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要約の機能と未来

ハッシュタグは2から4つに絞りましょう。というnoteの警告を無視して好きな数ほどハッシュタグをつける川田十夢のスタイル、とてもいいと思う。

川田十夢のnoteの更新は金曜日の川田十夢がMCを務めるラジオプログラムINNOVATION WORLD内のBrain laboratoryでの話題がそのままnoteになる。

今回のBrain laboratoryでは東大松尾研究所発のELYZA DIGESTというあらゆる長文を要約して伝えるAIサービスを用いての話題だった。

ここのところエモい内容が続いていたのでテクノロジーを中心に語る回にする的なことを川田自身で語っていたが、エモい話もよいがこういう話が私的には大好物。

そして川田十夢の書くnoteに対して5000文字にもならんとする自分の感想文の長さに悩んでいた。こんな長い感想文を誰が読むのか。私なら読まない。なのでタイムリーな話題だったありがとう川田十夢。

まずELYZA DIGESTを知るために川田十夢の『想像機関車、国語から算数の駅へ』を読んで書いた私の感想『想像の機関車(私的暴走機関車)』を要約してみた。こうなった。 

"川田十夢が、中学時代に想像機関車を走らせた過去を振り返っている。国語の頭で、63CMのひもを同じ長さずつ9本に切り、算数的答えは7CM。国語の世界では「7CMの紐で首を絞められるような」という慣用句が成立する。"

あんなにエモい内容の川田十夢の文章を読み、自分の記憶も織り込みつつ書きに書いて5000文字近くになった感想文が結局、あのひもか!!!!と驚愕した。

でもおもしろかったのでELAYZAの要約は成功とユーザーアンケートに投稿してしまった。間違いじゃないし。確かに私は7センチのひもに関心がずっとあったし。ただ中学生の川田十夢、どこに出てきた?

ELYZA DIGESTの特性をなんとなく実感したところで川田十夢の今回のnoteの内容をみていこう。前置きが我ながら長い。

川田十夢がまずELYZAで要約して見せたのはデジタル庁の平井大臣の挨拶。話題のデジタル庁のHPで読むことが出来る。
AIが大臣のメッセージを要約すると、こう。

"AIによる(平井大臣メッセージ)要約結果
平井卓也氏が、デジタル庁の3つの柱に重点的に取り組みを語っている。行政のデジタル化、医療・教育・防災をはじめ、産業社会全体にわたるデジタル化。誰もが恩恵を享受できるデジタル化、誰もが恩恵を享受できるデジタル化など。"


なるほど。とにかくデジタル化。やみくもにデジタル化したいのはわかったから落ち着けと言いたくなるAIの要約である。

川田十夢の解説によると3つの柱と言いながら4つの柱があったり、やみくもなデジタル化推進の意思があったり、"要点を絞らない政治家独特の言い回しにAIが振り回されている結果"と川田十夢が言う。

AIに省略されてしまった平井大臣のご挨拶でデジタル化が進むことで人助けになる道程を『武士道になぞらえデジ道』と呼んでいることを川田が取り上げる。

日本のデジタル化が立ち遅れている理由が一瞬香った気がした。デジ道黒帯になるまで何年かかるのか。
それにこの期に及んでデジタル化への道を"マイナンバーの普及"など言ってる場合なのか。スマホ一台で手続き出来るとかそういうことなのか?

マイナンバー、高齢者は家族がベタ付きして手続きしないと申請からまず無理な運用してるのに。その運用をまずどうにかしてと思う。

そしてなにより。この国を本当の意味でデジタルに開かれた国にしたいなら川田が指摘するようにまずはインターネット投票が出来る様に整えることだ。高齢化社会を支える若者たちに投票するよう促すことだ。

そのような日本列島拡張論的視点で川田十夢が要約したのがこちら。

"川田十夢による(平井大臣メッセージ)要約

デジタル庁の三本柱。行政、医療・教育・防災を含む産業社会全体、情報格差の払拭。デジタルで人助けしたい。平井は武士道になぞらえ「デジ道」と呼んでいる。ネット投票の是非が含まれていない。注視しよう。"


うむ。注視しよう。これは大事なことだ。そう思ったところで字数をカウントしたら既に1687文字。私は全然要約できてないじゃないか。この書き方がダメなのか。しかし、次に川田十夢が要約してみせるのは日本国憲法なのである。

どう思います?憲法学者という憲法を専門に研究する学者がいるような代物である。
日本国民の権利と自由を守るために国がやってはならないこと、やるべきこと。つまりは国と国民の約束と捉えることが出来る。

それを要約。AIのみならず川田十夢も要約。要約の中に色々ぶっ込んでるのだろうと予測しながら読んだらやっぱりね。となった。

Zeebraのことをジブさんと呼ぶラッパーたちとの関係性、大勝軒の創業者と暖簾分けの関係性と衆議院・参議院のHPに日本国憲法全文を掲載しているニュアンスの考察には笑った。ちなみに中華に例えると四川料理の陳一家が弟子と写真、なんでもない。

早速。AIの要約を見てみる。

AIによる(日本国憲法全文の)要約結果
日本国民は、憲法を確定し主権が国民に存することを宣言した。憲法は人類普遍の原理に基く、主権は国民に由来する。国民は、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して生存を保持しようと決意した。

