倫敦1988-1989〈2〉
ナゾの砂漠を離陸するとまたアホ面で寝た。ガッ!という着地の振動を尾骨に感じて目を覚ますと、そこはもうロンドンだった。
友人のMちゃんとボーイフレンドのエディがヒースロー空港まで迎えにきてくれた。ロンドンは夜の七時、腹も減ったし、喉も渇いた。さて、何食べる?と聞くと2人ともモゴモゴとインドカレーか中華…という。なんでロンドンまで来てカレーor中華なの?と聞いたら「他の店はだいたい不味い」とのこと。そう、この時代のロンドンはまだメシマズ真っ盛りだったのだ。後にロンドンでもグルメブームが巻き起こってだいぶ解消されたようだが、当時のロンドンではマックすら不味いという噂まであったのである。
そんなわけでチャイナタウンのこじんまりした店で乾杯。とりあえず名物のフィッシュ&チップスで乾杯。移動遊園地で乾杯。ナイトクラブで乾杯…。
怒涛の乾杯アワーはMちゃんちに着いても終わらない。Mちゃんが久々に日本の曲が聴きたいというのでティンパンアレーやシュガーベイブなどのテープを用意していた。隣からエディの友達のマイロが乱入してきたが、酔っ払ってるので誰も気にしない。ただただ飲んで踊る。しまいにはみんなで手を繋いで輪になって踊る。そのまま床に倒れて寝転んだまま見上げる天井はいつまでも回っていた。
〈つづく〉
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