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材料について

材料に対して大切にしていること。
なかなか説明が難しいです。
今回は絞って書いていきたいと思います。

■危険でないこと
安心安全な材料、と言いたいのですが、安心も安全も定義がとても難しいです。

最近話題のネオニコチノイド系農薬や古くはポストハーベスト農薬。輸入レモンの防カビ剤、飼料に使われる大量の抗生物質や環境中のダイオキシン、はては60年代の大気圏核実験で放出された放射性物質に至るまで、私達は危険と言われる様々なものに晒されて生きています。

これらを危険と考えるかどうかは果てしない議論になるのでさておき、私は自分の作るものから、なるべく危険を排除したいと思いながら料理をしてきました。

一時期完全無農薬に傾倒したこともありましたが今はあまり気にしてないです。
私が気をつけているのは、誰がどうやって生産しているのか?が分かるかどうかです。

これはつまり、責任の所在がより生産者個人に対して明確かどうか?です。広義での掴みどころのない安全論より、私は生産者の方々が自ら作るものへのこだわりを尊重しています。

ただ全ての素材をそうしたものにするのはとても大変です。コストもかかります。例えば平飼いの卵はスーパーで買えても、グラスフェットバターは輸入品ばかりで一部のお店にしかありません。
材料がなくては作ることができないので、選択肢の少ないものは妥協して買い求めます。少量しか使わず、体への影響が微々たるものであれば、もっと他のことに注力したほうが良いと思っています。先に挙げた途方もない話より、目の前のふきんの消毒や、数値に基づいた加熱殺菌、作業場の整理整頓の方が私にとっては大切です。

■美味しいかどうか
菓子も料理も素材の味の積み重ねとバランスで完成するものだと考えているので、材料一つ一つが美味しいかどうかはとても大切です。

果物であれば傷んでいるものが混ざっていないこと、最も熟している状態であること。ジャム作りなどは痛みかけや余りの材料を大量の砂糖で煮ちゃえ!と作ることもありますが、旬の素材で適切な下ごしらえの後に作られたジャムやコンフィチュールは別格です。大味なケーキに添えると、ジャムやコンフィチュールの美味しさでケーキの印象が霞むことだってあります。

そして、美味しいかどうかは私が判断するしかないので、基本的には全て味を見ます。

初めて使うものは必ず口に入れますし、作っている最中の生地もよく味見をします。美味しく出来上がるときは生地の時点で旨味が分かりますし、ツヤや均一性など見た目が綺麗なときは美味しく仕上がる傾向にあると思います。

傷んでいるもの、味が劣る部位、相性が悪い素材。そうしたものをいかに排除するかも美味しく仕上げるために大切なことだと思います。

長くなりましたので、今日はこの辺で。
次回は道具の話ができたらと思っています。

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