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40歳からサッカーイラストを描き始めて8年後に日本サッカー協会に辿り着いた話vol.11 【禍中編】

<vol.10 翼編 の続きです>

2020年初春、
新型コロナウイルスの蔓延により
緊急事態宣言が発令され
世界中のあらゆる刻が止まりました。



◼️描けない日々


当然Jリーグも
2/21に開幕戦以降は、
2/25からJリーグの日の5/15まで
当面開催中止ということになり、
サッカーのない日常を過ごすことになりました。


僕自身の状況も
あらゆるイベントが中止になり、
告知が必要なくなったため、
商業イラストのご依頼が激減し、
業務的にも大きな打撃を受けました。


このまま見えない先のことを考えてても
気が滅入るだけなので、
日課のサッカーイラストを描こうと思ったのですが、

「何を描けば良いんだろう?」
「誰を描けば良いんだろう?」


全くアイデアが浮かばない。。。


普段は
魅力を伝えたい選手、今後の活躍が楽しみな選手、
試合の結果、注目の試合を中心に描いているし、
たまに過去のレジェンド達をアップする際も

全て「今このタイミングで」と「ポジティブ」を意識して
描いているため、

未来が見えなくなったこの事態下では、
自分が表現できるものや
描きたいものがすっかり無くなってしまいました。


スランプとはちょっと違う、
喪失感のような手詰まり感のような日々が続いていました。



そんな中、SNS上に流れてきたタグ

#エアJリーグ

Jリーグ公式のSNS投稿が発端となり、
ファン・サポーター、クラブの公式アカウントまで乗っかって 
SNS上で”エア” Jリーグが開催されました。

ウォーミングアップのリポートやスタジアムグルメの紹介、
スタメン発表や試合経過を
ファン・サポーターや関係者などたくさんの方が
各々の想像力を駆使してつぶやき、

本当に試合が行われていると錯覚するような
盛り上がっているタイムラインを観て、

みんなで作る架空と創造の世界、素敵だなぁ


てか、イラストって
架空と創造を表現する最適なツールじゃない?


今この状況だからこそ、
僕にもイラストの力で何か出来ることがあるかもしれない!
少しでもみんなのモチベーション維持、もしくは未来につなぐ演出ができるかもしれない!


そう思うと一気にアイデアが湧き上がってきました。


◼️エアスタジアムを作ろう!



現実世界では静まり返ったスタジアム。。。

僕のスタジアムも何もない誰もいないところから始めることにしました。


横たわるMrピッチさんとJリーグキングの頭


そしてここに毎日選手を描き足していって、Jリーグが再開される日までに満員の観客席、ピッチ上には選手が溢れているような賑やかなイラストを完成させよう!


最初から企画をガチガチに固めても面白みがないので
見切り発車でスタートしたのですが、

スタジアムが充実していくにつれ、
せっかくなら他の方々も巻き込んでエアサッカーを楽しみたい気持ちに駆られ


フォロワーさん達から応援フラッグを募集したり、
SNS上で繋がっているサッカーイラストレーターさんにお声かけして、
みんなの作品で観客席を埋め尽くしました。

現実の世界では実現不可能だと思われる
チームや男女の垣根を越えて名選手達が一堂に集ったピッチ。
(てか試合できないレベルのソーシャルディスタンス無視した密集具合w)

現実の世界のどんなスタジアムでも実現できない
複数チームのフラッグが一斉に掲げられたスタンド。

そして描き始めて2ヶ月、
Jリーグの誕生日である5月15日に
どんなに画力のあるイラストレーターさんにも
どんなにセンスがあるイラストレーターさんにも
誰にも真似できないと自負できる唯一無二の
サッカーイラストが完成しました。

ご参加ご協力頂いた皆さま、
毎日楽しんで観てくださった皆さま、
改めまして本当にありがとうございました!


●エアスタジアムのその後

人生で一番時間をかけて作った作品に
達成感も充実感も味わっていたはずなのですが、

ここまで沢山の方々の想いが詰まったこのイラスト、
僕の手元にデータとして留めておくよりも、
Jリーグに寄贈することが本来のゴールなのではないかという思いが強くなり、

一か八か
以前からフォローで繋がらせて頂いており
当時Jリーグの特任理事を務めていた佐伯夕利子さん
(今は主にビジャレアルや女子サッカー界の育成に携わりご活躍されています)
にご相談したところ、

ありがとうございます!
是非喜んでお受けさせて頂きます!
との嬉しいご返答を頂きました。



ということで
『Jリーグに寄贈』という最終報告を
皆さんにお届けすることが出来、
最高の形で締めくくることで

コロナ禍で一番精神的に過酷だった緊急事態宣言下の
ステイホーム期間を
楽しい思い出として上書きすることが出来て
自分自身も本当に救われました。

でも今思えば勝手に描いて勝手に送りつけてかなり無謀で非常識な行動ですね
ごめんなさいw




エアスタジアムを描いた後も
しばらく自粛期間は続きましたが

Jリーグも細心の注意を払う条件下で
開催されたり、少しづつ日常が戻り始めました。


アビスパ福岡のスタジアム来場ルールの案内ツール制作を担当させて頂きました



何とかお仕事も大きく途切れることなく
2020年も生き延びることが出来たし、

2023年の今、
健康に過ごしているからこそ言えることですが、

サッカーのない日々、
音のない日々、
顔の見えない日々、
働き方が一変した日々、

非現実的な時間や風景を体験出来、
そしてイラストの持つ可能性や役割を感じること
自分に対して客観的に向き合うことが出来て
貴重な一年だったなぁと思います。


(Japan’s way編に続きます)

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