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ペーパーレス職員会議を小学校現場に導入するためのロードマップ

こんにちは、ささです。

 私の勤務校では、約1年前からペーパーレスの職員会議を運用しています。 ちょうど私が提案してから運用して1年が経ちました。まだ運用を始めていない学校や、まさにこれから運用を考えている学校において1つの参考例となれば良いなと思っています。

校務DXとして、ペーパーレス職員会議を具現化したいというアイデアをどのように小学校現場で具現化させたか、どのように運用してきたか、実際の提案資料を紹介しながら、そのロードマップを紹介していきます。


まずは職員の実態を把握する


まず初めに取り掛かったのが職員の意識を把握することでした。実態の把握です。一番大事です。

組織の中で鍾乳したいと思っているのは「あなた」だけなのか。推進しようと思っていてもそれが本当に組織の中で必要なのか、現状の紙ベースの会議に不満を感じている職員はいるのか、よく探ることが必要です。

欠席フォームの効果で導入に前向き

以前お伝えしましたが、私の勤務校において、欠席フォームの運用を開始したことで職員全体がそのメリットを実感できていました。そのため校務DX(デジタルトランスフォーメーション)のイメージは大まかにはつかんでいたという実態がありました。


雑談の中から味方を見つける


また、会議資料のスキャンデータを自分のタブレットに取り込んでいる職員も数名いました。日頃の雑談の中で「みんなでデータ共有できれば便利なのにね」的な話題も上がりました。そういった前向きな職員に声をかけ、思いに協力してくれる味方を数名集めておきました。

こんな提案資料を準備しました

今回使うツールとしてはGoogleClassroomを使用します。職員専用のクラスルームを新設してそこで提案資料を共有する形式になります。

そういった実態把握を行い、味方をつけた上で、以下のような導入の提案資料を作成しました。作成のポイントとしては、導入のメリットを言語化して整理したり、イラスト入れて導入前のビフォーのときに私が感じてた課題を吹き出し入りで表してみました。

メリットをイメージしやすく

なぜ導入するのか? WHYのイメージをもたせて、管理職の理解を得る

この資料を携えて、まずは管理職の理解を得ることとがポイントになります。ここが関門です。

この時点で先ほど獲得した仲間の協力が得られていると言うこと、まぁざっくり言えば根回しが完了してますよ的な感じを伝えることです。そして大きなメリットがあることをできるだけ具体的にイメージしてもらうことです。

タイミングとしてはコロナ禍、先生方も自宅待機や病休という状況が続く中、「いつでも」「どこでも」閲覧・編集ができるところが管理職には刺さったようです。教頭はもはや「休日出勤の鬼」だったこともあり、製本・印刷不要というフレーズに共感してくれました。

ここで正式に職員会議で提案することに、すんなり「賛成」が得られたわけですが、このこのタイミングも大事になります。 間違っても、年度末や年度始めといった業務のピーク時に設定するのはやめておいたほうがいいでしょう。夏休みなど ゆったり時間があるときが 良いと思われます。

なぜ導入するのかという「WHY」の部分の理解が得られたら次の、具体的にどのように運用するかという「How」を準備しましょう。

HOW どのように運用するか

Google Classroomでの運用方法

ちなみに勤務校での提案資料の共有方法は次のようになります。

classroom「職員」にログイン
→授業ページ「第○回職員会議」の右にある「三点リーダー」アイコンをタップ
→[編集]をクリックし、[添付]から提案したいファイルを選ぶ(PCにある場合には「アップロード」、ドライブにある場合には「ドライブ」をクリック)
→[生徒がファイルを閲覧できる]に変更
→画面右上の[保存]をクリック

提案文書より

会議前に準備すること

事前に「授業」タブから「第○回職員会議」を作成しておきます。最初の数回は提案者である私が作成しましたが、3回目から教務主任と教頭先生に伝達講習を行い、やってもらうように切り替えていきました。私が異動しても持続可能なスタイルにするための方策です。

