味岡マロン

ヨロンと横浜を浮遊するふくよかな生命体。いつも横になりたいと思っています。ズッキーニが…

味岡マロン

ヨロンと横浜を浮遊するふくよかな生命体。いつも横になりたいと思っています。ズッキーニが好き。

マガジン

  • 倫敦1988-1989

    1988〜1989のロンドンへの旅をまとめました。

最近の記事

しゃべれるよーになたよー

声が出るようになった。じっさいには声を出すたびに喉がちぎれるほど痛い。でもしゃべりたいんだ。こちとら1週間近く声が出ず、医者に行ってもアウアウいうのを夫が訳してくれるのだが何か違う。水原一平は使い込みはしたが通訳はうまかった。そこは見習ってほしい。 しゃべりたすぎて友達の浮気とか言わんでいいことまでしゃべる。「おーいハンサム」がいかに面白いかをわかってほしくてシーズン1から解説する。しゃべりたさすぎる。 「しゃべれるよーになたよー」というのはTKO木下のネタだ。人形がある

    • 風邪をひいちまった

      風邪を引いて熱がある。喘息と相まってなかなかつらい。コロナやはしかじゃなくて良かったけど、主治医のチョビヒゲが私の喉を見て「だめだコリャ!」と叫び点滴に回された。いろいろあって私には扁桃腺がないので喉が弱い。しゃべれない。しゃべりたい。ああ、しゃべりたい。 それにしても何でこのタイミングで…と思う。週末からヨロンに行く予定なのだ。秋口から計画していたヨロン。約20年ぶりのヨロン。やっと躁鬱も安定して…と思ったらコレだ。会いたい人がたくさんいるのに風邪をひきずったままでは会え

      • 窓桜

        外は桜が満開のようだ。 ことしはだいぶ遅めの開花で 今日を逃したら雨が続く。 が、花見に出掛けるでもなく 窓から見える桜を眺めている。 かつては花見と言う名の宴会に 繰り出したり、川下りを楽しんだり、 随分ご陽気に過ごしたものだ。 だが、病を得て年も貰い、ふと 「あと何回桜が見れるのだろう」 というニヒルなつぶやきを 心中で聞くようになった。 「そんな年」というには少し 早いのかもしれない。やはり 躁鬱病という病が心を弱くしている。 春と言うのは精神疾患を持つ人には 鬼門

        • 火口のふたり

          ※ネタ漏れするかもしれません。 予備知識もなく何となく見始めた映画。お、「光る君へ」の道長でてるじゃん、ぐらいな感じで。 ぼんやり見ていたがタイトルバックのモノクロ写真が良い。うっすらと主役二人の関係性なども匂わせるうちにみるみるエロスに突入する。そしてエロスは大爆走するわけだが、あまりにも振り切っているのでむしろ清々しい。リアルだが美しく、時にクスッと笑ってしまうような憎めないシーンが続く。舞台が秋田なのも新鮮だった。まったく知らない土地だが、方言と標準語の切り替えが面

        しゃべれるよーになたよー

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        • 倫敦1988-1989
          14本

        記事

          10年日記

          かつて「10年日記」というのをつけていた時期がある。立派な革表紙で1日ごとに3行ほど書くスペースが縦に10年分並んでいる。つまりそのページを開けば去年の今日何があったか、書き続ければ10年前の自分は何を考えていたのかが一目でわかるのだ。 ちょうど娘が生まれた頃で、その可愛さや成長ぶりを書き付けたりしていた。が、同時期に母が倒れて寝たきりになり育児と介護に追われるうち自分だけ社会から置いてきぼりになったような寂しさを感じていた。実家は母以外はそれぞれ仲が悪く、八つ当たりを受け

          オッペンハイマー

          ※ネタバレします。 観てきましたよ、IMAXで。 内容が内容だけに大音響が苦手な方にはお勧めできません。わかってはいても顔が歪む、身が縮む。いま首が痛い。ガチガチに構えていたみたい。 日本人は「原爆が人に使われた場合」をよく知っているから、映画で見せられることなど何億分の一でもない、と 思うことでしょう。それでも十分に 恐ろしい。もし自分がキノコ雲の下にいたら…と思うと絶望しかない。 私たちは広島、長崎の惨状を知っています。けれど実際に原爆を研究し、完成させたオッペンハイ

          オッペンハイマー

          夢日記

          3月21日 友人のMと喧嘩する夢を見る。最近まで肉を食べなかったMがイルカの肉がいちばん旨いと言い出し、肉の素人のくせに何がわかる、いちばん旨いのは豚バラだ、と私が怒り絶交するのだが、そんなことで絶交したことを悔やみ神さまに相談する。神さまは普通のおじさんで、ツイードのスーツの下にニットのチョッキを着ていた。ベイブリッジに神さまと二人腰掛けて足をブラブラしながら懺悔をする。神さまに「そのうち何とかなる」と言われる。 〈現実〉Mが肉を食べなかったのは事実だ。最近牛肉を克服した

          江ノ島の向こう側

          きのう病院の帰りに江ノ島の裏側に行った。かなり体力のいるコースなので、それまでは仲見世でお茶をにごしていたが、きのうは行けそうな気がしたのだ。ちょこざっぷにも行ってるし。 朱の鳥居をくぐるとエスカーなる乗り物がある。単なるエスカレーターであるが江ノ島ではエスカーなのだ。以前は両側にレトロなお菓子の広告などがあって、それを見るのが楽しみだったが、今ではホログラムのような動画に変わっている。根性のある人は歩いて登ればいいが、私は絶対にエスカーに乗る。昔は歩いたこともあるが、今の

