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バリアフリーな生活で最も楽しいことは掃除だった〜岸田ひろ実のコーチングな日々〜

1月に体調を崩し、2月に入院、手術。桜が満開の3月に退院からの自宅療養。

これから元気になっていく嬉しさと、再発したらどうしようという不安がいったりきたり。思うように体調がもどってこなくて未来がこわくなったり。

気持ちも体もちょっとしんどくなっていたそんな中、高齢で物忘れがひどくなった母のケアと、ダウン症で知的障害のある息子のサポートが私のキャパシティを超えようとしていました。

娘に続いて私の「もうあかんわ」でございます。



そんなこんなでnoteの更新もままならず、気がつけば季節は夏。
冬はいつ終わって、春はいつのまに過ぎ去ったのか・・・。

入院していると気温の変化も感じず、季節の移り変わりにも鈍感になるんですよね。口癖だって「寒い寒い」から一気に「暑い暑い」になっていました。

というわけで。

ご無沙汰しております。
皆さまお変わりありませんか。

なんだかんだと「もうあかんわ」が押し寄せている私ではありますが、人生色々、日々色々。お仕事も休ませていただき、自愛優先。しっかり食べて寝て、生きる時を過ごしています。

そんな中、実は私、

ちょこっとだけ一人暮らしを始めました。


娘が私をひとりにするための部屋を借りてくれたのです。

この経緯については次のnoteで書くことにして、今回は週に2、3日、しかも人生で初めての一人暮らしで気づいたことについて書きたいと思います。

掃除が楽しい!

ずっとコロコロ、サッサ、ブイーンとお掃除に夢中なんです。

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意外や意外。
掃除が楽しい!これが一人暮らしをはじめて、真っ先に感じた嬉しい気持ちでした。

歩いていた時は、インテリアが大好きで部屋の模様替えもしょっちゅう。掃除も毎日欠かさず楽しくやっていました。

でも、歩けなくなって車いすの生活になってからは自分の身の回りのこと、例えば食事、着替え、入浴などを自分でできるようになることで精一杯。

家事までは手には負えませんでした。

家事の中でも特に掃除は、歩けなくて腹筋背筋がなく、両手を上手く使えない私にとっては最もハードルが高かったのです。

まず、掃除機はコードとホースが車いすに絡まって操れないし、拭き掃除も届くところは限られているし。

しかも家の中はスロープやちょっとして段差というバリアがあちこちにあるがゆえ、車いすをこぎながらお掃除道具を持ち運ぶこともできなくて。

車いす生活になってから掃除は、母やヘルパーさんに任せっきりでした。

それが!

一人暮らしの部屋ではらくらく、すいすい、掃除が1人で全部できちゃうのです。

なぜなら。

バリアフリーの部屋だから。


【バリアフリーの定義】
高齢者・障害者等が生活していく上で障壁(バリア)となるものを除去(フリー)すること。物理的、社会的、制度的、心理的な障壁、情報面での障壁などすべての障壁を除去する考え方です。


私の週に2、3日プチ一人暮らしのマンションは、シニア向けのバリアフリーマンションなんです。

玄関、部屋の中の扉、扉という扉は全てスライド式。
車いすに乗っていても引っかからず、不自由なく開け閉めできます。

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部屋や洗面、お風呂、トイレと全てに段差がなくフルフラット。
車いすでの移動もストレスなくスムーズです。

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キッチンや洗面台は座ったままでも快適に使えるデザイン。

車いすに乗ったままでも足がシンクの下に入るので快適に使えます。

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高齢者にとって使いやすく工夫されたバリアフリールーム。
実は歩けなくて車いすに乗る私にとってのバリアフリールームでもありました。

自分の身の回りのことはもちろん、家事もここでは全て自分でできてしまいます。もちろん、掃除も。

掃除機はコードレスのスティックに。
カーペットクリーナーやワイパー、お風呂掃除スポンジは長いポール付きを選んで使えばほとんどどこでもキレイにできます。

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部屋が散らかったり、汚れが気になった時、誰かにお願いしなくてもいい。

気になったら、やりたくなったらその時すぐに自分でできるということはストレスフリー。

自分でできることは自分の自信となって、新たなことにチャレンジしたくなる。

できないことは誰かにお願いすることは大切なことだし、そうして解決できることはたくさんあります。

でもやっぱり自分でできるようになりたい。
自分でできることを増やしたい。

ところがこれまでに、きっと無理、できないって諦めていたことはいくつもあります。掃除もその中の1つです。

でも実はそうじゃなかったのです。
無理、できないことではなかったのです。

環境が整えば、使える道具を見つけられたら、できないこともできるようになtたのです。

バリアフリーって素晴らしい。


1人の時間をバリアフリーな場所で過ごしてみて1番嬉しいことは、
今までできないと思っていた掃除が自分でできたことでした。

自分で自分の部屋をキレイにできることがこんなにも嬉しくて楽しいことだなんて思いもしませんでした。

部屋がキレイになると、お花を飾りたい。じゃあお花を買いに行こう。
次にしたいことも見つかって、ワクワク。

若くて元気で自由に体が動いた時、私はバリアフリーについて真剣に考えたことはありませんでした。

どれだけ大事なことで、考えるべきことなのかも感じていませんでした。自分が障害者になるなんて考えたこともなく。

バリアフリーは長らく自分事でなく、他人事でしかありませんでした。

バリアフリーはどんな人にとっても他人事ではなく、自分ごとだったのです。


今、障害のある私は高齢者が必要とするバリアフリー対応のマンションでバリアを感じず快適に暮らせています。

ということは、高齢者と障害者のバリアフリーのニーズはほぼ同じだということなんですよね。

いずれ私たちは高齢者になるわけです。
歩きづらい、見えにくい、聞こえにくいとなる可能性があります。

もしかしたら障害のある人と、未来の自分の困りごとは共通しているのかもしれません。


とはいえ、どれだけ部屋が、また環境がバリアフリーになったとしても、私の「できないこと」はなくならないでしょう。

家族や友人、他の誰かにも助けてもらわなくちゃいけないことはあり続けると思います。

「電球が切れたから付け替えてほしい」

「お布団を干してほしい」

ってお願いすることでしょう。

でも、バリアフリーな環境が増えることで歩けない私が自分でできることは確実に増えます。

誰かに頼むことなく、自分でできることが増えるということはとても幸せなことなのです。

何も特別なことではなく、生きるための日常の当たり前の作業が自分でできる、本当に嬉しいこと。

そんなことが増えたら、もっと自由に、もっと行きたいところに行けて、やりたいことができるだろうし。

障害があるから無理だってあきらめてしまうことは減ると思います。

いつか高齢者になる自分のために、今のうちから障害者のバリアフリーを自分ごととして考えたり想像できる人が増えたらきっと、家やお店、学校、職場、街中・・・って、環境の中にあるバリアはどんどん減っていくんだろうな。

一度作ってしまったバリアをなくすことは大変です。だからこれから作る建物や施設は最初からバリアを作らない。

みんながちょっとずつ我慢しなくちゃいけないかもしれないけど、多くのみんなが便利に使える場所や、モノってなんだろう。

そんな想像をできる人が増えてほしい。
私もそんな人でありたいな。

それが未来の自分が楽しく生きるための方法だと思うのです。

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