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サラリーマンの投資用マンションの選び方(物件選定編)

サラリーマンのための投資戦略(19)】
このマガジンでは、サラリーマンが「信用資産=お金を借りる信用力」を活用して「年収の10倍以上の資産」を作るための方法を解説しています。

マガジンに記事をまとめています。➡【サラリーマンのための投資戦略】

今回は、サラリーマンが不動産投資をする場合の物件の選び方について考えてみたいと思います。

1、自分の目で現物を確認することが大事

「中古1Rマンション」に投資するサラリーマン大家さんは、物件を見ないで買う方もいらっしゃるようです。

確かに、人気物件は、退去しても直ぐに次が埋まってしまいますから、すでに入居者がいる物件のオーナーチェンジが多くなるのだろうと思います。

とはいえ、私は、必ず現地で現物を確認してから購入しています。

理由は、入居者のニーズが分からない物件は買うべきではないと思っているからです。

物件の周りを1時間くらい歩き回ると、その物件に住む人の生活がリアルに感じられますので、入居者のイメージが湧いてきます。

歩いてみて、「自分や家族が入居者の立場なら住みたくないな…」と思わないかどうかの「肌感覚」も大事にしています。

私自身、何度も転勤で何度も家を借りてきたので、物件を見ている最中に当時のことを思い出して、「もしあの時、この物件を奥さに勧めていたらなんと言うだろう」と考えたりもします。

こうした入居目線での物件チェックは、「サラリーマン不動産投資家の武器」になります。

サラリーマンの副業で不動産投資をする場合、入居者のニーズがよく分からない物件と遭遇することが多くなります。

「自分は住まないだろうな...」と思うが、不動産業者から「割安な物件で、入居者も決まりやすい」と勧められるケースです。

こんなケースの場合、私は「入居者のニーズが分からないものは買わない」という判断が必要だと思っています。

自分が入居者の気持ちになって、住みたいと思える物件だけを選ぶようにすれば、投資できる物件のバリエーションは狭くなりますが、少なくとも大きな失敗することはないでしょう。

2、女性目線の大切さ

「女性目線」は不動産投資の基本だろうと思います。

賃貸部件を借りるときに「女性目線」の判断が入らないのは、「成人独身男性」が入居するケースだけです。

私の場合、不動産投資は法人化していて、奥さんが法人の社長なので、物件の最終決定は奥さんが判断します。

1つの物件を決めるまでに、私から20−30件くらいの候補物件を提案して、その中から3−4件を内覧してもらう感じです。「間取り図」や「立地」での選定段階で、かなり候補物件が落選します。

この作業を繰り返していると、女性目線と男性目線では街の見え方がかなり違うのだなあと思います。

現地で内覧する段階では、「間取り図」だけでは分からなかった「部屋の雰囲気が良くないな」とか「小さな子供にとっては危ないかな」と奥さんが感じる部分があって、購入を取りやめることもあります。

実際、奥さんが「これがいい」と選んだものは、多くの場合、すぐに買い手がついて売れてしまいます。

つい最近も、「奥さんが大絶賛した物件」が、タッチの差で他に流れてしまい、悔しい思いをしました。

逆に、「私が建物のスペックや収益計算だけで選んだ物件」は、その後に別の方が購入して、現在、賃貸の募集が出ていますが、半年経っても埋まりません。(私の想定よりも、募集賃料が高いことも原因なのかなと思っていますが…)

ですので、最近は、物件選定には口を挟まないようにして、候補物件を見つける都度、LINEで奥さんにデータを送ってみてもらうことに専念しています。

3、エリア内の「需要と供給」だけでなく、「物件タイプ別の賃料水準」が大事!

