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スーパー・ニンテンドー・ワールドについて語りたい

はじめに

本日(2021年3月18日)、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンにて待望のスーパー・ニンテンドー・ワールドがグランドオープンとなりました。
まずお伝えしなければならないのは、僕はUSJの関係者だということです。と言ってもスーパー・ニンテンドー・ワールドには関わっていなくて、同じパーク内の違う場所で違うお仕事をしています。
なのでここに書くことはUSJや任天堂やその他関連企業を代表するものではなく、個人の感想・見解である事を理解した上で読み進めてください。
とまあこれは、関係者であることを明かす場合は書かないといけないことでして、もしも後から正体がバレて宣伝なのか?とかサクラなのでは?と言われるのも良くないので、関係者であると表明しました。
ですが、ここに書くことは本当にいちゲームオタクが、任天堂ファンが、スーパー・ニンテンドー・ワールドのオープンに興奮してオタク特有の早口で捲し立てている、そんな文章だと思って読み進めていただけるとありがたいです。

何故これを書くのか?

どこまでが書くのがセーフでどこから書くとアウトなのか微妙ではありますが、関係者やそうでない人も、色々な事情でエリア内を一足先に体験することが可能でした。
ただし、リハーサルでのオープンだったので、日によってアトラクションが動いていなかったり、お昼にはエリアをクローズしたり、正式な運営ではありません。
僕も2回ほどエリア内を体験したのですが、僕の周りで聞こえる感想がちょっと冷めていたりしたので、いやいやそれはスーパー・ニンテンドー・ワールドの良さが伝わっていない!任天堂が目指しているクリエイティビティを理解して欲しい!といろいろと、ファンであるが故に思うところがあったので、少しでもこのエリアの良さが伝わって欲しいと思い、どこまでセーフかわからないけど書いてみよう!と思いました。
いわゆる「ネタバレ」はしないように書きますが、やはりスーパー・ニンテンドー・ワールドの中身やアトラクションの内容に触れてしまう部分はあるので、そこはご注意ください。

ひとまずの感想

第一印象としては、任天堂のゲームの世界をテーマパークとしてここまで表現したことに感動しました。
エリア内に足を踏み入れた時の景色は本当にマリオの世界そのものですし、エリアで体験できる遊びの内容は、良くも悪くも非常に任天堂らしい内容になっていました。
マリオの世界に全身で飛び込む!みたいな宣伝文句は割と嘘ではないと感じています。
ただ、任天堂に興味ないとかマリオを遊んだことがない、みたいな人は、任天堂やマリオについて語れる人と一緒に遊びに行く方がいいかも知れません。
特に感じるのが、任天堂が目指す遊びの楽しみ方やクリエイティビティが詰まっているところです。

任天堂のゲームの特徴

任天堂のゲームは、遊び手が能動的にゲームに関わることこそが良いとしている作品が多いように感じています。
もちろん、任天堂が楽しんで欲しい部分に辿り着くまでのヒントやチュートリアルがない訳ではないのですが、基本的には「こんな遊び場を用意したからあとは好きに遊んでね!」みたいな姿勢であることが多いです。
作り手が遊んで欲しいところまで辿り着くための手招きもちゃんと準備しているのですが、その手招きに乗るも乗らないも遊び手の自由で、その自由を許容するかのように、細部にまで世界や反応が準備されています。
マリオのゲームにおいて、ゴールポールという明確なゴールはありつつも、ちょっと寄り道をしたら1UPキノコやパワースターが隠されている、とか。
ゼルダにおいて、ダンジョンを攻略してボスを倒すという明確なゴールはありつつも、隅々まで謎解きをすることでハートのかけらが手に入る、とか。
スプラトゥーンにおいて、ナワバリバトルというメインの対戦モードがありつつも、かなりのボリュームで1人用のアドベンチャーモードが用意されている、とか。
浅く楽しみたい人はサクッと楽しくなれる要素を準備しつつも、より深く楽しもうと思った場合はゲームの深い部分へ能動的にチャレンジをする必要があります。
これはある意味では遊び手の好奇心を試していることになるわけですが、スーパー・ニンテンドー・ワールドではこれをテーマパークでやってみせているわけです。

パワーアップバンド

特に遊び手の好奇心が試されると感じるのは、パワーアップバンドです。
メインとなるアトラクションはマリオカート、ヨッシーアドベンチャー、そしてパワーアップバンドで体験できるクッパJr.のチャレンジです。(どれも正式名称ではありません。すいません)
パワーアップバンドは他二つのアトラクションやエリア内での行動に応じてスタンプがもらえる仕様で、そこに気付けないと楽しみ方がわからないので非常に勿体ないです。

パワーアップバンドの想定される導入(妄想)

