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あの男は黙殺するつもりだった


あの男は黙殺するつもりだった

香港に渡ってもTwitterに依存していた当然の報いだが
あの男のスマイルを目撃してしまい
いじめっ子気取りの匿名集団が囃し立てる地獄絵図は
ホラー映画よりも胸糞悪く
悪質なウイルスに潜伏されたような気持ちになった

国に黙殺され蹂躙される辺野古を命懸けで守る人々を
わざわざ侮辱しに行った幼稚な愉快犯
言葉を尖らせて弱者の胸を抉る達成感に酔う男に
大人としての発言権をこれ以上与えてはいけない
彼こそ黙殺しなければいけないと

そんなことを考えていたら
九歳の息子が学ぶタブレットから
国語のオンライン授業が聞こえてきた
よりによって『ちいちゃんのかげおくり』だった

「ぼうくうごう」でひとりぼっちで
家族を待ち続けたちいちゃんはある朝 
「ああ、あたし、
おなかがすいて軽くなったから、ういたのね」
と言って空にすいこまれていく

初老の教諭が子供たちに語りかける
戦争が終わって良かったと言われますが
始まらない方が良かったのです
戦争はちいちゃんから 家族だけでなく
ちいちゃんの未来の家族も奪ったのです

みなさん
「戦争」の反対は「平和」ではありません
戦争は手段ですから 暴力的な手段ですから
「戦争」の反対は「話し合い」です
たくさん勉強して
「話し合い」ができる大人になってくださいね

あの男は黙殺するつもりだったが
やめた
「戦争やった方が結局コスパいいでしょ」と
論破スイッチをONにしていつか言い始める気がする
氏名も書きたくないし 非難する自分もおそらく醜いが
みんなで少しずつ声を寄せて
コスパの悪い「話し合い」にずるずる巻き込まねば

あの幼児が言葉に遊び疲れて
言葉に嫌気が差して 言葉から逃げ出すまで