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2023年、私はAIをなめていた。

私が初めてChatGPTを触ったのは、1年前。
その時の様子は、「触ってみた」動画で自身のYoutubeチャンネルにあげていたので鮮明に覚えている。どうやら2022年12月3日のことらしい。

この分野の研究年月からすると、決してイノベーターではないが、アーリーアダプターくらいの位置づけでキャッチアップはできていたのではないだろうか。

しかし、この時から約一年。私は意思決定において大きな過ちを犯す。
2023年振り返りとして今日はそんな話をまとめていこうと思う。

2022年冬:出会いと衝撃

さて、年も明け2023年。世間はChatGPTで変わらず盛り上がっている。その勢いは技術者を超え、ついにはお昼のワイドショーでお茶の間を賑わすほどに。

この頃に改めて感じたのは2点。

1つは、その進化の早さ。1週間でできることが増えていることに衝撃を受けた。

特にそれを実感したのが、stable diffusionの進化。
はじめの頃は指が6本あったのが、どんどん人間味をもって漫画やアニメらしいテイストで表現されるようになり、そのスピード感に驚かされた。
こんなニュース記事も今や懐かしい。

そしてもうひとつ感じたのが、「AWSと出会ったときの衝撃」

2012年新卒の自分は、新卒で入ったIMAGICAで初めてAWSを商用サービスに導入したエンジニアだった。


https://www.serverworks.co.jp/case/imagica.html

当時、前線で頑張ってきたインフラエンジニアの方々を一気に技術で抜きされると興奮して没頭したのを思い出した。

 実は、はからずも同い年のLayerX CTO松本さんも「クラウド依頼の衝撃」と表現している。

その様子は、1/3~のPodcast「PIVOT Growth Drivers」にて。

2023年春:それでもまだ早い

ただ、PIVOTでのAI導入はまだ早いと思っていた。我々のAI活用はおそらく2年くらい先だと。

 というのは、2023年春の段階では、Open AIのAPI提供により、「生成AIをラッピングしたサービス」が毎日生まれていた状態。

「我々はメディア企業であり、生成AIサービスを作る必要はない。あるとしたら検索を対話型にするくらいか・・・でもチャットボットで良くないか?」
「そもそもチャットボットも必要になるのはだいぶ先では?」

当時の私の判断はこれだった。浅い。非常に浅い。

 そして、世の中に生まれてくる生成AIサービスを流行りものであり、いずれ淘汰されると思っていた。浅い。非常に浅い。

2023年夏:おや?これは様子が違う


 しかし、その本質は生成AIのラッピングサービスのみではなく、既存サービスの価値向上にに可能性があると気づいたのは、5月。

そのきっかけがメルカリさんのニュースである。

 しかしこの頃もこのように感じていた

「LLMを構築できるのは、莫大な資金を持っている会社だ。いわば、検索エンジンの構築と同じようなものだろう。スタートアップの我々には夢のような世界だ。」

浅い。実に浅い。

 そして、その数カ月後、このときの裏話をメルカリにおけるAI/LLMの責任者石川さんに聞けたのは今でもとても貴重な機会だった。この時点での視座の違いも感じて少しへこんだ。

ただ、「この波には乗っておこう!」という安直かつ浅い理由でインターンの鏑木くんを主体にWhisperによる業務効率化に取り組んだ。

最初の動機は正直、技術ブランディング目的の一過性のスタンドプレイ日に近かったかもしれない。

ただこのあたりから「おや?これは思ったよりすぐにできることあるぞ」と思い始めていた。

2023年秋:体型的に捉え直すきっかけ

実はそんな折、Googleさんから「PIVOTさんにおけるAIとの向き合い方についてお話してもらえますか?」とクローズドなイベントでのLTの機会を頂いた

貴重な整理の機会。この時、私が整理した軸が2つ

【2種類の活用方法】
 ① コストの削減装置
 ②コア価値の増幅器

【3段階の取り組みステップ】
 ①3rd Partyの単体活用 (ChatGPTをブラウザで使う)
 ②自社との部分連携 (Whisper APIを叩く)
 ③自社LLM (自社で構築)

図らずももこれも石川さんのお話で答え合わせができた

ちなみにこのときのLT資料がこちら

2023年冬:今こそ、データとAIの武器を得に

 そして今改めて思うのが、「我々のようなメディアでも中核の1つにするべき」可能性を秘めているという点。

そこでオープンしたのが「データサイエンティスト」のポジション

ここにも記載している通り、まずやりたいことは以下の3つ

①付加価値向上を目的としたアルゴリズムの構築
・コンテンツのレコメンデーション
・メールマガジン、プッシュ通知のパーソナライズ
・検索アルゴリズムの改善 etc.

② コンテンツ制作など各種作業の効率化
・[過去実績] Whisper APIを用いた字幕作成効率化
・コンテンツの内容から自動タグ付けによる登録作業の省力化
・視聴履歴をもとにしたコンテンツ制作における最適なジャンルや内容の提案
・広告主様へのレポーティング最適化 etc.

③ データ分析設計・開発・運用・分析によるデータドリブンな意思決定の支援
・BigQueryを中心に構築しているデータ分析基盤の設計・開発・運用
・PM、マーケターとともに自ら分析を行い、新たな視点を獲得する
・コンテンツ制作、マーケティング、プロダクト開発 etc.

そして、これらをきっかけに私がメディア業界で10年間私が解決できなかった挑戦ができると感じている。

具体的には「業界の2つのペイン」を解決できると思っている

① 職人技で成り立つ制作の世界の感覚のみでの意思決定
② 広告効果のブラックボックス

本当は、具体的に語りたいところだが・・・熱苦しくなってしまうので、詳しくはぜひカジュアル面談で。

私はAIをなめていた

今あらためて振り返ると私は取るべき重要な意思決定に失敗している。
一言でいうと「AIをなめていた

大事なのは、失敗を受け入れて、これからどう向き直るかだ。

PIVOTのプロダクトチームは、まもなく10名になる。ちょうど一年前の2022年末は私一人だったので感慨深い。

ちなみに入社当時の記録もnoteが残してくれている。

いよいよ、フェーズが変わる。
2024年には、Youtubeという片翼から、プロダクトも含めた両翼をさずかる。これは、既にコンテンツという形で世間にお約束している内容だ。

そこであらためて、2024年は「データとAI」も改めて戦術(≠戦略)の中心に据えたい。あくまで戦略ありきの武器として。

そして、その基盤はできている。

ただ、足りない要素が一つだけある。
中核を担うデータサイエンティストの存在である。

ぜひそんな仲間とともに、私自身もより高次元の意思決定に時間を使っていきたい。

そして、2024年、AIの進化は止まらない。

そんなお話を、Podcast「PIVOT Growth Drivers」の特別編にてLayerXの松本さんに2024年のテクノロジー業界はどうなるかを語っていただいている。

Podcast「PIVOT Growth Drivers」

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主にPjM、PO、セールスエンジニア、AWS ソリューションアーキテクトなどを務める。「映像業界の働き方を変える」をモットーにエンジニア組織を超えたスクラムの導入、実践に奔走。DevLOVEなど各種コミュニティーにおいてチームビルディングやワークショップのファシリテーションを行う