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中村裕美というオタクの生態~オリーブに愛された女子(たぶん)。『楽しい!』方向に進むと、運命が動き始めるよ!

こんにちは!中村裕美(なかむら ひろみ)と申します。

イタリア家庭料理の教室を17年、オリーブオイルの講師を12年、いろいろな形でオイルや料理の指導をさせて頂いた人数は延べ1万人を超えます。

これまで、たくさん、たくさん、人前でオリーブオイルの話も、料理もしてきました。新聞をはじめとする紙面にレシピ提供も沢山させて頂き、料理本も3冊出版させていただき、テレビにも出演。オリーブオイルの国際的なコンテスト審査員を国を跨いでいくつか担当させていただいています。



でも実は・・・

料理や食の世界で仕事がしたいと思ったことは、一度もなかったんです。



私は昔から 『楽しい!』 という感覚だけで走り出す性質で『楽しい!』と思える方向だけに進んできました。加えてシツコイ性格です。納得いかないと何度でもやる。周りが辞めても、自分が納得するまでは辞めないシツコイ性格です。


この2つを合わせると、私は 究極なわがまま で生きてきたことになります。



ええじゃないか~!



意味探しもせず、心に浮かんだことを分析することもなく、ただ、心が喜び『楽しい!』方向に進むと、運命が動き始めるよ!という実話です。



◆楽しい!だけで料理留学へと爆走!

会社員として食とは全く関係がない仕事をしていた頃、唯一の楽しみだった食べることへの楽しさが膨らんでしまい、『楽しい!』をもっと深く体感したくなってきて、たまたま見つけた料理留学の文字。迷うことなく申込み、その後でスパッと会社を辞めました。


周りが驚くほどの潔い退職の仕方だったので、仕事が辛かったのかと心配もされましたが、そういうことではなく、私はただ、『楽しい!』方向を見つけただけだったのです。


留学先のイタリアは本当に素敵な場所でした。

景色の素晴らしさと、人の温かさに触れ感動することが多かったです。車いすの人がいると本人は頼んでいないのに、周りから人が集まってきて電車に乗せてあげるのは日常の光景で、重たいスーツケースを抱え階段を上る私に手を差し伸べて助けてくれた人はあちこちにいました。

料理がおいしいことはもちろんですが、いたるところに芸術があり、歴史があり、触れられる場所に世界遺産。私が住んでいたアパートも歴史地区で世界遺産となっている町の中にありました。アパートは築千年以上。昔の馬車の馬留めが壁に残されていました。

そんな中での生活は、五感全てが解き放たれて重力が分からなくなったり、景色を眺めているだけで癒されていく、そんな場所でした。そして不思議な体験をいくつもした場所でもありました。(このことはいずれ書きますね)



留学中に料理を沢山学びましたが、当時は毎日が必死過ぎて、得たものの大きさに気がついたのは卒業して数年経ってからの事でした。



◆帰国後、趣味で 料理教室もどき を始める

帰国すると、周りから料理を教えてほしいと言われるようになり、留学時代に習ったことを趣味で週末に教え始めました。


覚えてたのレシピをみんなに伝えて一緒に作って食べる時間は、まさに『楽しい!』のです。友達が友達を呼んでくれ、料理会はだんだんと料理教室へとなっていきました。


私は料理にどんどんのめり込み、平日は会社員、週末は料理教室という忙しい日々になりましたが、留学時代のレシピでは物足りなくなり、毎年イタリアへ料理を勉強しに行くようになりました。この頃の私は、イタリアへ料理を学びに行くための仕事をする、というスタイルになっていたので、派遣社員というスタイルで半年働いては退職し、イタリアへ。このサイクルを楽しんでいました。



イタリアへ行くたびに派遣社員で就職と退職を繰り返す私のことを、あまり良い印象を持たない友人もおり、料理とイタリアにのめり込む私を心配する声さえありました。でも私は、ご飯を食べに行っては、会社の上司や仕事の不満を言い続ける友達の方が不思議で仕方がありませんでした。



そんなに不満だらけの場所に居つづけるのは何のため?



そうやって『楽しい!』という思いだけでのめり込んだ料理の世界で、私はオリーブオイルだけを口にする機会がありました。

まるで野菜のようなにおいとピリッと辛い口当たり。

油なのに、味がある。匂いがある。旨味もある・・・・



なんだこりゃー!『楽しいぞぉ~~!』



◆オリーブオイルにハマっていく私

オリーブオイルについて興味がでてくると、今度はこんなことを感じるようになりました。


オリーブオイルが変わると料理が変わるような、気がする・・・?


