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「啐啄の機」を逃さなければ、子どもは伸び続ける!

「啐啄の機」とは何か?

『啐』は鶏の卵がかえるときからの中から雛がつつく音、『啄』は母鶏が外から殻を噛み破ること。また、禅宗で師家と弟子の働きが合致すること

広辞苑

元々は禅の用語で、雛鳥が卵からかえるときに、卵の内側からつつく音が「啐」、それを聞いた母鳥が外側からつつく音が「啄」を意味します。どちらか一方がつつくだけでは卵は割れず、内と外の同じ一点を同時につくことで、雛鳥は殻を割って外に出ることができるのです。
転じて、師匠が、弟子の成長するタイミングを見逃さず指導をすることを意味しています。

子育てでも、学校教育でも、人材育成でも、教育の最も大切な要素だと考えています。

母鳥が外側から卵をつつくのは、早すぎても遅すぎてもいけません。適切なタイミングに適切な箇所をめがけてつつく必要があります。母鳥が雛鳥の内側から卵をつつくというシグナルを適切に受け止めるから、これが可能です。

「啐啄の機」が成立するには、大切なポイントは2つあります。

  1. 親鳥が雛鳥のことを把握していること

  2. 雛鳥が自分で割ったように思わせてあげること

どうやって「啐啄」を見つける?

教育に置き換えると、師匠が弟子の、親が子の、言葉にはならないシグナルやメッセージをしっかりキャッチする。適切なタイミングで、適切な指導を行う。

人が最大限伸びるためには欠かせないことです。しかも、師匠や親は「教えてやった感」を出すことなく、本人が「自分でつかんだ感」が残るように関わることが大切でしょう。

簡単に言ってますけど、ものすごく難しく、相手の状態をキャッチする修行が必要です。つまり、大人側の観察力が必要になります。
子どもの「能力」「気持ち」を的確に捉えないと「啐啄」になりません。もちろん、感情的になってはいけません。

クリティカルシンキングを使って、相手の状況を正確に捉え、どんな手を打つかを考えます。子どもの表情や言動、行動といったファクトから、解釈を導き出す。しかもその解釈は、ロジカルでありながら、愛情がないといけません。
ハードル、バリ高いです。

「啐啄」を利用して、子育て力を鍛える

大人は、自分が子どもの頃、親や誰かにしてもらってよかったことを、そのまま子どもたちに適用しがちです。それでうまくいくケースもあります。しかし、百発百中で成功はしません。なぜなら、「相手はあなたではない」からです。

同じ人間はいないので、自分が成功したことでも、我が子に響くとは限りません。一流のスポーツ選手が監督として、親として、一流を育てられるとは限らない例が世の中にあふれています。

人は親になるまでは子どもで、子どもができた瞬間に親になりますが、いきなりプロ親にはなれません。だから、親としての自分を磨いていく必要があるのだと思います。

自分を磨く一番の方法が、子どもを観察して「啐啄」を見つけることです。
「この子、何考えてるんだろう?」
「なんで、そんなことするんだろう?」
「今、何を求めてるんだろう?」
って。

そして、何らかの手を打って、自分の観察の答え合わせをします。答えは子どもの反応が教えてくれるので、その精度が上がるように、また観察します。そのくり返しが、子育て力アップの秘訣なんじゃないかなと思います。

子どもたちへの指導に活かす

さまざまな子を預かっていると、「啐啄の機」を見極めるのは、我が子より難しいです。ずっと一緒に暮らしてきた我が子より情報が少ないからです。
でも、関係性ができてから注意深く観察していると、「啐啄」が見える瞬間があります。その瞬間に、タイミングよく、適切な言葉をかけることができると、相手に言葉が届いた感覚を持てることがよくあります。

いい顔になったり、それ以降の態度が変わったり、明らかに絆が深くなったり。ポジティブな変化が起こります。

どんな指導をするときも、声をかけるときも、言葉を選び「啐啄の機」が訪れるよう子どもたちと向き合っていきたいと思っています。

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