【百科詩典】りょうしきのかべ【良識の壁】

社会の倫理観の枠組みを土台から変えたいと望む政治家にとって、一番邪魔になるのは、社会で培われてきた「良識」という壁。
その壁を壊すため、社会の中で一番粗暴で粗雑な連中を味方につけて、「良識の壁」を破壊する道具として使う。
目的は「壁を壊すこと」だけなので、粗暴な連中も最後には捨てる。
安倍政権や維新がなぜ、差別思想に耽溺する粗暴で粗雑な連中に支持されるのかという理由は複数考えられるが、意図的に「差別に寛容なそぶり」を示すことも要因の一つだろう。
粗暴で粗雑な連中は「自分の差別思想に政治家が権威のお墨付きを与えてくれた」と喜び、「良識の壁」を嬉々として壊し始める。
では安倍政権や維新は何のために、戦後の日本社会で培われてきた「良識の壁」を壊したいのか。
その壁がある限り、大日本帝国的な「人権より国家の権威が優先される社会」への回帰はできない。
だから社会の中で一番粗暴で粗雑な連中を味方につける。
日本社会にある「良識の壁」は、既にだいぶ壊された。

〜山崎雅弘