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オチはどこやねん!

不要不急の外出が禁じられる今日この頃、皆様どうお過ごしですか?
夫はテレワークができるので、家で仕事をしております。そんな夫と二人、家に籠り続けております。
みなさんもそうだと思いますが。

夫はフランス人なので、みなさんが想像するように、議論するのが大好きです。
ずーっとずーっとお話を続けます。
なんなら、たぶん、一日中議論し続けられるでしょう。

そんな夫と、英語で会話をしています。
夫と一緒に暮らすようになったとき、フランス語を習おうかと試みたのですが、私がフランス語で彼と議論できるようになるまで何年かかるのだろう、と想像したら、イバラの道が長く長く続いているのが見えました。

それに私は、記憶力が悪いです。
夫に「メモリー足した方がいいんじゃない?!」とよく言われます。

そんなもんできるかい!できたらもうとっくにしとるわい!!

キレてはみますが、本当にできるならメモリー足したいです。
そんなこんなで、フランス語をマスターするのを諦めていました。

毎日、家で籠って何もすることもないし、ずっとフランス人の夫と一緒にいるのでいい機会だと、フランス語を勉強することにしました。

さっきも言いましたが、私はメモリーが足りていません。
しかも50歳を過ぎてます。
フランス語の単語を一つ覚えられたとしても、変化しまくりで何通りもあり、一つの単語で覚えることがたくさんです。

3週間ぐらい過ぎたころです。
大変なことが起きてしまいました。
英語はおろか、日本語も出てきません。
三つ目の言語、フランス語が頭の中に入ってきたせいで、言語野がオーバーヒートしてしまったようです。
議論好きの夫が話しかけてきても、答えることができません。
頭の中では言いたいことが漠然とあるのですが、それが言語として繋がらず具現化できません。

やっと出てきた言葉が、「なんやねん」でした。

自分でもびっくりしました。
よりによって「なんやねん」

ツッコミ、初歩中の初歩。
2大フレーズの「なんでやねん」と「なんやねん」
それさえ言っておけば、大概のことはツッコめます。
笑いの才能が全くなかった私が、父親からスパルタ教育を受けて習得した言葉です。
(どれだけレベルが低かったか想像していただけるでしょう)

もしかして、私の言語野、初期化されてしまった?!

いろんなことが走馬灯のように頭の中をめぐります。
標準語が話せるようになってきたときのこと。
英語が関西なまりじゃなくなってきたときのこと。
外国人と英語で議論ができるようになったときのこと。

やっと習得した言語の数々。
(と言っても標準語と英語だけ)
また一から覚えなおさなければならないのか、と愕然としましたが、いくらメモリーが足りていなかったとしても、全部なくなるということはあるまい、と思い直しました。

記憶の一番奥にある言語を引き出せれば元に戻るかも、と思いつき、生まれた時から聞いている、関西弁を聞くことにしました。
素晴らしいことに、Netflixで『人志松本のすべらない話』を観ることができます。
私は夫を無視したまま、『人志松本のすべらない話』観続けました。
夫としても「なんやねん」しか返してもらえず、大好きな議論ができないので許すしかないと思ったようです。

予測通り、3日ほどで言語野がもとに戻り始めました。
せっかく覚えたフランス語は、はるか彼方に消えてしまいましたが、背に腹は代えられません。
夫とコミュニケーションを取るのが先決です。

夫はやっと議論ができるようになったと大喜びです。
それまで溜まった「お話ししたい」ことが一気に噴き出し、ずーっとずーっと話し続けます。そういう私は、夫を放っておいたことが申し訳なく思ったので、嬉しそうに話す夫の話を聞いていました。

話し終わったのか、満面の笑顔で私の反撃を待ちます。
私はキョトンとした顔で夫を見ます。
その顔をみて、夫はキョトンとした顔を返します。
その顔を返してもらってもなぁ~。
仕方なく、私は夫に言ってやります。

「オチはどこやねん!」

関西弁で。
英語では「Where is the punch line?」と言うらしいですが、英語圏の人間ではない夫にそれを言っても通じません。
なのであえて関西弁で言いました。ドスもきいていたことでしょう。

夫の顔はみるみるうちに、怒られた子供のようになっていきました。
あ、あかん、あかん。えらいこと言うてもうた。

言語野だけでなく思考回路まで、人の話にツッコミを入れなければならない、という昔の自分に戻ってしまっていたようです。

自分が面白いこと要求されるのが嫌いなくせに、相手に面白いことを要求しなくても“ええじゃないか”と思うのですが、やっぱり話にオチがあったほうが“ええじゃないか”と思い始めた今日この頃です。

それこそ「なんやねん」ですよね。。。トホホ。

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