既に各種宣伝や公式HP等で知っている人も多いと思いますが、そうではない人がパワーアップバンドを知るための導入を妄想してみます。
まず、エリア内に足を踏み入れると、周りでブロックを叩いてチャリーンとコインの音を鳴らしている人を発見します。
ここで、自分もやってみよう!という好奇心が試されます。自分も真似してブロックを叩きますが、ブヨーンと鈍い音しか鳴りません。
どうやらコインをゲットできていないようです。
よく見るとコインをゲットしている人の手首には腕時計のような物があります。
そこで、販売されているパワーアップバンドはブロックを叩いてコインをゲットするためのアイテムなのか!と気付きます。
この段階でそこそこの好奇心が試されているわけですが、値段を見ると3200円。
クッパJr.のチャレンジまでを含めてのこの値段設定なのだと思うのですが、ブロックを叩くだけでこの値段かー、と尻込みしてしまう人も多いのではないでしょうか。

試される好奇心

パワーアップバンドを入手した後はいくつかのチャレンジに挑戦して鍵をゲットし、クッパJr.とのバトルに挑みます。
その道中ももちろん、みんなが何やら遊んでいる!という手招きはあるのですが、映像を見るとかショーを見るとかとは違うので、自ら能動的に楽しむ好奇心が試されます。
この好奇心が試される構造はまさに任天堂のゲームと同じだと感じます。
初代スーパーマリオブラザーズでは、ゲームを開始するとマリオが画面の左側にいて右を向いているところからスタートします。
そこでなんとなく右に進めばいいのか?と思いコントローラーの十字になっているボタンの右側を押すと、マリオが右に動きます。
すると画面がスクロールして、どうやらこれで正解のようだとわかる。
これこそが能動的に楽しむ遊びの入り口で、その後も隠された1UPキノコを見つけたりワープ土管を発見したり、遊び手の好奇心をエンジンとしてゲームは進みます。

パワーアップバンドの楽しみ方

また、パワーアップバンドはブロックを叩いてコインを集めるのとクッパJr.とバトルができる以外にも楽しみ方がたくさんあります。
USJ公式アプリと連動させることで、他のアトラクションであるマリオカートとヨッシーアドベンチャーでの体験やエリア内での行動に応じて実績のようなスタンプがもらえてコインが溜まります。
そして集めたコインに応じてランキングが表示され、知らず知らずのうちに他のパワーアップバンドを持っているゲストと協力&競争をしています。
特にアトラクションとの連動については、僕が体験した時点では明確な説明が存在しておらず、連動可能な事を後から知りガッカリしてしまいました。
スーパー・ニンテンドー・ワールドを隅々まで楽しみたいなら、最初にパワーアップバンドを購入して、アトラクションに入る前に入り口等のクルーに連動方法をきちんと確認することをオススメします。
集めたスタンプやコイン枚数やランキング等はUSJ公式アプリで確認できます。
特にスタンプはかなりのやり込みが用意されていて、コインを○枚集める、みたいな軽いものから、1日のうちにブロックを全て叩く、みたいなディープなものまで様々です。
この、浅い楽しみ方も深い楽しみ方も両方用意している作りも非常に任天堂らしいなと感じます。

テーマパークでの体験

パワーアップバンドの魅力とそれに込められた任天堂の遊びへの姿勢は少しでも伝わったでしょうか?
ここで僕が気になるのが、これがテーマパークでの体験である、というところです。
中には遠方からやって来るゲストもいる事でしょう。
USJへ遊びに行く日を前々から決めて、なんならちょっと貯金とかもして、新幹線なり電車なり人混みの中パークまでやってきます。
車で来られる方は渋滞とか駐車場で待たされる、なんてこともあるかも知れません。
そしてパーク入場でも列ができて待たされて、スーパー・ニンテンドー・ワールドのエリア入場券を手に入れるのも時間がかかり、場合によってはトイレに行くだけでも列ができることもあります。
そして、スーパー・ニンテンドー・ワールド以外にも乗りたいアトラクションがあるかも知れないし、そのアトラクションを体験するのも待ち時間が発生します。
そんな中でいちエリアのスーパー・ニンテンドー・ワールドに対して、特に任天堂が好きとかゲームが好きとかではない人が、そこまでの情熱と好奇心を注ぎ込めるのか?と思うと、なかなかハードルが高いような気がします。
僕の周りで聞かれたちょっと冷めた感想は、この辺りが要因のうちの一つなのかも知れないと思いました。

だからこそスーパー・ニンテンドー・ワールド

こういったテーマパークでの体験であることのしんどさ、みたいなものも吹き飛ばして楽しんで欲しい。テーマパークとしては少々不親切な部分があったとしても、任天堂が目指す遊びを提供するためには妥協をしない。
この姿勢こそが任天堂が目指す遊びの本質であり、だからこそスーパー・ニンテンドー・ワールドなのだと思います。
任天堂ファンとしては、ここまで任天堂が任天堂としての遊びを貫いていることに拍手を送りたいですし、ひとりでも多くの人に、スーパー・ニンテンドー・ワールドを体験して欲しいと思います。
他の方がスーパー・ニンテンドー・ワールドを体験してどう感じるのか?とても気になるので、もしも気が向いたらコメントやTwitterでDMなどくださると嬉しいです。
ここまで長々と読んでくださってありがとうございました!

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