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クロノという曲について( about a song called "Chronos") HMTP #2

何らかの‪楽曲を月イチで発表する私のプロジェクト、Hiroko's Monthly Tune Project ( HMTP ) #2、2019年12月度の曲は『クロノ』でした。この曲は、2016年に作った曲で、これまでライブでもよく演奏してきた曲です。

いま、うちには犬がいます。2017年の秋にうちにやってきて、その頃1歳に満たないようだったので(保護犬なので正確な年齢は不明)今だいたい3歳ぐらいかなと思います。

以前にも、うちには別の犬がいました。私が6歳の時にやって来て、17年生きて旅立っていきました。父は毎朝早く、日の出の時間に合わせて高台の公園まで彼を散歩に連れて行き、朝日に挨拶するのを日課としていました(ほんとは私が散歩担当だったんだけどまったく起きられなかった。笑)。
リードが鎖だったので、出かけて、帰って、その度にシャラシャラと鳴りました。ときどき私も一緒に行ったのですが、そんな時間の思い出を歌にしたのがこの曲です。

犬の一生は、どうしてこんなに早送りなんだろう。猫とか、ほかの動物もそうかもしれないけど、「時間」をすごく感じさせてくれる存在だなと思います。私より後に生まれたのに私を置いてどんどん大人になっていってしまう。あのころ毎朝散歩に行っていた父も、今は年老いて自由に歩くことができません。でもあんな日々が確かに存在していたことを私は覚えています。「chronos」(クロノス)とは、時間や、時間を神格化したものを意味する言葉だそうで、この曲のタイトルはそこから来ています。

彼は私や他の家族が帰って来るといつも喜んでくれた。おじいちゃんになるにつれて昔のように飛び跳ねなくなったけど。そして、ずっと、とてもきれいな目でした。晩年は、仙人みたいな見透かされそうな目になりました。
でも私が大学2年の夏休み、遠くへ行ってしまった。帰省して実家に着いたらもうどこにもいなくて、そのことがとっても寂しかった。私は彼にとってどんな家族だったのかなと思う。あまり面倒を見ない、可もなく不可もない存在だったかもしれないな。
でも、彼が逝って何年か後、とても疲れていた昼下がりに東京の部屋で眠っていたら、ドアの向こう側で「シャラ」という音がして、それは間違いなく聞き慣れた彼のリードの音だったから「また私のところに来てくれたんだ、」と涙が出るほど嬉しかったのです。そこでふと目を覚まして、ドアを開けてもどこにもいなかったけど、あれはきっと、会いに来てくれたんだろうなあ、と今でも思っています。

クロノ


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