hirokiow
短い物語の集積地
その文章がどうとかと言う人がいる。おかしいとか、意味が伝わらないとか、語彙が少ないとか、センスがないだとか、別の理由とか、そう言って文章を書いた者の知性を否定したがる人間がTwitterにはいる。驚くほど攻撃的で、驚くほど必死で噛みついてくる。
起きて、いつの間にか土曜日の午後だった。私はまだこれからも土曜日の午後を過ごすのだった。その心構えも、またそのことを想像するような心理状態もままならないままに、私はやはり土曜日の午後一時という時間帯を過ごしているのだった。
朝日はゆっくりとのぼり、これまで照らされていなかったところが太陽の光にてらされるようになる。日の光はどこからともなく私の身体や精神の内部にまで入り込んだように思えた。誰かが、いや何かが私を呼んでいるように思えた。私は誰かを、いやなにかを探していたのかもしれないと思えたのだ。
誰かが言葉を発せないでいる。誰かがどうにもできないことを嘆き、絶望に暮れている。私はそんな声を心で聞く。それがいつもそうであるとは限らないけれど、たいていそれは当たっている。残念だとは思わない。なぜなら
たとえばブラックバスを釣っていた時、それのどこが楽しいのかを問われたことがあった。私はその時、質問にうまく答えられないような気がしていた。自分にはわかるが、他の人がわからないことを人に話すことがどれほど難しいか、それを以前、体験したことがあったからだ。
新型のウィルスにより疫病が世界経済に与える影響は思いのほか大きく、先進国を中心に経済は大きく停滞している。これがどういった結末を迎え、どういう問題に発展していくかはわからないが、それでも人間の根本的な欲求は変わることはない為、どういう分野がどういうふうに変化していき、全体にどういう変化が加えられ、人は何を気にするようになるのだろうか？
私が私というものを認識する時、そこに否定的な意識はどれくらい含まれているのだろうか？
自分が砂の中に埋まるということを想像したことがある。
まだ言葉を喋りたいと思うのかい？
休日にはどこかに行くことが常態化していた。すると、どこにも行かない休日が、あまりにも珍しく思う。そういう日は基本的には自宅で過ごす。
インターネットについて、それをどう評価するべきかをずっと考えていたように思う。インターネットが我々の生活をどう変えたのか。そしてインターネットによって我々自身はどう変えられたのか。インターネットによって我々は様々な情報を得ることができている。何もしないでも、ただインターネットに一度アクセスするだけで、情報の方からこちら側に流れてくる。別にその情報を得ようと思ってなかったとしても、だ。
なかなか前に進まない。そう思って生きていた。だからかもしれない。私はまだ、まだ何も達成していないのだな、と。達成って何？ 達成ってなんだ？ 私はただ生きているだけ。社会ってなんだ？ 私はただ、私と共に生きている、だけなのに。
どこにでも行ってしまえよ。 彼はそう言った。
渋谷駅に到着する前から、山手線の車内放送で、本日はハロウィンの影響により、ハチ公前出口付近は非常に混雑しているということがわかっていた。私はその放送にも少し驚いたが、それ以上に気持ちが少し昂り始めたことに気がついていた。
彼女はやってきた列車に乗り込んだ。その日の彼女はグレーのスーツに黒のシャツ、紺色のネクタイをしていた。足元はルブタンのヒールだ。そしてカバンはサンローラン。エディ・スリメンディザインのバッグには書類の束と、水の入った水筒、そして化粧品が入っている。
いつだったか。私の住むこの街で今起こっている様々なことが自然で生き生きと成長していたことに気がついたのは。いつだったか。この街では様々な事象が混沌としたまま発生し続けているが、それらの根底にはある種のルールのようなものが存在することが明るみになったのは。
