〜２０１７年夏　旅の記憶から〜

船でグリーンランド西海岸を北上します。
北へ行けば行くほど、巨大な氷山が
流れていきます。

氷山が出来る場所は
この地球上でおもに二箇所。
一つは、グリーンランドで、
もう一つは、南極です。

また形状もこの二つは違っていて
グリーンランドの氷山は三角形、
南極の氷山は四角形をしています。

グリーンランドの氷山は、
内陸部からフィヨルド（谷）を
数千年もかけて流れてきます。

谷の形状は、三角形ですから
それに合わせて、三角形の
氷山ができます。
最後に海に流れでて
尖った氷山になるわけです。

一方の南極の氷山は、大陸から全体的に
押し流されてくる棚氷と呼ばれるものです。
そのため多くの場合、四角形になるわけです。

ということで、
巨大な氷山が見ることが出来る地域は、
グリーンランド周辺の海と南氷洋だけ。

冬の北海道などで見ることが出来る
流氷は海の水が凍ったもので
海氷と呼ばれます。
氷山とはまったく生成工程が違うのです。

余談ですが、
氷山の氷を砕いて
ウイスキーのロックを飲むと
格別美味しく飲めます。

氷が何千年もかけて移動する間に
中の空気が押し出され、
固くて透明な状態になります。

その氷は、なかなか解けません。
水っぽくならなくて
美味しく飲めるのです。

ゆったりと流れる氷山を見ながら
僕は、氷山アイスでウイスキーを
飲むニコルさんから、
色々な武勇伝を聞かせてもらいました。
ニコルさんは、本物の冒険家です。

また他の乗客、
特に科学者の人々の
お話も沢山聞かせてもらっていました。

船旅ならではの醍醐味は、
ゆったり流れる時間を利用して
いろいろなひととお話できることです。

世界中の人と分かりあえる
最高のひとときなのです。
この時、科学者の人から
気になることを聞きました。

うすうすは知っていたことですが
直接目にすると背筋が凍ります。
グリーンランドの氷河が恐ろしい速度で
後退しているというのです。

また、グリーンランドの国土は９０％が凍っていて
永久凍土と言われていました。
それも近い将来に溶け出すかも知れないと言うのです。

つづく

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