6時起床　今日もどうか正直・親切・ご機嫌であれ　買ってすぐ圧縮袋から出したてのIKEAマットレスは焼く前のベルギーワッフルの匂いがする　発酵して少し酸味のある青臭さ　3日ほど空気にさらすと洗い立てのリネンのような石鹸の香りに変わる

大学入学したての頃　フランス語クラスで学園祭にベルギーワッフルの屋台を出すことになり　僕らは屋台の奥隅でワッフル生地を生臭さに閉口しながら混ぜ続けていた　焼いた途端ワッフルは強烈な甘い香りを身に纏って魅惑的な存在に豹変する

屋台の店頭ではこんがり小麦色に肌を焼いたテニサー東大生が口達者にベルギーワッフルを女の子たちに売っていく　屋台の暗がりで「こいつらもワッフルみたいに生臭さかったくせに」と恨み節をボヤいていた　何とも卑屈な残念学生でしたね　映画『ロゼッタ』で貧しい少女がワッフル工場で必死に粉を混ぜる姿にはえらく同情した

食卓の壁に「香港特別行政區地圖」をバンと貼る　アヘン戦争の英国軍も太平洋戦争の日本軍も貼ったであろうが　香港全土を「平和的に攻略」するためである　海賊が隠れた島々を巡り鳳凰木の木陰でかくれんぼするのだ

昼はじっとり暑く夜は意外にひんやりする　日本では普段着が「七分丈のユニクロステテコ」でパジャマが「膝上のピチピチ短パン」だったが　逆になった　膝に風を当てながら闊歩する快感を知る　そういや街は「ヘソ出しホットパンツ」で溢れている　お姉さんもおじさんも