また、「職員」の クラスルームの役割ですが、 全員の先生方を「教師役」に設定しました。「児童役」はいません。 多くの先生が提案すると言う事から、授業タブを編集できる「教師」権限を与えることにしました。

懸念材料を洗い出し、対策を行う

当たり前なのですか、人はメリットだけ伝えられても納得しにくいものです。デメリットもわかった上でメリットのほうに傾きが大きい場合、それを採用する傾向があります。

いろんな先生方と話して出てきたデメリットは大きく2つ、 1つは、先生方がこのペーパーレス職員会議の準備や運用ができるかと言う運用面での操作技術への不安。2つ目が、クラウドデータにすることによる個人情報の扱いをどうするのかという点。

懸念①資料の共有のやり方わかんないよー問題 → ショート動画でフォロー


資料にも手順は記述したのですが、不得意な先生も少なくないことから手順を画面録画してナレーションを入れたショート動画を作成しました。

手順のショート動画で何度でも確認できるように

動画は全部で3種類。最低限必要と思われる方法をYOU TUBEっぽく分解して作成しました。 

動画① クラスルームにアップする方法
動画② wordのファイルをドキュメントにする方法
動画③ ドライブ内にあるファイルの共有権限を変更する方法

懸念②個人情報ってクラウドデータにしてもいいの?問題 → 自治体の教育委員会のポリシーに従う

結論からいうと、生徒指導関係の情報は禁止されていたため、児童の個人情報に関する部分の提案・情報資料のみ紙ベースで行うことにしました。具体的には問題行動や不登校関係の情報です。 会議の時に紙で配られて、 会議終了後に直ちにシュレッダーにかける 従来のやり方です。

しかし、この話は、昨年度の10月ごろの話です。教育委員会が策定する情報に関するポリシーは少しずつ変化していくので、柔軟に対応していきたいと思います。

懸念③会議資料にメモ取れないの?問題 → ご自身で印刷する OR 「メモ」アプリで書き込む

会議資料のメモってどうすればいいのと聞かれることが多いです。結論から言うと紙に書きたい人は印刷すればいいのです全員が印刷する必要はありません。このマインドセットが必要だと思います。紙に印刷して配るのがデフォルトではなく、「情報を共有する」。これがデフォルトになればいいのです。 貸与されているiPadの「メモ」アプリでデータにペンでメモが取れることを伝えました。

ちなみに、導入後の職員会議の様子を見ていると数名の先生は自身で紙に印刷し、そこにメモを書き入れています。大部分の先生は特にメモをとっていません。なぜなら、クラウドデータを提案者がその場で修正や変更をしているためです。 数回会議を続けていると、PDFファイルよりもドキュメントやスプレッドシートファイルの方が便利だなと、なんとなく気づいていくことになります。

「ひとまず3回やってみませんか?」

ここまでお伝えした資料や内容を職員会議で提案します。もしかしたら細かい質問があるかもしれません。不安に思っている先生からやりたくないと言う意見が出るかもしれません。

でも大丈夫です。この職員会議を開く時点で管理職の理解は得ています。数名の味方の先生もいます。

提案の最後に こう伝えてみてください。「ひとまず3回やってみませんか?」「 3回やってみて、うまくいかなかったら、今までのやり方の通り、紙ベースの会議に戻しましょう」と。 「試験的に」や「試しに」なんて言葉をつけてもいいかもしれません。 試しに3回やったら戻る事はないと思います。当たって3回やれば充分メリットを感じられますから。

まとめ

ここまでお伝えした通り、ペーパーレス職員会議を導入するために私が 行ってきたことを紹介させていただきました。以下のようにまとめます。

・ 職場組織の現状を的確に把握すること
・ 導入に味方をしてくれる仲間を作ること
・なぜやるのかと言う目的の部分を明確にすること
・どのように行うかと言う運用方法の具体をわかりやすくすること。
・運用に伴う懸念材料をしっかりと洗い出すこと
・そしてその対応策を準備しておくこと。
・ 「試しに」「ひとまず」といった形で試験的に導入しようと提案すること。



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