物件選定で欠かせない視点は他にもあります。「需要と供給」と「物件タイプ別の賃料水準」です。

(1)「需要と供給」

投資するエリアを検討する際に、不動産の「賃料水準」と「物件価格」については、十分な検討を重ねていると思います。

次のステップでは、「物件タイプ」ごとに、そのエリアでの「需要と供給」を調べます。物件タイプは、「学生向け」「社会人独身」「夫婦のみ」「ファミリー」の4タイプで見る必要があるでしょう。

賃貸不動産の多くは「学生向け」「社会人独身」「夫婦のみ」の物件で、借りたい人(需要)も多いですが、賃貸物件(供給)も多いマーケットです。

こうしたマーケットでは「需要(借り手の数)が20年後どうなっているのか?」「供給(賃貸物件数)はどのくらいの数が新規に建設され手いるのか?」といった情報が重要です。

一方、「ファミリー」タイプは、借りたい人(需要)が、他の物件タイプにくらべるとそれほど多くはありません。当然、賃貸物件(供給)も多くはありませんから、ニッチなマーケットと言えます。

また、「ファミリー」タイプは、入居者の子供の教育環境が重視されるので、他の物件タイプとは異なる立地条件が求められます。

不動産業者が「その地域に転勤してきた入居者予定者」に対して、「どのエリア(学校区)」を勧めているのかなどのリサーチが必要です。

(2)「物件タイプ別の賃料水準」

「需要と供給」のバランスはとても重要です。需要より供給が多いエリアは、賃料競争が激しくなり、不動産投資の採算がどんどん悪化してゆきます。

不動産は一般的に築年数が古くなると、賃料水準が下がります。自分が購入したエリア内で、同じタイプの賃貸部件が次々と新築される環境では、賃料下落のスピードも早くなります。

例えば、全国で人口増加率がトップクラス福岡市を見てみましょう。

以前にご紹介した「HOME`s見える賃貸経営」で「1R(ワンルーム)」の家賃水運を調べてみましょう。

福岡市内は人口が増えていますが、一方で、ワンルームマンションや単身者向けの木造アパートが供給過剰になっていることで知られています。

実際に、福岡市東区の1Rの平均家賃は38,000円台となっていて、管理費用や入退居時の原状回復費用を加味すると非常に厳しい家賃水準です。

福岡市内は不動産の購入価格も高止まりしているので、このエリアでの「1Rマンション投資」は、サラリーマンの不動産投資としてはかなり難易度が高い状況と言えるでしょう。

では、福岡市東区の「物件タイプ別の賃料水準」はどうなっているのでしょう?全ての物件タイプで競争が厳しいのでしょうか?

実は、福岡市東区の1LDKの家賃は65,400円と悪い水準ではありません。

面白いことに、より投資費用が高額となる2LDKの82,600円や 3LDKの87,500円と比べてみても、1LDKの家賃水準が高いことがわかります。

2LDKと3LDKの賃料が差が小さいこともポイントです。

3LDKと2LDKでは、同じ物件グレードなら投資金額は1.5倍くらい違います。投資効率を考えると、2LDKの方がかなり有利なことがわかります。

「需要と供給」の関係だけでなく、供給側の「競合状態」を調べてみると、私たちがどの物件タイプを選択すべきかがより鮮明になってきます

4、HOME`sの「見える賃貸経営」から学べること

HOME`sの「見える賃貸経営」では、他にも面白い分析をすることができます。

同じく福岡県東区で「占有面積」毎に「閲覧件数と掲載物件数」の対比を見てみましょう。

1Rマンションの「占有面積」である「20〜30平米」では、「閲覧件数と掲載物件数」の分布がほぼ同じです。「検索数=需要」と「掲載物件数=供給」が同じくらいということです。

一方で、「占有面積」が「70〜75平米」では、「検索数」の3分の1しか「掲載物件数=供給」がなく、需要に供給が追いついていないことがわかります。

HOME`sの「見える賃貸経営」の他のデータを見ると、福岡市東区で「家賃に10万円以上払っても良いという入居者」の数が「物件を検索している人」全体の10%くらいいることもわかっています。

他の不動産投資家が「福岡市内の1Rマンション投資」を選択して苦戦している中で、あえて「70〜75平米のファミリータイプで家賃10万円以上」というニッチ戦略を選択する作戦もありだと思います。

ここまで読んで頂いて、ありがとうございました。

山海弘