カンロの企業理念から見る、「ビジョン・ミッション」ファーストから「バリュー」ファーストへの変化

こちらは昨日読んだ記事。

この記事がとても面白く、昨年末に考えていたことを思い出したので、文章にまとめることにしました。

昨年2017年11月なので少し前の話題になりますが、菓子メーカーのカンロが、CIを刷新したというニュースを見ました。

https://www.kanro.co.jp/kanro-ci/

大文字から小文字への変化(全て大文字だったのが、冒頭のK以外小文字になった)、美味しそうなフォルムなど、個人的には好印象を持ちました。筆記体風なので文字同士を繋げても良いのではと思いましたが、「r」は筆記体の形にすると読みづらくなるので楷書体(っていうのかな)のままにした結果、全体を繋げられなくなったのかな、などいろいろ想像しますが。
(キャンディが美味しそう)

ロゴの話はさておき、今日はCIと同じタイミングで刷新された同社のコーポレートビジョンについて。

上記ページの冒頭に出てくるピラミッド図、企業理念を解説する際によく見る形式ではあります。
しかし今まで見たことのある企業理念の図と比べて、異質な部分に気がつきました。

その説明の前に、企業理念の構成要素とその階層順について書きます。

ー ー ー

「ビジョン・ミッションファースト」という考え方

世の中の企業理念は「ビジョン・ミッション・バリュー」もしくは「ミッション・ビジョン・バリュー」の順番が多いように思います。
(統計など取っているわけではなく、個人の感覚値です)
3つの言葉をざっくり説明すると、

ビジョン:つくりたい世界・目指す姿
ミッション:やるべき使命・存在意義
バリュー:大切にする価値観・行動指針

という感じになります。
※他にも「ウェイ」「理念」「スピリット」「スローガン」「行動規範」など、企業によって様々な言い方が存在しますが、ここでは「ビジョン・ミッション・バリュー」の3つで話を進めます。

順番が「ビジョン・ミッション・バリュー」の場合、
「こんな世界を作りたい」というビジョンが最上位概念としてあり、そのために我々がすべき使命としてミッションがあり、そのミッションを実現するために持つべき価値観がある、ということになります。

順番が「ミッション・ビジョン・バリュー」の場合は、
まず我々の使命としてのミッションがあり、その使命を果たすために目指す姿があり、そしてその姿に近づくための行動指針としてのバリューがある、ということになります。

個人的には「ビジョン・ミッション・バリュー」の順番がしっくりきますが、いずれにせよ、「バリュー」というのは手段であって、「ビジョン」「ミッション」を実現するために持つべき規範、価値観という位置付けが多いように思います。(もちろん、バリューが重要ではない、ということではなく、企業ブランディングにおいてバリューはむしろ重要さを増していると感じます。)

 ー ー ー

「バリューファースト」という考え方

ようやく本題に戻ります。
もう一度カンロのコーポレートビジョンを見てみます。

これを見ると、バリューが最上位概念になっています。
つまり、「どんな世界をつくりたいか、やるべき使命は何か」という、世の中に対する働きかけや提供価値よりも、「我々はどうありたいか」という、自分たちのあり方をまず定義している、ということです。

昨今、「企業の時代から個人の時代へ」「お金ではなくやりがいを求める」など、働き方に関して様々な言論(これらの是非はさておき)が見られますが、ビジョン・ミッション重視からバリュー重視になるというのは、その流れを汲んだ考え方なのかなと感じました。

目標や使命よりも先に、「私たちってこうだよね」を定義する。その考え方がすごく今っぽいなと思ったのでした。

尚、この記事は上述のウェブサイトを見て個人的に感じたことなので、カンロさんが実際どのような意図で新コーポレートビジョンを策定されたのかはわかりません。どういう経緯でこうなったのか、とても興味深いです。

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