この結果に要約の対象が全文だと、あまりに広大なのかも知れない。と川田が書くように確かにふんわりした部分だけを要約している。

では範囲を限定しようと川田は第一章、天皇に関する部分をAIに要約させる。

AIによる(日本国憲法 第一章 天皇(第1条~第8条))の要約
天皇の地位と主権在民、天皇の権能と権能行使の委任、天皇の任命行為。天皇の権能と権能行使の委任、天皇の権能行使の委任、摂政の制限など。天皇は内閣の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。

これは川田の指摘がなくとも一見してうまくいってないのかわかる。「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」がないと色々まずい。

川田はまず明治憲法との違いが明確にならないことを挙げ、細かな要件より大まかな定義を三行で要約すべきだ。

と。確かにこの天皇に係る部分は日本の戦争責任をどう捉えたのか戦争回避を憲法に組み込んだのかの根幹である。AIにそのことまで背負うことは時期尚早なのだろう。

そこで川田十夢が明治憲法のあらましと日本国憲法第一章にあたる第一条から第八条まで読み込んで要約している。

川田十夢による(日本国憲法 第一章 天皇の)要約
前法では、天皇は陸海軍の最高司令者であり、国家予算も宣戦布告の宣言の権利も握っていた。現法では、天皇は神の子でも国家元首でもなく日本国の象徴である。その地位は国民の総意、あるいは国会の議決に基づいている。

川田が「国民の総意、あるいは国会の議決に基づいている」と、国民の総意=国会の議決という大前提が崩れていることを要約として入れなくてはいけない現実を改めて残念に思う。」と書くのに同意しないとならないことも残念だ。

戦争について論じるのが難しいのは原因も責任も一つではないからだ。同じ情報に違う価値が生じてしまいそこに争議は起きる。さらに各々の思惑が拍車をかける。

だからこそ権力の分散を明文化し戦争を回避するために憲法は作られた。天皇における象徴という語の難しさはあれど。天皇のありかたも随分変化してきた。現行のあり方を見直すことは必要なのかもしれない。ご皇族の意思の尊重も考慮しなければならない。

ただひとつ言えることは昨今の結婚問題に関しては宮家でなくとも、平民の我が家でもあの手の問題抱えてる相手を連れてきたらたらちょっと…とはなる。国民総出で『親父の一番長い日』の親父化してる状態だ。

ええ、最後の要約はさだまさしの『親父の一番長い日』である。この曲を知らない読者のためにまずは自身の要約を示すことを川田は選んだ。要約はこうだ。

川田十夢による親父の一番長い日の要約
妹が生まれた。弟はまだ小さかった。親父は初めての娘がうれしくて、一週間かけて名前を考えた。大切に育て上げた娘を、下さいと言ってきた若者には殴らせろと言った。最後は妹の手をとり、教会の祭壇へ送り出した。

1979年に発売された曲であることを川田が告げる。それ以前のさだまさしが白皙の美少年扱いを一部でされていたことを知る人は殆どいないだろう。セイ!ヤングのパーソナリティだったことも。

話を戻そう。曲に描かれる1979年頃の昭和の感じはいささかノスタルジックな想いもするし、まだ親父が怖い存在だったことも窺わせる。

AIによる親父の一番長い日の要約
親父が妹の誕生を知った親父は、一週間もかけて娘を育てた。親父は妹の初恋は高校二年の秋、相手のバレー部のキャプテンはよくあるケース。親父は妹の選んだ男に間違いはないと信じていたのも、親父だった。

これでは親父が娘に執着しているかのごとく。しかし仄かに親父が娘を信じていたことはわかる。日本語としてオカしいこともわかる。
川田によるとシンガー・ソング・ライターの書く歌詞世界には歌い手ごとに文法があり、語彙ごとの思い入れがあり、とても数値化し難い。メロディによる抑揚の要素もある。議事録のように要約できないのは理解する。
とAIにとっては難しい要約をしなくてはならないことを認める。
とはいえ、このご時世、結婚の許しを乞いに来た相手を殴ったらまずいですよ、お父さん。

川田はまとめにおいて日本国憲法も、親父の一番長い日もAIが三行に要約することが出来なかったとしながら、何故それが出来ないのか解説していた。

日本国憲法も、親父の一番長い日も、AIはまだ三行に要約することは出来なかった。憲法と天皇の歴史的背景、さだまさしを含む親父の気持ち、そしてシンガー・ソング・ライター特有の言い回し、メロディとコード進行に含まれる抑揚までは把握できていない。

と。その背景としてELYZA DIGESTは生まれたばかりであること、デモの一般公開にあたって本来なら大きなモデルで公開するところを小さなモデルで公開したことなどを挙げていた。

しかし、デモサイト公開から5日間の訪問者数、PV数、要約数を鑑みると皆が期待していることに変わりはないと思う。(訪問者13万人、要約数145,309回。ユーザー判定成功8,518、失敗9,093)

生成型のAIであることを思えば素晴らしい成果なのだ。川田十夢でなくとも未来に期待。
それに川田十夢の憲法第二章(戦争の放棄)以降の日本国憲法と関白宣言についての検証も楽しみにしなくてはならない。ついでにさだまさしの曲、檸檬についての検証も頼みたい。梶井基次郎の檸檬がモチーフである。

人間による自問自答とAIによる要約は続く。と川田十夢。そうなると私の長文感想文地獄も続くのである。奇特な方が読んでくださるのだとしたら頭を下げるしかない。この時点で4,432文字である。
そして川田十夢の数字のコンマの打ち方に会計学を学んだ者の魂をみた。

(黒字の部分は川田十夢/『日本国憲法と親父の一番長い日は要約できるのか?』より引用)

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