「健康四面楚歌」とは

多くのオトナが陥っているであろう「健康四面楚歌」について語りたい。

先日、人間ドックを受けた。
結果。

いろんな数値が並び、懸命な諸君にはよくわからないと思うが、つまるところこういうことだ。

尿酸値 9.9 → MAJIで痛風5秒前
腎結石疑い → つーかありましたよ
ガンマGTP、ALT、ALP→肝機能障害ですよ

あとここには記載がないけれども、悪玉コレステロールと中性脂肪もかなりやばいスコアを叩き出していた。

これはひとえに「ツケが回ってきたぜ」ということを表している。

そもそも認めざるを得ないのだが、私はれっきとしたアル中であろう。
20歳から、ほぼ毎日酒を欠かしたことがない。
故・中島らも「今夜すべてのバーで」に感化されたからか、基本的に昼間偉そうに講釈たれたりクリエイティブディレクションと称して偉そうなことを言ったゴミのような自分をこの世から消し去りたいために、飲む。

ありがちな「社交では飲む。一人ではあんま飲まない」ということはない。
むしろ人とはあまり飲まない。一人で飲む。
死ぬのは痛いから、ただ飲んで、消え去りたい。自我と彼岸の境界線を曖昧にしたいがために、飲む。
アルコールをドラッグと見ている、いちばんまずいタイプだそうだ。
よって、バーで「お久しぶりですね」「いつものですか?」などと言われたら、その店には二度と行かない。彼岸から引き戻されてしまうからだ。

そもそも、不健康記事ばかりを書いているのだが、それにも理由がある。
「広告の仕事だと、その内容は往々にして書けない」のだが、観た人を傷つけない、かつ含蓄があまりない、かつ面白い記事を書くためには自虐に走る、というのが主な理由だ。
自分は消え去りたいのだが、その自分を世の中に何か言いたい、というアンビヴァレンツがあるのだ。

で、ここからが本題。

上記は、割と「不健康なおじさん」にはありがちな数値で、それを治そうとしてゆくと、彼らは遅かれ早かれ、「健康の四面楚歌」に陥るのだ。

たとえば、体重を減らす、最近のメジャーな方法として「糖質を断つ」。
すると、キャベツや人参すらも「糖質が割と多い存在」になる。
目指すはタンパク質になるが、卵はコレステロールの塊である。
納豆や魚卵は尿酸値。
そして、糖質制限で多くの人が行き着く、鶏肉や魚などの動物性蛋白質は「結石のもと」になるのである。
糖質制限に相性のよい、筋トレなどの無酸素運動も、尿酸を蓄積する結果につながる。

……食うものが、ない。

コンビニの真ん中にいても、砂漠に居るような感覚を覚える。

前職、電通の佐々木康晴エグゼクティブクリエイティブディレクターが「突き詰めると、食べていいものがなくなる。最終的に水を飲んで歩くしかない。それか、すべてを無視することだ。飲みに行こうよ」と教えてくれたことが忘れられない。

深夜1時。
大した酒量ではないのに酔ったぼくは、なぜか手元にあった、じゃがりこの蓋を開ける。

それはまるで、パンドラの箱のように思えた。
パンドラの箱を開けると、ありとあらゆる災厄が飛び出すが、最後に希望が出てくるのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?