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日本企業におけるサーキュラーエコノミーのフェーズが明らかに変わった。

サーキュラーエコノミーを社会実装するためにClimate Techスタートアップで働いていると、日々様々な大企業の方と打ち合わせをする機会があります。

社長やサステナビリティ役員、事業部長、担当者などとの会話を通して、明らかに今年の後半から動きが変わってきたなと実感しています。日本におけるサーキュラーエコノミーの文脈においてどのような状況の変化があるのか、自分の思考の整理も兼ねてまとめていきたいと思います。


岸田首相の車座会議

少し前のnoteでも共有しましたが、昨年10月に初めて岸田首相によるサーキュラーエコノミーに関する車座会議が行われました。専門家たちのプレゼンテーションによって、サーキュラーエコノミーへ移行することの重要さや、岸田首相として、サーキュラーエコノミーに関連する産官学の連携強化など支援策を盛り込む考えを示しました。

参加者一覧(敬称略):
内閣総理大臣 岸田文雄
経済産業大臣 西村康稔
環境大臣   伊藤信太郎
一般社団法人unisteps共同代表理事 鎌田安里沙
一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン代表理事 坂野晶
株式会社竹中工務店取締役社長 佐々木正人
一般社団法人エシカル協会代表理事 末吉里花
株式会社ナカダイ 代表取締役 中台澄之
デロイトトーマツグループ執行役 松江英夫
蒲郡市長 鈴木寿明

経産省がリードするサーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ

2023年9月より、経産省が主体となりサーキュラーエコノミーに野心的・先駆的に取り組む、国、自治体、大学、企業・業界団体、関係機関・関係団体等を構成員とする連携組織を立ち上げました。

今までは(今も含めて)、廃棄物は環境省の担当であり、どこまで行っても環境対策の一環として見られていたと思いますが、サーキュラーエコノミーが重要視されたことにより、今や経済政策の主軸となりました。廃棄物 = 無価値で厄介なものという視点から、廃棄物 = 国家の安全保障を左右する循環資源という視点に変わってきていると思います。

先日この産官学パートナーシップのオフライン会合が行われましたが、大企業、ベンチャー、スタートアップ、大学機関の様々な団体から参加者が募り、議論を交わしました。普段出会うことがなかなかない方達と、サーキュラーエコノミーという軸で繋がることができる機会はとても貴重でした。

サーキュラーエコノミーに特化したカンファレンス

今年、第二回目の東京ビッグサイトで開催されたサーキュラーエコノミーEXPOをはじめとし、先日行われていたRE:PUBLICさんによるCIRCULAR DESIGN WEEK、2020年から継続して白馬で開催されているGREEN WORK HAKUBAなどなど、サーキュラーエコノミーに特化したカンファレンスやイベントが増えてきました。

これらも、今までだとサーキュラーエコノミーに注力したものはほとんどなかったので、大きな変化だと思います。

実際に僕たちも、第二回のサーキュラーエコノミーエキスポに出展してみて、参加者の多さや、いらっしゃる方との会話を通して、概念的なものだったところから、具体のアクションへフェーズが変わってきていることを実感しています。

企業の株価に影響を与えるCDPスコア

株主至上主義の株式会社という企業の構造に、うまく差し込んでいったなと思うのがCDPです。CDPはイギリスのNGO団体であり、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営しています。CDPが企業に対して3つの観点(気候変動/森/水)から質問を投げかけ、それらに対する回答内容によってスコアリングするという仕組みになっています。

例えば、「花王 株価」と検索すると、CDPスコアが右下出てきます。(ちなみに花王さんは毎年トリプルAの評価を取得しています。)このようにCDPスコアは株価にダイレクトに影響を与えるため、企業は良い回答を提出できるように対策を練っているのが実情です。

CDPに回答している日本企業とその評価は以下のURLから確認できます。日本の多くの大企業が回答を行っています。

質問項目には、廃棄物の排出量やCO2、プラスチックリサイクル材料をどのくらい使っているかなどの情報開示が盛り込まれています。スコアで高評価を取るには、サーキュラーエコノミーに取り組む必要があるのです。

ESG/サステナビリティ担当者の廃棄物に対する意識が変わった

2020年からこの仕事を始めて、たくさんのESG/サステナビリティ担当者の方達と会話させてただきました。もちろん廃棄物に対する熱量やパッションは個人差があり、一概には言うことができないのですが、3年前は多くのサステナ担当にとって、PRになるソリューションならやりたいが、廃棄物をデータで管理をするというのは後回しなアジェンダだったところから、企業においてのサーキュラーエコノミーの文脈から、廃棄物対策は、重要課題の一部に変わってきています。実際に、1.2年前にはあまり響かなかった提案も、昨年末から響くようになってきました。プレゼンしたのちに、「いいですね〜」で終わっていたところから、「実際やるとしたら、こんな障壁があって〜」という形で、実行フェーズに話が変わってきています。会社として、マテリアリティに掲げられていただけのところから、予算がついて、打ち手をやらないといけない状況に変わってきました。これはとてもいい流れが来ていると思います。

今年度、さらにこの領域は加熱する!

昨年後半からサーキュラーエコノミーの領域は、様子見から、本格アクションにフェーズが変わってきました。今年度は大企業側にもしっかりと予算がついて、動き出すことになると僕はみています。お金がつけば、動きが変わる。いつも言っている気がしますが、今年度が本当に勝負の年です。スタートアップとして飛躍するか、中小企業で留まるか。この節目の年、楽しんで仕掛けていきます!!




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