『短歌人』2018年11月号掲載五首

夏の日と燕は去りぬ ねむの木の逢魔が時に飛ぶ影は濃く

陽が落ちて秋の虫鳴く夕風にこの世去る日の覚悟などなく

見つけてはいつか無くなることばかりコバルトブルーの青虫さへも

新しきソファーを欲すウレタンの潰れたままに硬い枠組み

青虫の糞大きなり夕立に溶けて宿主の肥料となるや