          江ノ島の向こう側

          倫敦1988-1989〈14〉夢で逢えたら

          翌朝目を覚ますと窓から大きな「◯に越」の看板が見えた。シンガポールにも三越があるのか。ああ、日本に帰るんだった。もう買い物の時間もないや。 そういえばロンドンで見かけたCDなるものを買って来れば良かったな。まだプレイヤーがないけど。トレイシー・チャップマンのファースト・カーっていい曲だった。もう日本で売ってるだろうか。 のろくさと荷造りをして空港へ向かう。テレビも空港の電子掲示板も日本の天皇崩御一色だ。売店では世界中の新聞がズラリと昭和天皇のことを報じている。中には「いろ

          倫敦1988-1989〈14〉夢で逢えたら

          倫敦1988-1989〈13〉シンガポール

          翌日は間違えずに飛行機に乗れた。 Mちゃんには「デキの悪い子ほどかわいい」と喜んでいいのか悪いのかわからない言葉と共に抱きしめられ、エディとマイロには「オチョコチョイー、オチョコチョイー」と囃し立てられながら機上の人となった。冬のロンドンはずっと灰色の空で、古めかしい石造りの建物が並ぶ暗い街だったけれど、 移動遊園地の賑やかさや、顔馴染みになった近所の人の温かさが心に残った 。そしてMちゃんとエディとマイロとのずっとふざけているようなウダウダ気楽な暮らし。日本に帰ったらまたマ

          倫敦1988-1989〈13〉シンガポール

          倫敦1988-1989〈12〉オチョコチョイ

          Mちゃんの引っ越しの手伝いに追われているうちにロンドン最後の夜が来た。Mちゃんの新しい家は庭付きの一軒家でとても可愛らしい。ものすごく古いのと中心地からはずれているので 家賃もまあまあ手頃。 私はおみやげ用にハロッズでクッキーを買ったのだが、それのジンジャー味にハマって全部食べてしまった。仕方なく近所の雑貨屋で駄菓子みたいなのをたんまり買い込んだのだが Twixというチョコバーにハマり…結局おみやげ品は全体的にマズそうなものが残った。ちなみにTwixはイギリスじゃなくてアメ

          倫敦1988-1989〈12〉オチョコチョイ

          倫敦1988-1989〈11〉テート・ギャラリー

          あと数日で日本か…と少し憂鬱になりながらも、ひとりで地下鉄に乗る。今や地下鉄やバスにも慣れ、タクシーも乗れる。ロンドンキャブを止める時には腕を真横に上げる。何故かは知らないがみんなそうするので真似をする。 ビクトリアラインに乗り、ピムリコ駅で降りる。車内の吊り玉につかまっていたので手が金属臭い。ピムリコ駅からしばらく歩くとテート・ギャラリーがある。今日ここでやっているディヴィッド・ホックニー展を見るのだ。 それにしてもスケールがでかい。大英博物館ほどではないにしろ、見て回

          倫敦1988-1989〈11〉テート・ギャラリー

          倫敦1988-1989〈10〉人種差別をされちまったよの巻

          年明けはロンドンの街をほっつき歩き、疲れ果てて家についた。マイロの家は寒いので何枚着ても凍死しそうな気がする。最終的にカーテンをはずして包まった。埃くさかったけれど、ビロードというのは中々暖かい。泥のように眠った。 目が覚めると時刻は昼を過ぎ、寒さと乾燥のせいかお顔がパリパリだった。どういうわけか湯はでるらしいので浴室へ行く。猫脚のバスタブがいい感じだ。蛇口をみると真鍮のクラシカルなのが2つある。「おーいMちゃん!これはどうゆうこと?」と風呂場からたずねると「あっついお湯と

          倫敦1988-1989〈10〉人種差別をされちまったよの巻

          グリセルダ

          ※ネタバレあり Netflixで「グリセルダ」を観る。実在した「コカインの女王」グリセルダ・ブランコの物語だ。 何故だかわからないが、いわゆる「麻薬モノ」のドラマや映画をよく観る。Netflixでは「ブレイキング・バッド」に始まり「ナルコス」「ナルコの神」…「ベター・コール・ソウル」もだいぶ麻薬モノだし、てか、アメリカや南米のクライム系で麻薬が絡まない方が珍しい。チャイルディッシュ・ガンビーノ主演の「アトランタ」は平和的ではあるが、ドラッグ愛好家たちの話で、時折りバッド・

          倫敦1988-1989 〈9〉家なき子

          大晦日に家を追い出されるなんて最悪である。大家のルカクはそれまではやたら調子良く、家具はそのまま使っていいよとか、好きにリフォームしていいよ、とかMちゃんとの関係も良好だった。家賃もきちんと払っていたし、何でまた急に…とポカンとした。 どうやらルカクはチェコスロバキアの人で、母国で何かが起こったらしく、親類が移住してくるので家を空けてほしいようだ。チェコスロバキアという国は複雑な国でかつてはヒトラーに占領されたり、ソ連に侵攻されたり、めまぐるしい歴史をたどっている。もともと

          倫敦1988-1989 〈9〉家なき子

          空は晴れ、眼鏡は曇る。

          昨日は酷い風だった。 東京では台風並みの強風が吹き 道玄坂の街灯が倒れたりしたらしい。 風の強い日は心がざわざわする。 怖いような、少しワクワクするような。小学生の時、優等生のヒラノさんという友達がいて、昨日のような風の強い日に一緒に帰ることになった。弱い雨も降っていたが、傘は風でお猪口になって意味を成さず。 ランドセルを背負ってしっぽりと濡れながら強風の中を歩く。飛ばされそうだし野良犬はいるし、私は最悪の気分だった。だが、ヒラノさんは足取りも軽く風に身を任せ自分の意思で

          空は晴れ、眼鏡は曇る。