強いチームが勝つ、は本当か?

勝利。
我々アスリートが何よりも追い求めているもの。
勝利には絶対的な力がある。

さて、強いチームが勝つ。
本来そう考えるのは自然だが、果たしてそれは本当か?
というのも、結果に直結する程の明確な実力差があれば話は別だが、トップレベルでは実力が均衡している。勝敗を隔てる僅かな差が、実力そのものではなく、突発的で偶発的なものであることも多い。
ゆえに、強いチーム(優れた組織)が勝負に勝つとは言いきれない。

スポーツ界には、こんな言葉もある。
強いチームが勝つのではなく、勝ったチームが強いのだ。
これも自然な思考ではあるが、本質というよりも意味付けに近い。
勝ったという事は何かが勝っていたのだ。
負けたという事は何かが劣っていたのだ。
後者に関してはそう認知すべきだが、前者に関しては、そう盲信すべきではない。人間の認知機能ゆえ、どうしてもプロセスと結果を相関させて考えたくなるものだが、それは必ずしも一致しない。

"強いチームが勝つ"と考えることも、
"勝ったチームが強い"と考えることも、
どちらも理にはかなっている。しかし、例外があまりにも多い。

唯一、勝利とチームの強さの相関を定義できるとしたら、勝利はチームを強くする。という点に尽きるのではないかと思う。
勝つ事でチームは強くなり、負ける事でチームは弱くなる。その現象がサッカー界では頻発する。メンタリティがパフォーマンスにもたらす影響は、それほどまでに大きい。

仮に勝利が偶然の産物であっても、勝利そのものは大きな意味を持ち、チームに与える影響も大きい。
勝利とは本来、追い求める結果だが、同時に重要なプロセスでもある。
中長期的なチームの強化プロセスにおいては、勝利そのものがキーファクターとなる。いくら方向性や取り組みが正しくとも、目標とするレベルまで組織力を高め、自信を深める為には、勝利という不確定要素が重要因子になる。ゆえに、チームの強化は一筋縄ではいかない。

とはいえ、これは何事においても言える事だが、一筋縄ではいかないからこそ挑戦のしがいがあり、不確定要素が多いからこそ歓喜が生まれる。
勝利が約束されている試合ほどつまらないものはない。
先日のCL準決勝に象徴されるように、何が起こるかわからない不確定要素の多さこそがサッカーの醍醐味であって、人々が熱狂する所以でもある。