牛丼屋、あるいは山岡士郎

 2023年8月現在、私が講座や読書会を開いてお伝えしているののうち、7割以上がコネクション・プラクティスとNVCに関してものです。
 
 このコネクション・プラクティスとNVCはどう違うの?とよく聞かれることがあります。というのも、コネクション・プラクティスはNVCの中の、共感のための「4つの要素」を取り入れており、ざっくりと共感のプロセスだけを学ぶと、「どっちも同じことやっているな」となるためです。
 

 これに対して、ある人は、「コネプラはクイックコヒーランスがあるから早いんです」といい(牛丼屋じゃないんだから…)、またある人は「コネプラの共感は浅い、あんなのは本当の共感じゃない」(あんたは美味しんぼの山岡士郎か…)といい、優劣で語ろうとする人がそれなりにいるのは、なんだかとても残念です。だって両方とも目指しているとこはそこじゃないでしょ、と。
 
 じゃあ何が違うのか。両方に関わる中で自分なりに模索した結果、これを書いている今現在自分がたどり着いている答えは、それぞれの講座や書籍等で最初に語られる次の言葉に現れているかな、と思います。
 
NVC:「人は生まれながらにして自分以外の人を思いやり、与えたり与えられたりすることを楽しむ」(※1)
コネクション・プラクティス:「すべての人々がつながりのスキルを実践し、この贈りものを手渡していく世界」(※2)
 
 NVCでは上記の前提のもと、人間誰しもが内面に持っている「思いやりのきもち」をどうやったらお互いに大事に育み合えるか、そのとこをとても大事にしているように見えています。
 一方でコネクション・プラクティスはあくまで「スキル」として、練習して身につけることに力点があるように見えています。
 
 力点を置く場所や前提が異なると、たとえ似たようなことを行っていても、伝わるものや、実際に起こることが違うことは間々あると思います。(たとえば、どこを一拍目にするかで、異なったメロディに聞こえるiphoneの着信音https://togetter.com/li/1888600
 
 この二つの違いがどんな違い…質感であったり具体的な行動であったり、展開の仕方であったり…を起こしているかについては、もしご興味があれば実際に体験してみてほしいなあと思っています。
 
 そんなめんどくさいこと…と思われた方は、なんとなく雰囲気が自分に合いそうなところを入り口にしていただいたらいいかな、と思っています。
(そもそもの出発点として、「NVCの知恵の一部を取り入れて生まれたコネプラを、NVCと並列して較べるの、なんかおかしくない?」という違和感を、これを書きながら抱いていたり…)


※1 マーシャル・B・ローゼンバーグ「NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法」新版. 安納献 監訳, 小川敏子 訳, 日本経済新聞出版社(2018) p17

※2 ラスールジャパンウェブサイト ”ラスールジャパンについて”
https://rasurjapan.com/


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