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世界の海の異常高温が心配です。国民意識を変えるタイミングでは・・・

今日8/27の日経新聞には
 世界の海、5割が異常高温
 平均水温、8月最高更新続く 生態系・漁業に悪影響
という見出しの記事が出ていました。以前にもnoteにおいて、日本近郊の海水温がさらに世界の平均よりも高くなっているということを書いたのですが、海洋熱波の状況が世界の海域で発生している状況のようです。大気に蓄えられた熱の9割を海が吸収するという事実から、これを防ぐにはやはり待機中の熱をいかに下げるか、つまりは温室効果ガスを出さないようにするか、にかかっています。

特定の海域の水温が平年を大きく上回る現象は「海洋熱波」と呼ばれる。NOAAは人工衛星の観測データなどを分析し、「8月現在、世界の海域の約48%が海洋熱波の状態にある」と報告した。1991年以降で最も高い割合だ。2024年2月まで50%近くで高止まりすると予測する。
欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」によると、極域を除く世界の平均海水温は7月28日に20.95度となり過去最高を更新した。従来の最高は16年3月だった。8月に入ってさらに日々更新し、22日には21.0度に達した。
通常は3月頃にピークとなるが、今年は5月以降も上がり続ける異常な状況だ。大気に蓄えられた熱の9割を海が吸収する。この夏は世界的に記録的な熱波が発生しており、海水温の上昇が今後も続く見通しだ。

2023/8/27 日本経済新聞朝刊

1)日本近海の海水温が高い

今年はさらに、東北地方の太平洋沖で海水温が「平年より約2~6度高い」という状況にあるようです。これは太平洋赤道域東部で海水温が高くなるエルニーニョが発生しているということもありますが、以下のような記事を読んでいると、このままでは日本の漁業ができなくなってしまう可能性すらあるのでは、と心配になります。

19年以降、東北沖では海洋熱波が毎年のように発生し、冷たい水を好むサケやサンマが沿岸に近寄らず漁獲が大きく減った。水温上昇による産卵海域の環境悪化でスルメイカの漁獲量も落ち込んだ。21年に道東沖で大規模に発生した赤潮の再来も懸念される。水産庁の専門家検討委員会は北海道・東北沖の海水温の上昇が不漁の原因のひとつと指摘している。
生態系への影響も大きい。米国ではフロリダ州のキーズ沖のサンゴ礁が大規模に白化した。サンゴは水温上昇に弱く内部の藻類が失われて栄養を得られなくなり白化する。この状態が続くと死んでしまう。14~16年に米西方沖で起きた海洋熱波ではエサとなる魚が減り、海鳥が多数餓死した。
水温の高い海域ではハリケーンなどの熱帯低気圧が発達しやすくなる。NOAAは10日、23年のハリケーンの活動レベルが60%の確率で平年を上回るとの予測を発表した。「平年並み」としていた5月時点から引き上げ、11月末までのハリケーン発生数を上方修正した。大西洋の海面水温が記録的に高いことなどが影響するとみている。

2023/8/27 日本経済新聞 朝刊

2)台風が凶暴化・・・国民はそれを把握しているのか

そして今日のニュースを見ていると、同時に3つの台風が発生しています。これは水温が高いために、台風が発生しやすくなっていることを示していて、このまま温室効果ガスを削減する努力をしていかないと、さらに台風による被害が大きくなるのではないかと心配になります。
さらに8/24の日経新聞の一面記事には、「市街地内の水没危険地域で人口増」という衝撃的なニュースが出ていました。内容としては、「住宅の水没リスクがある地域への人口流入が止まらない。河川の洪水で住宅1階部分がすべて水につかる可能性がある市街化区域の人口が過去20年間で約60万人増えたことが、日本経済新聞の調査で分かった。」ということです。
この記事で衝撃を受けたのは、
 気候変動で気温が上昇
 →その熱を吸収する海水温が上昇
 →これまでよりも強力な台風がより日本に上陸するようになる
 →洪水などの発生リスクが高くなる
という論理になりそうな状況なのですが、多分、このような事実を普段のニュースで全く取り上げているように見えないことも、大きな問題なのではないかと最近思います。

大体ニュースで取り上げるのは、海水温が上昇した後の結果として、伊勢海老が三重県で取れなくなったとか、知床半島でシイラという魚が取れるようになった、瀬戸内海でクラゲが異常発生とか・・・国民にもっと深刻な現実を伝えるような報道がなされていないことが、水没危険地域での人口増につながるような状況になっているのではないでしょうか。

少し理系的な知識が必要なのかもしれないのですが、気候変動のメカニズムやその影響をもっとテレビを通じてでも広げていけないものなのでしょうか。医療ヘルスケア関係では製薬企業などのスポンサーで市民公開講座が行われているのをよく目にしますが、この気候変動でも同様に市民公開講座が開かれないものでしょうか。さすがにこのような異常な状態であれば、そのような活動に、クラウドファウンディングなどでも資金が集まるのではないか、そんな気がします。

3)海のカーボンニュートラルの技術

人間が排出したCO2は、陸上(森林)での吸収と、海洋での吸収が行われ、結果として大気中にCO2が残留します。そのイメージがちょうど環境省のページにありましたので、それを掲載します。

環境省ホームページより(https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/mar_env/knowledge/global_co2_flux/carbon_cycle.html)

海水と大気中のCO2は平衡状態、つまり大気中のCO2が増えると海水のCO2は増えますが、海水のCO2は減ると平衡状態になるために大気中のCO2を海水が吸収をします。現状では大気中のCO2が増えているので、結果、海水のCO2も増加し、酸性化が進んでいます。この酸性化はプランクトンが生息しにくくし、結果として漁業などへの影響が大きくなります。
それであれば海水中のCO2を回収することができれば、海水の酸性化を抑え、さらには大気中のCO2をもっと海水で吸収させることができる、というもので、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の資料「海のカーボンニュートラル新技術開発」がまとめられています。
またこれらのことは以下のページにもまとめられていますが、米国のスタートアップなどが積極的にチャレンジしているようです。

上記のページの最後には「紹介したいずれの技術も、社会実装されればインパクトの大きなCO2回収手段になりそうです。しかし、利益を生み出すかわからないCO2の回収に大きなコストをかけることができるのでしょうか。そこが今後のポイントになりそうです。」とあります。

前述の医療分野であれば製薬企業のようなスポンサーがいないことが、上記のような記載になっていると思われます。ただ地球規模の話であり、本来は今の石油や石炭などの金額には、CO2を吸収するコストが入っていないのが問題であり、本来は石油は石炭などを使った企業(もしくは石油産出国)が上記のコストを払うべきでなのではないか、そんなふうに思います。きっとそれによって石油や石炭の価格は高くなりますが、結果として、再生可能エネルギーが最も安くなるのでは、とか思ってしまいます。

4)やはり国民一人一人がまず理解し、問題に直視する

様々な技術が出てきていることは本当に頼もしいです。
しかしその技術を使おうとすると国民一人一人が、さらには世界の一人一人が、気候変動という問題をしっかりと直視することが必要だと思います。そうしないと、きっと使おうともしないのではないかと思います。
きっと今、理由が気候変動を防ぐため、ということで石油や石炭の価格を上げても電気代が大きくなるなどで、単に暴動が起きるだけになってしまいます。そうならないためにも、まずは正しく状況を理解してもらう取り組みを国も、民間もしていくべきタイミングに来ていると思います。特にTVは、もっとこの内容を真剣に取り上げてもらいたいです。



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