ぎた言い方でも構わない。

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