当時毎月何度も料理レッスンを繰り返していた私は同じ料理を何度も食べる機会があったため、そんな感覚を味わいました。イタリアンだからオリーブオイルを使うという当たり前と思っていた方程式が、私の中でにわかに壊れ、オリーブオイルが『興味をそそられるもの』になったのです。



油が料理の風味を変えることなんて、あるのだろうか・・・



すでに私は、オリーブオイルが『楽しい!』に足を踏み入れてしまったのです。


そしてオリーブオイルソムリエという、オリーブオイルを勉強できる機関があることを見つけ、またまた迷いなく会社を円満終了。今度はイタリアにオリーブオイルを学びに行きました。


帰国してから、オリーブオイルを使って仕事にするという考えはなかったのですが、知り合いのシェフから紹介があり、日本オリーブオイルソムリエ協会で講師の仕事をさせていただくことになりました。以降7年間ほど講師をさせて頂きましたが、この期間でオリーブオイルの魅力にドはまりをし、料理以上に魅了されました。


オリーブオイルを伝える、ということがもう『楽しい!』を通り越してもはや興奮する事柄の状態。


どんな小さな機会でもいいから、オイルの話をする機会を作りたく、いろいろなところで講師の仕事をさせて頂きました。中には、往復5時間、生徒2名、売り上げマイナス、という場所すらもありましたが、オイルを伝えたかった私にはそんなこと問題ではありませんでした。



オリーブオイルを伝えて一緒に楽しむということが、信じられないくらい楽しくて。みんなのビックリ顔からの、納得の頷きが、たまらなく楽しくなりました。



そして私はイタリアやスペイン、そして日本でもオリーブオイルの生産者を訪ね歩きました。テキストで習ったことは現場では異なることが多く、生産者にはそれぞれ想いや哲学があります。そういうものに触れていくうちに、出来上がったオリーブオイルを眺めているだけでは分からないストーリーがあることに気が付きました。


オリーブオイルを搾る、という共通の目的で栽培されるオリーブ畑。

ですが、栽培する人の想い、考え方、向かっていく方向が変われば、畑の様子が変わります。雑草一つに対しても考え方は様々。


地面に生える雑草をすべて取り除く人

雑草をそのままにする人

木の周りだけ雑草を残し、他をすべて取り除く人

逆に木の根元だけの雑草を取り除き、あとは自然なままにする人

枝の下だけ雑草を残し、それ以外はすべて取り除く人


授業で習ったときは雑草は取り除くが正解。こんなに色々な考え方があるとは知りませんでした。正解、間違えは、なかったのです。生産者の考え方、その土地や環境を理解しているから様々な栽培方法が生まれてくるのです。


これは、生産者に会うまでは知らなかったことでした。ここにもオリーブオイル生産者の哲学があります。この哲学に触れ始めると、私はより一層オリーブオイルに夢中になり、領域的にはオタクの世界へ。



◆楽しい事なら、しつこくもなれる

すでにオリーブオイルソムリエの資格を保有しているのに、同じような講義をいろいろな場所で学びました。これは、たとえるなら、運転免許証を取得したのに、また別の教習所で一から受講しなおすことと同じです。私は何度もこの、一から学ぶ を繰り返しました。


何回目かの講義で、あるイタリア人の先生が私に声を掛けてきました。君を数年にわたって何度も見かけるんだけど、なぜこんなに講義を受けてるの?


正直に言いました。


情熱が止まりません!


すると、その先生から、そんなに好きなら、この仕事をやってみないか、と国際的な仕事を私に手伝わせてくれました。以降、経験が増えていく中でオリーブオイルの国際コンテストの審査員のお話も頂くようになり、今年は4カ国の審査を担当させて頂くことになりました。


私は一度も、審査員になりたい!!と行動したことがありません。なれたらいいな~と思って努力はしましたが、夢を追ってきたのではなく、ただ『楽しい!』を追いかけてきただけでした。


そこに私のしつこさがプラスされ、周りから見ると、粘り強い人という印象を与えたようです。


歯を食いしばって頑張らなきゃいけない瞬間はある。だけど根底には『楽しい!』がないと、重たい岩 は動かせない。寝不足、実力不足、もうだめかも・・・そういう想いは誰だって経験するけど、ふとした瞬間に、やっぱり好きだなぁ~という思いがあるか、ないか、で乗り越えられるかどうかが決まってくる。


だから、私は遠慮なく言えちゃう。


『楽しい!』その気持ちをこれからも大切にしたい。逆風が吹いたときに乗り越える力を与えてくれるのは、たった一つの気持ち。『楽しい!』だから。

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